『Apex Legends』デベロッパー、「実はあんまりApexうまくない」とポロリ。「開発者バッジ」を背負う者の切なさと愛

 
Image Credit : Jobye-Kyle Karmaker

Apex Legends』開発者のひとりが、自身のプレイ事情に関して“本音”をこぼす一幕があったようだ。本作の収集要素のひとつといえば「バッジ」だろう。いわゆる称号やトロフィーに該当するもので、ゲーム内で特定の条件を満たすことで自身のバナーに装着することが可能となる。みずからの実績を披露するのはもちろんだが、チーム戦に挑む際には、自分以上に仲間や敵のバッジが気になるのではないか。相手の実力を証明することになるからだ。

「20人以上キル」の“爪痕”バッジや「1試合4000ポイント以上のダメージ」で得られる“ハンマー”バッジが味方にいれば、心強さと緊張感が走る。チャンピオンチームに“APEXプレデター”がいれば、「キルリーダーで勝利した」ことがある猛者の証拠だ。よく似たバッジで赤くきらめいているものもあるが、こちらは似て非なるもの。同じプレデターでも、「ランクマッチ最上位のプレデター帯に所属した」という桁違いの重みをもっているため、諦めて絶望しよう。このほか、ピンクのハートがキュートな“バレンタイン”バッジを見かけたらラッキー。ただし身構えておく必要はあるだろう。2019年のイベント限定で配布されたバッジであり、すなわち相手は、サービス開始当初からゲームを続けてきた古参の強者である。

入手難度が高かったり期間限定だったりと、バッジの希少度もさまざま。その中でももっともレアで、見かけたらドキリとするバッジといえば、四角いマークに4つの点。燦然と輝く「DEV」の文字が並ぶ、“開発者”バッジだ。そのものずばり、Respawn Entertainmentに所属するデベロッパーだけが与えられる逸品。このバッジをつけたプレイヤーを見かけたら、まさしく『Apex Legends』を制作しているその人と戦場に立っているということになる。めったにお目にかかれない貴重な機会だけあって、自然と襟を正したくなる気分になるだろう。
 

*開発者バッジの実装は今年8月だった。「開発者狩りの季節がやってきたよ! お手柔らかにね♡」。

 
存在自体が激レアだけあって、海外掲示板Redditではしばしば「開発者バッジを見かけた!」との報告が話題になる。しかも大抵のスタッフは、当のバッジ以外にもすさまじいプロフィールを掲げていることが多い。今年9月に目撃情報があったデベロッパーは、ほかにふたつ着けているバッジのインパクトが強烈だ。先述のプレデターバッジの圧はもちろんのこと、もうひとつの金ピカなバッジにも注目したい。こちらの正式名称は「ゼイタク暮らし」。レジェンダリーアイテムを125個所有している富豪にのみ与えられる、まさにセレブの証拠だ。一部開発者は腕前だけでなくオシャレ磨きにも余念がないらしい。
 

 
ただでさえ珍しい開発者バッジだが、中には「チーム全員が開発者のトリオを見た」という超貴重な報告も。しかもこのスレッドには、まさしくチームに参加していたスタッフのひとりが直々にコメントを返している。アーティストチームの3人でランクマッチに勤しんでいたとのことで、スタッフ同士仲良くプレイする姿が垣間見られた。このように、開発者バッジはデベロッパーとユーザーが近い距離でコミュニケーションする『Apex Legends』を象徴する一要素ともいえるかもしれない。
 

