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名の知れた作品を題材に別のものを作り上げることは、たやすいことではない。それが国民的アニメとなればなおさらだ。テレビアニメ放映から36年が経過した「機動戦士ガンダム」は、日本国内のみならず海外にも多くのファンを持つ。その人気の高さゆえ、誕生から今日までのあいだ、数多くのガンダムゲームが世に送り出された。家庭用ゲーム機をはじめ、アーケードやモバイルデバイスまで、その数は100を超える。なかでも特異なのは、2012年からサービスが開始した『機動戦士ガンダムオンライン』だ。

『機動戦士ガンダムオンライン』は、株式会社バンダイナムコオンラインが開発・運営する、大規模なオンライン対戦ゲームである。地球連邦軍とジオン公国、多数のモビルスーツがひとつの戦場で激突する風景は、原作ファンの心に刺さるものがあるだろう。今回AUTOMATONは『機動戦士ガンダムオンライン』の開発プロデューサー佐藤一哉氏に、同作の魅力や、人気アニメを題材にしたゲームを開発・運営することの難しさなど、さまざまなお話をうかがった。前編のテーマは「ガンダムオンラインとは」。

 

『機動戦士ガンダムオンライン』開発プロデューサー佐藤一哉氏
『機動戦士ガンダムオンライン』開発プロデューサー佐藤一哉氏

――株式会社バンダイナムコエンターテインメントを知っていても、株式会社バンダイナムコオンラインとなると意外と知らないという方もいるかなと思うのですが、グループ会社でしょうか。

はい。バンダイナムコグループのなかで、数年前にオンラインゲームを各部署やプロジェクトチームで、いろいろ手を広げてやっていた時期があったんです。その後グループ全体で統一してやりましょうという動きがありまして、新しくグループ会社として設立されたのがバンダイナムコオンラインです。なのでPCオンラインゲームを専門にしてやってますね。

 

――設立されてから何年ぐらいですか。

今で6年ですね。ガンダムオンラインはかなり特徴的でして、クライアントサーバー型の本格的なオンラインゲームです。こういったゲームを国内でリリースするのが、バンダイナムコオンラインのひとつの目標であったんです。ほかにもブラウザのゲームであるとか、PCベースでできるオンラインゲームっていうのを専門的にサービスしています。

 
――ガンダムオンラインがどのようなゲームなのか、あらためてAUTOMATONの読者に対して説明していただけますか。

ガンダムオンラインはですね、正確には『機動戦士ガンダムオンライン』というタイトルなんですが、3年前の2012年の12月から始まりました。見てのとおりガンダムゲームなんですけど、ほかのガンダムゲームとどう違うかというとですね、「52人vs52人で対戦するというコンセプトの、大人数での対戦PCオンラインゲーム」という点です。ガンダムは戦争の話、とくにファーストガンダムを当初よりモチーフにしてまして。ファーストガンダムは地球連邦軍とジオン公国軍に分かれ戦争をしていたストーリーで、劇中でもモビルスーツの大隊と大隊がぶつかりあう様な表現があったと思います。なかなかそれをゲームで実現しているところがなくて。ひとりのプレイヤーになって、本当に戦争感というか、何十機ものモビルスーツが同時にぶつかるって、アクションゲームではあまりなかった。シミュレーションとかではあったんですけど。それをアクションゲームという形で再現したのが、ガンダムオンラインです。

 

――魅力は52vs52の大規模戦?

そうですね。大規模戦が売りというか楽しい部分で、私なんか子供のころからガンダムが好きで、ガンダムは36年たっていて、私なんて生まれてないころから存在していて、そのなかで、モビルスーツに自分が乗り込んで、動かして、戦場に沢山のMSがいる感じが出せるゲームというのは、なかなかなかった。対峙する敵が、本当にひとりのプレイヤーであるというのは、すごい戦場感があると思います。

 

――ガンダムはやっぱり国民的アニメといいますか、日本でも海外でも人気です。そのガンダムのゲームの開発・運営のプレッシャーというか、ユーザーからの期待など感じるものがあるのでは。

それはすごく大きいですね。やはりガンダムは、さきほども言ったように、何十周年もあるなかで、非常に幅広い年齢のファンがいて、古くから思い入れのある方もいて、好きなモビルスーツや好きなキャラクターがいて。どういう風にゲームに落とし込んでいるかってのは、お客さんもすごく懸念しているところだと思います。非常に大変なコンテンツですね。

ゲームに落とし込むなかで、どうしても原作とは違った表現になってしまうこともありますので、お客さんから見ると、原作ではああだったのにどうして?と疑問に思ってしまう部分が出てきてしまうところはあります。あくまでガンダムのゲームということもあるので、ある程度そういった部分は出てしまい、申し訳ないところもあります。

