被告人キアヌ・リーブスを殺人の疑いから救う無料ブラウザゲーム登場。『The Stanley Parable』作者の新作

『The Stanley Parable』や『The Beginner’s Guide』で知られるゲーム開発者Davey Wreden氏は11月28日、RPGツクール製のブラウザゲーム『Absolutely: A True Crime Story』をitch.ioにて無料公開した。1周あたり5分から10分で終わる短編作品であり、『The Beginner’s Guide』のサウンドを手がけたRyan Roth氏も開発に携わっている。これは「実際に起きた、実在する犯罪者キアヌ・リーブスの物語である」という一文と共にはじまるクライム・ストーリー。もちろん、実在する俳優キアヌ・リーブスとは無縁である。

ゲーム冒頭、主人公キアヌ・リーブスは取調室らしき場所で尋問を受けている。男女7人を刺殺した疑いをかけられたキアヌ。検察官の調べによると、凶器に使われたと思わしきナイフからはキアヌの血液、指紋、唾液等が検出されている。3人の目撃者から証言を得ているほか、事件現場の監視カメラには、キアヌが被害者を15回にわたり刺している様子が映っていたとのこと。おまけにキアヌは自ら警察署に足を運び、「私キアヌ・リーブスは、殺人を犯しました」と口述したという。残念ながら彼が犯人であることはほぼ間違いない。そうなってくると、求められるのは無実の証明ではなく情状酌量の余地があるかどうかである。電気椅子による死刑から逃れるべく、当日の回想をはじめるキアヌ。そう、あれは冬至の夕暮れどきだった……

「マトリックス」でネオを演じたあの俳優とはまったく似ていない

事件当日、キアヌはいつもどおりの平穏な一日を送っていた。彼が住む「NoCrimesVille」(直訳すると犯罪のない町)での、なにげない日常。高品質な未加工ドラッグを、依存症になって久しい地元のキッズに売りさばくという、いつもどおりのキアヌだ。「わーい、やったー!今夜もキメて楽しむぞ〜!」「ありがとう、キアヌさんは本物のアメリカン・ヒーローだよ!」。キアヌと取引をしたキッズは大喜び。

おや、なにやら物憂げな様子のサリーちゃんが路上に立っている。話を聞くと、どうやら「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン7が開幕したけれどHBOの契約料を払う余裕がないとのこと。それならばと海賊サイトのURLを教えてあげる親切なキアヌ。こうして善良なる市民たちの悩みを解決し、去り際に怪しい小袋を渡していく。そう、ただ小袋を渡すだけ。今日は誰も刺さない、警察の世話にもならない。キアヌはそう誓っていた。

町のキッズは大喜び

すると町の奥から女性の悲鳴が聞こえてきた。「いまからコイツを殺すぞ!」。なんということだ、か弱い女性が悪党に絡まれているではないか。俺の町では誰も死なせない。そう立ち上がったキアヌは悪党を執拗に刺しはじめる。威勢のよい声は聞こえなくなる。「ありがとう、キアヌ!」。彼はこの町の人々から愛されている。

一仕事終えたキアヌは、ご褒美の一杯にありつくため、地元のスーパーに出向く。はやく、はやくキンキンに冷えたビールで喉を潤したい。我慢できなくなったキアヌは、店員やレジに並ぶ客、さらには全く関係のない見物人まで殺めてしまう。

手出ししてこない相手も容赦なく刺す

キアヌが人を殺めてしまうという運命はどうあがいても変えられない。だが町の人々とどう接したかによって、判決が変わる。もしかすると、審判が下される直前になって、町の子供たちがキアヌを救いに来てくれるかもしれない。「キアヌさんは私がもっとも必要としていたときに、薬物を売ってくれました」「キアヌさんは素晴らしいお方です。触手が秘めている性的エネルギーの魅力に気づかせてくれました」。こうした子供たちの素直な意見が裁判官の心を動かすかもしれないのだ。

無料アセットのパッチワーク、誤植だらけのダイアログ、演出は派手だが戦略性がまったくない極限にまで簡略化されたRPGメカニック、同じくまったくゲームプレイに影響を及ばさない形だけのアップグレード機能。まさしく作者のDavey Wreden氏が語る「何十年にもわたり成長を積み重ねてきたビデオゲームという媒体」が行き着いた先といったところだろう。いや、正直なところ、本作になにか深淵な意味が込められているのかどうかは分からない。

ただKotakuRock, Paper, Shotgunといった各種海外メディアで取り上げられている様子を見る限り、キアヌ・リーブスという素材に目をつけたのは正解だったようだ。もちろん、『The Stanley Parable』作者の新作だからこそ話題になっているわけだが、Wreden氏が今年公開した『IRS Simulator』はそれほど注目を浴びていない。キアヌ・リーブスが「マトリックス」「スピード」「コンスタンティン」「ジョン・ウィック」などで知られるハリウッド・スターでありながら、本作のタイトル画面の素材としても使われているネットミーム「Sad Keanu」、およびそこからスピンオフした「Happy Keanu」「Tai Chi Keanu」など、ネット上で強く愛されている人物であるというのも大きいだろう。ただ、しつこいようではあるが、本作と俳優キアヌ・リーブスは無縁である。俳優キアヌ・リーブスは殺人の罪で捕まってはいない。

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