マイクロソフトは10月8日、ストリーミングゲームサービス「Project xCloud」を発表した。同社は今年のE3にて、任意のデバイス上でコンソール機と同等の品質のストリーミングサービスを提供する計画があると明らかにしていたが、今回正式にアナウンスした形だ。2019年からパブリックトライアルを開始するとのこと。
Project xCloudにてマイクロソフトは、PCやコンソールでゲームを楽しむゲーマーに、いつでもどこでもゲームをプレイできるという新たな選択肢を提供すると同時に、これまでスマホ向けのモバイルゲームしか知らなかったゲーマーに新たなゲーム体験を提供することを目指している。具体的には、Xbox Oneゲームをストリーミングにてプレイできるサービスとなり、同社は複数のXbox One本体コンポーネントとインフラ関連の技術を組み込んだ特別なブレードサーバーを開発。これを、同社が全世界140か国で展開しているクラウドコンピューティングプラットフォームMicrosoft Azureのデータセンターに導入してサービスを提供するという。すでにアメリカ・ワシントン州クインシーのデータセンターに導入してテストを開始している。
ストリーミングゲームサービスというと、ソニーがPS4およびPC向けにPlayStation Nowを展開しており、任天堂のNintendo Switchでも『アサシン クリード オデッセイ』など一部タイトルにてその技術が採用されている。またPCでは、NVIDIAのGeForce NOWなどいくつかのサービスが存在する。いずれもクラウド側で実行されたゲームの映像をプレイヤー側が受信し、プレイヤーの操作入力をクラウドに送信してゲームをプレイする形だ。高速かつ安定したネットワーク環境が求められるが、パワフルなデバイスを必要とせず、ゲームをインストールする手間もなくすぐに楽しめる。
マイクロソフトは、大量のユーザーに向けて高品質なゲームプレイ映像と操作入力を低遅延でやり取りすることが求められるなど、ストリーミングゲームサービスは複雑な要素の絡む挑戦だとしながら、ソフトウェアとハードウェアの両方を手がけるプラットフォームメーカーとしての経験を活かし、Azureを利用しながら素晴らしいゲーム体験をユーザーに届けるとしている。今回公開された映像では、AndroidスマートフォンにXbox OneコントローラーをBluetooth接続して『Forza Horizon 4』をプレイしたり、タブレットを使い『Sea of Thieves』をバーチャルパッドでプレイする様子が披露されている。これらは実際にストリーミングを実行しておこなったテストの映像とのことだ。
Xbox One向けには、すでに3000タイトル以上がリリースされており、そしてもちろん現在も新たなタイトルが開発中である。Project xCloud用のハードウェアにはこれらのゲームとの互換性があり、開発者は特に追加作業をすることなく、Project xCloud向けにもゲームを提供できるという。Xbox Oneは一部のXbox 360および初代Xboxタイトルとの後方互換を実現しているため、これらも提供可能かもしれない。
またマイクロソフトは将来のタイトルについて「Xbox games」と述べ、Xbox Oneに限定していないかのような表現で説明している。ブレードサーバーはカスタマイズ可能だそうで、Project xCloudではXbox One世代のさらにその先をも見据えているのかもしれない。なおProject xCloudはWiFi環境だけでなく、4G(第4世代移動通信システム)ネットワークでも利用可能で、さらに次世代の5Gへの対応も見据えて技術開発を続けているとのこと。ちなみに、5Gは日本では2020年から段階的にサービス開始していくとされている。
マイクロソフトのXbox事業責任者のPhil Spencer氏は、Netflixのようなサブスクリプション型サービスについて、かねてから展開に積極的な姿勢を見せており、それは現在Xbox One向けに海外で提供している月額9.99ドルのXbox Game Passという形で実現している。Xbox Game Passは、ストリーミングではなくゲームデータをダウンロードして楽しむ形で、ファーストパーティータイトルについては発売日から提供され人気を得ている。Project xCloudもまた、サブスクリプション型サービスとして展開されるのかもしれない。Project xCloudが具体的にどのようなプランで提供されるのか、まだ詳細は明らかにされていないが、来年実施されるパブリックトライアルに合わせてさらなる情報が提供されるとのことだ。