たとえばですね、1話でガンダムが登場したときに(「ガンダム大地に立つ」)、ザクのマシンガンをまったくうけつけないんですよね。ガンダムの装甲はものすごく強度があるルナチタニウム合金製なので、ザクのマシンガンはまったくきかないという表現ではあったんですけど、そのままゲームにしてしまうと、ガンダムはザクの攻撃がまったく通用しなくなってしまいます。そうなると、ゲームとしては破綻してしまうので、そういった部分を丸め込んでるところはあります。

 

――現時点で、プレイできる機体は何体ぐらい登場しますか。

プレイアブルなもので、200体強です。一応、連邦軍かジオン軍が選べるようになっているので、連邦で約100機体、ジオンで約100機体ですね。

 

――ほとんどの機体が出るという感じですか。

まだまだこれからも追加していく予定です。ガンダムオンラインはもともとは「一年戦争」の部分、ファーストガンダムの部分から始めています。そこから徐々に時代を進めていって「08小隊」だったりとか「0080」だったりとどんどん増やしていって、「0083」のところまで含めていって、それが2015年の夏頃まででした。そこからさらに、夏のアップデートで拡大して、ユニコーンの時代、宇宙世紀0096年代の機体まで含まるようになり、今後も機体は増やしていきます。

 

――人気の機体ってありますか?ジオン軍でプレイしていたとき、味方にアッガイがいると「アッガイかわいい」というチャットが流れまして、アッガイは人気なのかなと。

(笑)そうですね、今のガンダムオンラインでは、ゲームのバランス上、優秀な機体が人気の機体になっていて、ジオン軍でいうとガーベラ・テトラが人気で、かなり見かけると思います。おっしゃっていただいたアッガイはですね、秋口ぐらいに追加要素を入れたんです。体育座りができるとか、ちょっと特徴的な格闘を入れたりしてですね、すごく強いってわけじゃないんですけど、アッガイを好きな方って結構多いので、アッガイ分を追加してですね、一時的にアッガイユーザー増えました。

とくにジオンの機体っていうのは、原作の設定上かなりユニークなものが多いですよね。アッガイもそうですけど、ズゴックとかゾックとかそういう形が特徴的なものが非常に多いので、特定の機体のファンはジオンのほうが多い印象がありますね。「俺はこの機体が好きだ!」みたいな。そういったマニアックな需要もキャッチしていきたいなと。

連邦で言うと、アレックス(ガンダムNT-1)が人気ですね。性能的にも優秀というのもあるんですが、地球連邦軍のユーザーは、割りと幅広く、色んな機体を使っていますね。

 
mobile-suit-gundam-online-producer-kazuya-sato-part-1-001――では、ジオンのほうで逆に人気のない機体はありますか。

使用率で言うと、すごく減っている機体もいます。ゲームバランス上、誰でもある程度強く扱える機体というのと、多少はテクニックがないと強さが発揮できない機体というのがありまして、使用率に差は出てしまいます。ですが人気がない機体でも、それなりに戦えるように設定されています。52vs52の利点というわけではないのですが、2vs2とかもしくは4vs4とか、少人数の対戦ゲームだと、ひとりあたりの責任は非常に重たくなってしまいますよね。だけど、52vs52だと戦力が分散されるので、たとえば1人に対して3人とか5人とかで戦う事もできます。1人が不利だったとしても、戦法や立ち回りによってそれなりの活躍できるので、人気がないから弱いってわけではないです。

 
――ひとりあたりの責任がそれほど重くないとなると、アクションゲームが苦手というガンダムファンの方でも遊びやすい設計になっていると。

そうですね、意外と遊びやすいと思います。対戦ゲームであったりとか、どうしてもお金を払って機体を買ったりする要素があるので、そういうところで敬遠されている方もいると思います。お金を払わないと勝てないんじゃないか、とか。その辺りは対戦ゲームの中ではマイルドに仕上がっていると思います。弱い機体で出たからといって一瞬で殺されたりとか、そういうのは少ないです。もちろんいきなり最前線に行けば弾が飛び交っているので撃破されてしまいますよ(笑)でも、後方支援もできるので、その辺りは遊びやすくなっていると思います。

 

――ガンダムオンラインは基本プレイ無料ですよね。アジア製のFree-to-Playというと、みんな課金の部分で身構えるというか、コアなゲーマーになればなるほど、そういうところが気になりだすと思います。お金を払ったプレイヤーが強くなり、そうでないプレイヤーは弱いというようなバランスにはなっていないですか。

