Activision Blizzardの傘下デベロッパーVicarious Visionsが、Blizzard Entertainmentに吸収されたことが明らかになった。同パブリッシャーが1月22日、海外メディアGamesIndustry.bizに対して認めた。Vicarious Visionsは、これまでActivision側のタイトルに携わってきたが、今後はBlizzardタイトルを専門に手がけるという。
Vicarious Visionsは、アメリカ・ニューヨークに拠点を置き30年の歴史を持つ老舗デベロッパーだ。初期は携帯ゲーム機向けの移植で多数の実績を重ね、2005年にそれまでにも縁のあったActivision Blizzardにより買収。以降『Tony Hawk’s Pro Skater』『Guitar Hero』『Skylanders』といったActivisionのシリーズタイトルなどを手がけてきた。移植業務が中心だったが、最近では『クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!』や『トニー・ホーク プロ・スケーター 1+2』といったリメイク作品をメインで担当し成功を収めている。
Activision BlizzardがGamesIndustry.bizに語ったところによると、そうした開発を通じて良い関係性を築いてきた結果、Blizzardに長期的なサポートを提供する役割がVicarious Visionsに与えられたのだという。同スタジオの約200人のスタッフはBlizzardの所属となり、今後はActivisionではなく、Blizzardタイトルの開発に専念することになるそうだ。
今回の報道を受けて、海外フォーラムResetEraなどのコミュニティでは、残念がるコメントが多数見られる。というのも、Vicarious Visionsの直近の開発タイトルである『トニー・ホーク プロ・スケーター 1+2』は高い評価を受け、また発売から2週間で売り上げ100万本を突破するなど、歴史ある同シリーズの中でもトップクラスの成功を収めた。同作は、シリーズの初期2作をセットにしてフルリメイクした作品。この成功を受けて、シリーズ作のさらなるリメイクを期待していたファンが多かったようだ。
一方で、Vicarious Visionsは『クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!』を含め、リメイク開発における能力の高さを証明したともいえる。コミュニティ内では、その技術力をBlizzardタイトルに活かすことになるのであれば、悪い話ではないと捉える意見もみられる。
現時点では、Vicarious Visionsはどのタイトルに携わっているのかは明らかにされていない。ただ、業界の内部情報に詳しい海外メディアBloombergのJason Schreier氏は、『Diablo II』のリメイクを担当すると報じている。2020年に発売された『Warcraft III: Reforged』の失敗を受けて当初の開発チームは解体され、『Diablo IV』を手がけている開発部門とVicarious Visionsが、リメイク版『Diablo II』を代わって担当することになったという。
同報道の真偽は不明だが、BlizzardがVicarious Visionsの開発力を必要としていたことが、今回の“異動”の背景にあることは間違いないだろう。Activisionの一連のリメイクの今後の展開と共に、同社の動向に注目が集まる。