バスケットボールゲーム『NBA 2K21』に“スキップ不可”の広告が導入。ゲーム体験を損ねる仕様にファン反発


今年9月に2Kから発売されたバスケットボールゲーム『NBA 2K21』に、最近になってゲーム内広告が追加されたとして注目を集めているようだ。海外メディアStevivorなどが報じている。
 

 
上の映像は、『NBA 2K21』にてクイックプレイを選択した際の様子である。ロード中には、2K TVと呼ばれる映像コンテンツを流す仕組みになっているが、ここに先日発売されたVRヘッドセット「Oculus Quest 2」の広告が流れている。PC/PS4/Xbox One版いずれも同様で、これまではこうした広告表示はなかったという。

本作において、ゲーム内広告の存在自体は珍しいものではない。ただ、今回導入された映像広告は、ロードの待ち時間のいわば暇つぶしのようなかたちで用意されているにも関わらず、広告が終わるまで次の操作を受け付けてくれない。つまりスキップできない仕様なのだ。SSDにゲームをインストールしてロード時間を高速化したとしても、待ち時間は変わらないとのこと。プレイヤーのゲーム体験を損ねる結果となり、コミュニティからは大きな反発の声が上がっている。

実は2Kは、昨年発売の前作『NBA 2K20』でも同様の仕組みの広告を導入し、ファンからの反発を招いていた(Reddit)。広告が終わるまで待たされるというのは、まるで無料配信されているモバイルゲームのようだが、本作はフルプライスタイトルである。こうした点からもファンの怒りを買っていた。
 

Image Credit: Stevivor

 
今回と似たケースとしては、今年8月にフルプライスで発売された総合格闘技ゲーム『UFC 4』でも発生。試合のラウンド間に、短い時間ではあるが画面いっぱいに広告が挿入され、やはりファンから批判の声が噴出。こちらも発売からしばらく経ってから広告が導入され、中にはメディアなどのレビューで指摘されないよう、意図的に時期をずらしたのではという憶測まで生まれた。結果的に、同作の販売元EAはファンに謝罪し、問題の広告の削除することとなった(関連記事)。

これらケースのRedditなどでの反応を見ると、すでにフルプライスを支払ってゲームを購入しているという前提があることで、ファンの怒りが増幅しているようだ。メーカーとしては、高騰続く開発費の回収や利益の最大化を狙って広告を導入しているのだろう。そうであるなら、せめてゲーム体験を阻害しない広告の見せ方を追求すべきだったかもしれない。上述の『UFC 4』のケースでは、ゲームプレイ画面にオーバーレイ表示させる形は、今後導入することはないとEAは約束している。今回の『NBA 2K21』について、2Kはどのような反応を示すのか注目される。

【UPDATE 2020/10/21 13:00】

『NBA 2K21』の販売元2Kは10月21日、本作の公式Twitterアカウントを通じて声明を発表した。同社は、今回ゲーム内の2KTVを通じて配信した広告が、プレイヤーのゲーム体験に影響を与えたことを認めたうえで、こうした広告を試合開始前に流すことは意図したものではなかったと釈明。今後の2KTVの配信内容については修正をおこなうとし、フィードバックを寄せてくれたコミュニティに感謝の言葉を述べている。

同社のコメントから察するに、こうしたゲーム内での映像広告自体は何らかの形で継続しながら、どの場所・タイミングでプレイヤーに見せるかを今後調整していくことになるようだ。