そういう風には基本ならないように気をつけてはいるんですが、ある程度はお金を払ったユーザーのほうが、先行的に強い部分はあります。より新しい機体のほうが、対戦相手も分析できていないですし。他には、原作的な強弱という部分で、たとえばガンダムとジムでは絶対ガンダムのほうが強いので、お金を払ってガンダムを手に入れた人が、ジムと戦ったら、もちろん性能的にはガンダムのほうが強いというようになっています。そのかわり、ガンダムは出撃回数の制限が厳しいなど、バランスは取っていますので、お金を払わないと全く遊べないほど差が開いているゲームではないです。

そこは、ユーザーさんによって印象は違うってところはあると思いますが、機体は無料でも手に入るようにしていますので、お金を払わずに遊ぶというのも普通にできると思いますよ。

 

――お金を払わないと手に入らないものはありますか。

ゲーム内のBGMというものを売ってまして、原作のBGMが聞けます。普通にCDを買えばいいじゃないかと思う方もいるかもしれないですけど、これを買っておくと、原作マップ、例えばジャブローだと「哀戦士」が流れたりとか、そういう原作感に浸れるような要素があります。意外と買ってみるとなかなか盛り上がれると思います。ジャブローはかなりテンション上がりますよ。

あとはパイロットのボイスも購入できます。基本無料のボイスがあるんですけど、有料のボイスもあって、有名な声優さんに、原作関係なくガンダムオンラインのオリジナルとしてボイスを用意しています。それはお金でしか買えないです。強さに影響しない部分に関しては限定という形にしていますね。

 

――遊んでいて気になったんですけど、チケットを使った機体の強化がありますよね。強化した機体と強化していない機体で差がでますよね。対戦ゲームで差が出るというのは、ちょっと珍しいかなと思ったのですが。マッチメイクの時点で、そういった差をバランス調整しているのでしょうか。

機体の強化の度合いによってのマッチングの調整はしていないです。単純に、プレイヤーの腕前だけでマッチングを調整していて、機体をどう調整したかというのも含めてプレイヤーレベルかなと考えています。

やはり差が出るというところはありますが、当初より、蓄積によって極端に差を付けるようにはしていないです。強化をマックスまでしていないと遊べないようなゲームにはなっていないです。ただ、強化については難しいところがあると私達も思っていて、プレイヤーも勉強しないと、何を、どう強化していいかわからない時がありますので、それは今後の課題かなと思っています。

 

――大型のアップデート、たとえば8月の「0096」ですとか、ずっと物語に沿って進めている感じですか。

基本はそういう風に進めていましたが、8月の大型でポーンと「ユニコーン」まで飛んじゃいました。飛ばしたんですが、この間の時代を無視しているということではないです。いろいろな事情がありまして、一概に説明することは難しいんですが……。一番の大きいところとしては、連邦軍・ジオン軍に別れて2年半の間遊び続けていただいて、コミュニティも形成されていて。話どおりに行くと次は「Zガンダム」になるんですが「Zガンダム」の話は連邦・ジオンという争いではなくて、地球連邦軍の内乱だったり、かなり複雑な話です。普通にいくと、連邦・ジオンという風には遊べなくなってしまいます。

ズバっと変えてしまう案というのも出ていたんですが、連邦軍のパイロットとして、ジオン軍の兵士として、ロールプレイしていたお客様が少なからずいると思ってます。意識的、無意識的な差はあると思いますが。そこを全部バーンと捨てて、はい今日からあなたはティターンズですとか、あなたはエゥーゴですとかなってしまうと、極端すぎるなと。2年半の思いを全て捨ててまでやることなのか、と。もうちょっと時代を延ばすと、ネオジオンと連邦の戦い、そういうジオンvs連邦って構造がまた話的には進んでいくので、いったんそこまで進めてしまって、間の時代というのはちゃんとあとから補完しますってかたちで「ユニコーン」に飛びました。このアップデートの仕方については社内でも非常に揉めたんですが、プレイヤー同士のコミニティやロールプレイへの愛情を取る形で、私が押し切ったところもありました。

機体としてはどんどん増やしていきたいという思いもありますし、魅力的なモビルスーツってのは、あとの時代にも沢山あるので、ユニコーンの時代の機体まで含めて使えますよ、というイメージで考えてもらえればと思います。

 

――ロールプレイする人は多そうですね。

そうですね。ザクIIしか使わないというお客様もいますし、それはそれでこだわりだと思います。ガンダムっていうコンテンツが乗っかっているゲームなので、そこが一番重要だと思っています。36年分の熱い蓄積があると思うので。それはやはり、無視できないというところで、夏の時は変則的な形でアップデートさせていただきました。

 

――ユーザーの声によってアップデート内容を決めることも?

ユーザーの声は常に聞いていて、お問い合わせも普段から数多く受け取っていますし、全部見てます。そういったものはキャッチしますし、いただいたご意見から、アップデート内容を検討することもあります。

 


 

中編へ続きます

 

[聞き手: Shinji Sawa]

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