 
さて、そんな流れ星のようなレアな存在こと開発者バッジだが、中には本作のプレイを始めてわずか6時間で出くわしたという強運の持ち主もいるようだ。定期的に出るトピックながらも、やはりスレッドは貴重体験にまつわるエトセトラの話題で持ちきりだ。あるユーザーは2000時間も遊んでいてまだ見たことがないとぼやく。すると別の人物は、それは開発者が自分のゲームを君ほどやり込んでいないからだ、スキルベースマッチメイキングのせいで出会えないのだろうと横槍をさす。はたまた今度のユーザーは、スキルベースマッチメイキングは必ずしも同じレベル帯と出会うシステムではないんだと異論を唱える……という具合に、話はあちこちへ回ってゆく。別のレスでは、開発者目撃のたびに沸く掲示板の熱を皮肉り、連中だって単なる人間だろうとこき下ろす人まで現れた。とにかくざっくばらんに盛り上がったスレッドだが、ここにひとりの「開発者本人」がレスをつけた。
 

 
開発者のRobotHavGunz氏は、前述した「開発者のやり込み度」の話題を踏まえてレスをつけているようだ。いわく、『Apex Legends』プレイスキルに関する内部レベルは「ほかと一緒」で、個人によるばらつきがあるという。RobotHavGunz氏自身はというと、あるときプレイ中に「やば、開発者じゃん! キャリーしてくれる?」と声をかけられたという。対する同氏の回答は「ゲームを遊ぶより、ゲームを作る方がよっぽど得意なんです……」と、何とも慎ましいレスポンス。

RobotHavGunz氏は、開発者バッジをつけていることは大きな誇りをもたらしてくれるうえ、パーティーで一緒になった人が喜んでくれるのはとても名誉なことだと断言。一方自身のプレイングはというと、そもそも同氏は生粋のRPGプレイヤー。シューターを遊ぶと言っても『ギアーズ』『ゴーストリコン』シリーズなどの三人称視点がメインだったそうだ。そうした経歴を踏まえての先ほどの謙遜した口ぶりだったのだろう。とはいえ、RobotHavGunz氏は『Apex Legends』を遊ぶ際には「よきチームメイト」であることに全力を尽くしているという。また、もっぱら野良でプレイしているという同氏は、逆に多くのプレイヤーからXboxコントローラーのセットアップを教わるなど、研鑽の日々を続けているようだ。

聞けば齢40にして、4人の子どもをもつという RobotHavGunz氏。先ほどのユーザーが茶化して書いた「デベロッパーもただの人」という皮肉には、むしろ肯定的だ。ミドルエイジのパパプレイヤーにとって、『Apex Legends』でしのぎを削ることはまさしく骨の折れる仕事だからである。ゆえに RobotHavGunz氏は、自身が携わるゲームでトップランクに属する猛者への敬意を忘れない。熱意あるプレイヤーを見るにつけ、信じられないほど情熱的なコミュニティにいつも感謝の念を抱いているという。
 

 
なおRobotHavGunz氏は同日、別のスレッドにもレスをつけている。あるユーザーが「初心者野良でプレイしていたら、とても親切な知らない人のサポートでチャンピオンになることができた」と喜びを語る投稿に、祝福コメントを寄せている。同時に、自身より優れたプレイヤーから多くのことを学べる喜びに対し、深い共感を示した。RobotHavGunz氏の体験によれば、プレイヤーのほとんどは心優しく親切だったという。数多くのゲームを遊んできた経歴から、それは決して「開発者バッジによる影響」ではないだろうと述べている。投稿を見たことで、改めて開発者としても、プレイヤーとしても『Apex Legends』に参加していることを誇りに思うと締めくくった。開発者バッジを通じて、改めてデベロッパーとユーザーのさまざまなかたちでの交流がなされているといえるかもしれない。

ただしここでひとつ、RobotHavGunz氏から豆知識。実は開発者バッジは、Respawn Entertainmentの社員であれば“誰でも”手に入れることができるのだという。『Apex Legends』の開発チームでなくとも、『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』や、『Medal of Honor: Above and Beyond』のスタッフであればバッジを着けることができるというわけだ。もしあなたがアウトランズで“開発者”を倒して得意になっていたとしても、いつかVR空間の20世紀ヨーロッパーーーすなわち『Medal of Honor: Above and Beyond』の世界ーーーで額を撃ち抜かれているかもしれない。