チート対策技術「Denuvo Anti-Cheat」PS5向けゲーム開発者に提供へ。オンラインでのチート行為や、オフラインでのデータ改変を防止


セキュリティソフトウェアメーカーのIrdetoは3月10日、PlayStation 5 Tools and Middlewareプログラムに独占的に参加し、PS5向けゲームの販売元・開発者に対して「Denuvo Anti-Cheat」ソフトウェアを提供すると発表した。


Denuvo Anti-Cheatは、Irdetoが提供するゲーム向けセキュリティソリューションDenuvoの製品のひとつであり、チート対策を目的にしている。実行中のゲームとOSがやりとりしている情報を収集し、その情報をクラウドサーバーに送信してチート行為を検出する仕組み。オンラインゲームでのチート行為だけでなく、オフラインゲームでもたとえば進行状況によってプレイヤーが入手できるゲーム内アイテムの改変行為についても保護できるという。また、Denuvo Anti-Cheatの実装によるゲームプレイ体験への影響を最小限に抑えていることも、特徴のひとつとしてうたわれている。

Denuvo Anti-Cheatは、PS5のほかにPS4やXbox Series X|S、Xbox Oneをサポートしており、PS5のローンチタイトルの中にはすでに実装されているタイトルがいくつかあるとのこと。今回PlayStation 5 Tools and Middlewareプログラムへの提供が開始されたことで、PS5向けゲームの開発者は、同ソリューションをより利用しやすくなるものと思われる。ちなみに今年1月には、Steamworksを利用するPCゲーム開発者向けの提供も開始している。


なおDenuvoというと、PCゲーム向けのコピー防止技術「Denuvo Anti-Tamper」でも知られる。大手メーカーを中心に幅広く利用されており、事実上はクラックされ海賊版が出回るまでの時間稼ぎとして機能している。Irdetoは、デベロッパーは収益のおよそ7割をゲームの発売から2週間で得ているとしており、それなりの効果を上げているようだ。ただ、Denuvo Anti-Tamperの実装によりゲームのパフォーマンスに悪影響が出るとの考えが根強くあり、ゲーマーからの評判はすこぶる悪い。批判が殺到したのちに、実装を取りやめる例も見受けられる。

Denuvo Anti-CheatはDenuvo Anti-Tamperとは異なる製品・技術ではあるが、採用タイトルだったPC版『DOOM Eternal』においては、Steamにてレビュー爆撃が発生。Denuvo Anti-Cheatの実装によるものかどうかは不明だが、パフォーマンスの低下を主張する声もあり、結果的に同作から削除されることとなった(関連記事)。ただ、『P.T.』や『ニーア オートマタ』のハックなどで知られるLance McDonald氏は、Denuvo Anti-CheatはPS4向けに何年も使用されてきた実績があると指摘。同プラットフォームでの動作は非常に軽量であり、パフォーマンスに影響を及ぼすような挙動もないとコメントしている。またIrdetoも、Denuvo各製品の実装によるゲームのパフォーマンスへの悪影響については一貫して否定している。