『どうぶつの森』に似ていると批判された『Hokko Life』ついに6月早期アクセス配信へ。差別化はなされたか否か

 

パブリッシャーTeam 17は5月12日、『Hokko Life』を現地時間6月2日にSteam早期アクセス配信開始すると発表した。日本語字幕およびUIに対応するという。早期アクセス配信期間については、はっきりとは決められないとしつつ、2021年第2四半期までに正式リリースすることを暫定目標にしているという。

『Hokko Life』は、辺境の街で暮らすコミュニティ・シミュレーションゲームだ。プレイヤーは電車旅を経て小さな村Hokkoへとたどり着いた。着いたばかりの段階では、こぢんまりとした村であるが、引っ越してきたプレイヤーがさまざまな場所を装飾することで、華やかな街へと生まれ変わっていく。


プレイヤーはHokkoにて自由に生活することが可能。水辺で魚を釣ってもいいし、昆虫を採集してもいい。ガーデニングを楽しんで作物を収穫するもよし。手に入るアイテムを換金し、活動資金にすることができるだろう。街にはたくさんの動物が暮らしており、彼らと友達になるのも楽しみ方のひとつ。時に彼らに住居を用意してあげながら、絆を深めるのだ。

実は本作は発表時、Kotakuなど海外メディアから「恥知らずの『どうぶつの森』クローン」と批判を受けることとなった。またYouTubeトレイラーについても、低評価が高評価を上回っている。コメント欄は荒れに荒れ、閉じられた。電車に乗って村にやってくるストーリーや、住人が全員動物という設定、虫取りや釣りに励むというアクティビティ、そしてグラフィックデザインなどが、『どうぶつの森』にそっくりだと批判されたわけだ。


しかしその後も、開発者であるRobert Tatnell氏は本作の制作に取り組み続けた。パブリッシャーTeam 17のサポートを受け、対応言語を増やすなどしながら発売へと邁進。そしてこのたび早期アクセス配信へとこぎつけたわけだ。Tatnell氏は、先述した騒動後Steamコミュニティにて、「批判されるのはちょっと予想できてたから、思わぬ事態というわけではなかったよ」と語っている

『Hokko Life』の発表当時、本作独自の強みとされていたのは、デザイン機能の充実ぶりだ。『Hokko Life』ではフィールドで素材を集めて、クラフトすることで家具やアイテムを作成。自分の家に飾ったり街をデコレーションしたりすることができる。置く場所についても、自由自在である。家具作成においては、特化した3Dデザインツールが用意されている。形の違う素材を組み合わせたり、細かくカスタマイズおよびデザインしたりすることができるそうだ。衣服のデザインについても、かなり細かく設計できるとのこと。

ただし、前述したようにこの強みは発表時点、つまり2020年2月時点のもの。『あつまれ どうぶつの森』発売前である。ユーザーたちが比較対象としている『あつまれ どうぶつの森』はデザイン面でも進化しており「材料を集めて家具を作って好きなところに置ける」という点は、もはや本作独自の強みではなくなっている。ただし、3Dデザインツールについてはその完成度次第では強みになり得るだろう。


そのほか『どうぶつの森』シリーズと異なる部分として、村の住民の住む場所や引っ越しはプレイヤー側で完全に管理できるとのこと。また本作はかつて、ゲーム内時間と現実時間が同期するシステムを採用していたが、開発途中に方針が変更された。Tatnell氏は、本作はPC向けに作られているため、現実時間と同期しないシステムの方が合っていると感じ、変更したと語っている。つまり、携帯機と違ってPCでゲームをする際は場所と時間がある程度限られるので、現実時間と同期するシステムを導入することで、プレイヤーの遊び方の幅を狭めたくないという意図のようだ。Modなどにも対応予定である一方、マルチプレイに対応する余裕はないと語られている。これらの情報は2020年2月時点に発信されたものなので、1年以上が経過して仕様が変更される可能性はありそうだ。

紆余曲折を経ての早期アクセス配信となる『Hokko Life』であるが、現実世界との時間同期がない時点で、『どうぶつの森』とはかなり違うゲームになる印象だ。いずれにせよ、ゲームの完成度が、風向きを変えることだろう。どのように差別化されているかという点も含めて、リリース時には注目が集まりそうだ。

『Hokko Life』は、現地時間6月2日にSteamにて早期アクセス配信予定。日本語字幕/UIにも対応するという。

※ 本作の開発者もかつて『あつまれ どうぶつの森』をプレイしていたようだ