穴となりすべてを飲み込む『Donut County』PS4/Nintendo Switch版国内配信開始。盗作騒動を乗り越え、iPhone版がGOTYを獲得した作品

 

パブリッシャーAnnapurna Interactiveは本日12月18日、『Donut County』のPlayStation 4/Nintendo Switch版を配信開始した。価格は税込1500円。同作はPC/iOS版が8月に配信されており、ここにPS4とNintendo Switch版が加わることになる。海外向けには、Xbox One版が配信開始されている。

『Donut County』は、「穴」となり物を飲み込んでいくアドベンチャーゲームである。主人公となるのは、アライグマのBK。BKのいたずらにより、Donut Countyに住まう動物たちは、999フィート下方の地底で暮らすことを強いられている。少女や動物たちがBKを問いただすも、BKは頑なにその罪を認めない。BKは一体何をしたのか。住民たちはどのような経緯で穴に落ちるはめになったのか。プレイヤーはBKとなり、穴を操作しながら物事の経緯と結末を見届けることになる。

本作は、ステージ形式が採用されており、ステージに存在する一定もしくはすべてのオブジェクトを飲み込むことでクリアとなる。ステージ開始時にはの穴が極めて小さいが、物を飲み込んでいくうちに穴のサイズは大きくなっていき、より大きなオブジェクトを飲み込めるようになってくる。植物から家具や人、挙げ句は建造物など、さまざまなものを飲み込むのだ。単に穴に物を入れていくだけに終始するわけではなく、ステージによっては、穴にたまった水を利用したり、もしくは穴に入れたものを逆に吐き出したり、飲み込んだものを組み合わせてツールにしたりといったギミックが登場する。

動物たちのゆるい会話を楽しみ、次のステージへと突入。穴を操作し、かわいらしい音楽を聞きながら、物を飲み込みまくりステージをクリアする。ステージクリア後は、またゆるい演出を楽しみ、次なるステージを目指すわけだ。メインストーリーは、2時間かからずクリア可能。やりこみ要素なども特に存在しないが、独特の世界観や、穴となり物を飲み込むという体験は本作でしか味わえない。コンパクトでユニークな作品を求めるユーザーにはぴったりなのではないだろうか。

なお、『Donut County』の開発者であるBen Esposito氏は今年6月、基本プレイ無料のモバイルゲーム『Hole.io』にアイディアを盗まれたことを示唆していた(関連記事)。というのも、『Donut County』は2012年に『Kachina』として本作を発表して以来、メディアから注目を集めてきた。一方で『Hole.io』は、数多のカジュアルゲームを配信しているVoodooの作品だ。今年になり「穴に物を入れる爽快感」が口コミを呼び、各国のAppストアにてランキング上位に入るなど、ヒットした。『Hole.io』のアイディアがどこからきたのかは厳密にわからないが、同作が配信される何年も前から公に発表され注目されていた『Donut County』のゲームコンセプトを参考にしたと考えるのは、ごく自然な見解だろう。

『Hole.io』

Esposito氏は、自分のゲームが発売前にこうした作品が流行していることにショックを受けながらも、異なる魅力をユーザーに提供できるはずと前を向きながら決意を固めていた。最終的にゲームは、PC/モバイル/コンソール向けにリリースされた。そしてiPhone版はAppストアでGame Of The Yearを獲得するなど、いくつかのアワードも手にしている。一方で『Hole.io』はAppストアの2018年のゲームチャートの上位にランクインしながらも、いずれのアワードも獲得できなかった(『Donut County』はチャート圏外)。『Hole.io』は多くのユーザーに遊ばれたが、『Donut County』は作品として高い評価を得る結果となった。ぜひこの年末は「穴」をめぐる動物たちの物語を楽しんでみてはいかがだろうか。