Steamにて、一部アダルトゲームの発売が差し止め中。“すべてを容認”するための新機能が実装されるまで身動きとれず

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Steamにて発売予定のアダルトゲーム『Shining Song Starnova』の開発チームLove in Spaceが、Valveの差し止めによりSteamでゲームを発売できないことをTwitter上で明かしている。Love in Spaceによると、ValveはSteamでユーザーにストアで見えるタイトルをコントロールさせる新機能(フィルタリング)の実装に取り組んでおり、『Shining Song Starnova』はその機能が必要であると認識されているため、実装されるまでは同作を発売できないと話しているという。それゆえに、ゲームをいつ発売かも発表できない状態にあり、新たなニュースがあれば伝えるとしている。

『Shining Song Starnova』は、日本のアイドル業界をテーマとしたノベルゲームだ。パブリッシングはSekai Projectが担当する。プレイヤーはプロデューサーとなり、個性豊かなアイドルをプロデュースしていく。華やかアイドルを支えるゲームとは異なり、同作のアイドルはそれぞれ重い過去を抱えており、またアイドルになるという過酷な現実と対面していく。プロデューサーとして、アイドルになるために現実に立ち向かう彼女たちを受け入れ支えていく物語となるようだ。Love in Spaceはアメリカのサンディエゴに拠点を構えているが、同作の声優には早瀬弥生氏、綾音まこ氏、八尋まみ氏、藤邑鈴香氏、綾瀬あかり氏、ヒマリ氏といった日本の声優を起用し、ユーザーが没入感を高められるような、さまざまな工夫がなされている。

本作は、Kickstarterでは美少女ゲームであるにもかかわらず5万1000ドル(570万円)の資金を集めた期待作だ。デモ版が、Steam向けのものとSekai Projectの提携企業であるDenpasoft向けものに分けて配信中。両バージョンともに部分的なヌード表現を含んでおり、Denpasoftでは“h-scene”がアンロック可能であるという。要するに、アダルトゲームに近い位置づけの作品だ。それゆえに今回配信が差し止められていると考えられる。

Sekai ProjectはTechRaptorの取材に対し、同作が発売差し止め状態であることを認めており、数か月待たされている状況であるとも報告。同作のほかに再提出するように求められているタイトルが存在するともコメントしている。新たな機能の実装における影響は、新作だけでなく旧作にも適用されているようだ。Sekai Projectの日本アカウントもまた、以前から『Shining Song Starnova』の現状を伝えており、今回の開発元の声明も発信している。さらにTechRaptorによると、そのほかのアダルトゲーム開発者も、同様の措置を受けているという。

Steamにおけるアダルトゲームといえば、5月にValveが同ジャンルのゲーム開発者向けに性表現の削除および変更を求めていた(関連記事)。急な変更要請と曖昧な基準により開発者だけでなく多くのユーザーの反発を受け、要求を撤回。6月には一転、「違法」「荒らし」以外のすべてのコンテンツを基本的に容認していくと発表(関連記事)。それにあわせて、ユーザーの要望にあわせてフィルタリングできる新機能を実装する予定があることも明かしていた。そのフィルタリング機能の準備が、今回アダルトゲームのリリースを阻んでいるということになる。

一方で、Sekai Projectは5月以降も18禁ゲームとして国内で発売されていた『まいてつ』をSteam向けにリリースしている。実はこの『まいてつ』は18歳以上を対象としたコンテンツは収録されていないという。また従来のアンロック型のパッチシステムは採用されておらず、“楽しみたい”ユーザーは外部ストアから購入し解禁する形となっているようだ。推測の域はでないが、『Shining Song Starnova』ではSteam版に性表現が含まれていたり、アンロックすることで過激なシーンが楽しめる仕様になっているのかもしれない。とはいえ、5月にValveがアダルトゲームに削除勧告をおこなった際にも、警告を受けたタイトルに確かな共通点が見つけられなかったことから、しっかりとした基準がなく、担当者の裁量でこうした措置をとっている可能性もあるだろう。

『まいてつ』

つまり、『Shining Song Starnova』は、リリースを控えながらもValveの制定した新機能が実装されるまで身動きのとれない状態であるようだ。Sekai Projectは他のストアでの販売を検討中ともコメント。Steamにてアダルトゲームの削除騒動が発生して以来、MangaGamerやSekai Projectは、外部パッチによるアダルト表現の解禁を容認しているGOGにて自社ゲームの販売を開始している。そのほか、アダルトゲームのデジタルストアに駆け込むデベロッパーの姿も確認されている。Valveはアダルトゲームに対し削除要請をしたのち撤回し、Steamにて例外を除くすべてのゲームを容認するとし一部の開発者を喜ばせたが、現時点ではアダルトゲームは解禁されていない。準備期間が終われば、セクシャルなゲームがSteamに並ぶことは許可されるのだろうか。すべてを容認することを公言したValveの施策に注目が集まる。

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