ハチャメチャアクション『Dangerous Men』は、「二人組み刑事もの」と3D『ファイナルファイト』の融合を目指す

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発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。BitSummit 4thが閉幕してから3週間経過したのだが、会場で発見した魅力的な作品を紹介する。第267回目は『Dangerous Men』をピックアップ。

BitSummit 4thではさまざま個性豊かなタイトルが展示されていた。どのタイトルもそれぞれ異なった魅力を持っているが、“ハチャメチャさ”という視点で語るならば、『Dangerous Men』は特に際立っていたタイトルだと言えるだろう。どぎつい色合いで彩られたグラフィック、荒れ狂うばかりの物理演算、止まない敵のリスポーン、思わず瞬きしたくなるギラギラしたエフェクト。とにかく『Dangerous Men』は、画面中をハチャメチャで覆い尽くし、豪華な素材でプレイヤーを殴ってくる。しかし、その混沌がとにかく刺激的で楽しいのだ。

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それもそのはず、開発を手がけているのは『Vane』を発表し注目を浴びた実力派デベロッパーFriend & Foe。AAAタイトルを手がけたベテランスタッフで構成されたスタジオが放つ『Vane』は、ただ鳥となって飛ぶというテーマでありながら、その神秘性や空気感から多くの人々の目を引きつけた。Friend & Foeは設立当初からふたつのプロジェクトを進行させていることを発表しており、『Dangerous Men』もiOS向けに開発されていると報告されていた。長きにわたり「80年代アメリカで警官が活躍する」という情報しか提示されていなかったが、BitSummit 4thで沈黙を破りPC向け作品として装い新たにお披露目されたというわけだ。今回は開発者のMatt Smith氏にうかがったお話を交えながら、改めて本作の魅力とデザインについて紹介していきたいと思う。

『Dangerous Men』は斜め見下ろし型のアクションゲームだ。プレイヤーはDan “J” Rossと Don Mendozaという名の喧嘩っ早い2人組みの警官となり、そこら中をうろつくギャングたちをなぎ倒しながら、街で平和と正義を取り戻すのが目的となる。開発スタッフは「『ダブルドラゴン』と『ファイナルファイト』から影響を受けた」と語っているが、そういったタイトルを3D化させたというイメージを持ってもらっても問題ないだろう。画面に見えるオブジェクトはほとんどが破壊したり持ち上げたりすることが可能。建物の上に登ることもでき、奥行きのみならず高低差という点でも余すことなく3Dが体感できる。このように、本作のなんでもあり感は自由度という形でも表現されていて、ただ操作しているだけでも楽しみが感じられるタイトルとなっている。道中では仲間を守るミッションや強制スクロールで襲い来る敵から逃げるといったギミックが用意されており、幅広く楽しめそうだ。

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操作は大きく分けてよっつ。パンチやキックを放つアタックアクション、道に落ちている物を拾うアクション、ジャンプアクション、そしてパートナーアクションだ。特に注目したいのがパートナーアクション。本作はco-opを採用しており、他者とのプレイが基本となる。攻撃面ではパートナーと協力することでスペシャルを放つことができるし、パートナーがプレイヤーの足場となり、高いところへ登るといった場面もあり、さまざまなシーンでパートナーを助けることができる。わざとパンチをして仲違いを引き起こすプレイも可能だ。大量の敵を爽快になぎ倒しながら、時には冷静にチームプレイに徹するといったメリハリがゲームを攻略する鍵となるだろう。

ディレクターであるVictor Santaquiteria氏は「二人組みの刑事モノ」に愛着があり、映画『リーサル・ウエポン』などを好んでいたが、そういった世界観のゲームがあまり存在しないと感じていた。さらに『ファイナルファイト』のようなベルトスクロールアクションゲームを作りたいと願っていたことから、それらを組み合わせて本作が生み出されたそうだ。筆者がプレイした限りでは、ゲームの根幹部分は出来上がっているように感じた。それなのに、あくまで『Vane』の開発の合間に“休憩”として作られていたもので、本格的な開発期間もまだ4~5か月というのだから驚きだ。2人組みのキャラクターを操作するゲームということで、BitSummitでもco-opプレイがメインとなっていたが、もちろん一人でも遊べるように開発されている。オンラインco-opも予定されているとのこと。現在『Dangerous Men』の開発は停止中で、『Vane』の開発に注力しているのだという。

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興味深いのは、Friend & Foeはたった8人で構成されていることだ。彼らはメインの拠点を東京に構えていながらスタッフは全員外国からやってきたという多国籍集団。「他社の下で働きたくない」という共通の信念からスタジオが立ち上げられたのだという。東京とは別にスウェーデンにもスタジオが存在しているようだ。冒頭でも述べたようにスタッフは『Battlefield』シリーズや『人喰いの大鷲トリコ』、『KILLZONE』といった大型タイトルに携わってきた経歴を持っており、熟練のベテラン揃い。『Vane』や『Dangerous Men』という高い自由度や美麗なグラフィックを誇るタイトルを8人 で同時開発できるのも、ベテランスタッフだからこそ為せる業なのかもしれない。

何よりもまずは『Vane』を完成させなければいけないので、『Dangerous Men』のリリースはまだ計画さえも立てられていないとのこと。開発は初期段階のようだが、BitSummitのデモは常に行列が出来ていて多くのユーザーがプレイ中に笑顔を見せていた。プレイの感触も良く期待は高まるが、現在は『Vane』の完成を楽しみにしつつ首を長くして待っておこう。

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