マウスコンピューターは10月24日、同社の提供するPCブランドNEXTGEARの新モデルとして、ゲーミングノートPCの「NEXTGEAR J6」シリーズを発表した。同ブランドは、マウスコンピューターの既存ブランド「G-Tune」に続く新ブランドで、“コンシューマーゲーミング”を基本コンセプトとしている。
同ブランドでは、一般ゲーマーが主要ターゲットとされており、最新ゲームを楽しむ上で十分なパフォーマンスと購入しやすい価格とを両立する、高コストパフォーマンスの製品が取り揃えられている。このたび弊誌では、NEXTGEARの新ラインナップに加わった「J6」シリーズから、ゲーミングノートPC「J6-A5G60GN-A」の貸し出しを受けた。本稿では、同機種の使用感や、ゲームプレイ時のパフォーマンスを探っていく。
爽やかなグリーンに包まれた16インチ液晶パネル/WUXGA解像度×最大リフレッシュレート165Hzに対応
まずは、本体の外観やサイズ、重量を見ていこう。本体寸法は、幅358.4mm×奥行268.3mm、画面を閉じた状態の高さ(薄さ)はゴム足の高さを除いて26.3㎜となっている。本体重量は約2.29kgで、付属するACアダプターの重量が約0.64kg。合計するとおよそ3kgだ。本体カラーには、SNSサイトX上のユーザー投票で選ばれたグリーンが採用されており、中央にはNEXTGEARのロゴマークがプリントされている。ゲーミングノートPCといえば、黒を基調に差し色を加えるような、重厚感のある配色が一般的だ。それと比較すると、J6-A5G60GN-Aの配色は軽やかさのあるクールな印象。ロゴマークに使用されるブランドカラーとのコントラストも相まって、実物を目にした時にはワクワクするような目新しさを覚えた。
本体を開いて目に入るのは、非光沢の16インチ液晶パネルだ。解像度はWUXGA(1920×1200)で、最大リフレッシュレートは165Hz。高フレームレートのゲームプレイにもしっかりと対応する性能だ。液晶パネルのサイズ感は、過不足のない“ちょうどいいサイズ”といった印象。デバイスと操作者の視点が必然的に近くなりやすいノートPCでは、充分な大きさに感じられた。また、液晶パネルがノングレアというのも嬉しいポイントの一つだ。日光や室内照明の反射に気を使わず、自由に持ち運ぶことができる。
続いて、筐体下部のキーボードおよびタッチパッドを確認していこう。キーボードはテンキーを含むJIS配列で全102キー。キーピッチ(隣接するキー中央間の長さ)は平均的なデスクトップ向けキーボードと同等の約18.82mmで、キーストローク(押し込みの深さ)は約1.4mmと浅めになっている。筆者が普段通りのタイピングをおこなった限りでは、カチャカチャ/パチパチと気になるほどの打鍵音は鳴らない。キーの表面は、光沢を抑えたマットな仕上げで触り心地もよい。しっかりとした押し心地もあるため、前述したキーストロークの浅さが特に気になることはなかった。
また、本機種のキーボードは“nキーロールオーバー”にも対応している。複数キーの同時押しもそれぞれの入力をきちんと検出するため、瞬時のキー操作により意図しない同時入力が起きがちなゲームでも安心してプレイ可能だ。加えて、キーボードのバックライトはコントロールセンターから4ゾーン設定対応RGB LEDで自由にカラー調整が可能だ。ゲーミングデバイスでお馴染みのカラフルな発光のほか、自分好みのカラーを指定することもできる。
日頃PCゲームに触れる機会の多いユーザーであれば、外部マウスを接続して使用することが想定されるものの、高精度タッチパッドの操作感もなかなかにスムーズ。マウスの置き場所を考えずにササッとカーソル操作ができるため、ゲーム以外でのキーボードを多用する作業や、簡単なネットサーフィンなど、用途に合わせてタッチパッドを利用するのも良さそうだ。
さらに続けて、周辺機器の接続時に重要な各種インターフェース(端子)の配置も確認しておこう。背面の左右には通気口が設けられており、各端子は間に挟まれるかたちで並んでいる。端子は右から順に、電源/ネットワーク(LAN)/HDMI/USB 3.1(Type-C)/Mini Display Portとなっている。背面には電源やネットワーク、外部ディスプレイ用の出力端子など、抜き差しする機会が少ないものがまとめられているかたちだ。
右側面には、SDカードリーダー/USB 3.0端子(Type-A)がふたつ。左側面には、マイク端子/ヘッドセット端子(CTIA準拠)/USB 2.0端子(Type-A)がひとつ、ヒンジのすぐそばにはセキュリティスロットが配置されている。また左右とも、ヒンジ寄り奥側には通気口が設けられている。
本体を裏返した底面を確認してみると、こちらもヒンジ寄り奥側が広めの通気口となっている。ノートPCスタンドなどを利用して底面を浮かせることで、さらなる冷却性能が期待できそうだ。このほか、無線インターフェースとして、最大で2.4Gbpsの高速通信を可能とするWi-Fi 6E、Bluetooth 5が内蔵されている。
フルHD/WUXGA解像度で快適なゲームプレイを可能とする“高コスパ”ゲーミングノート
次に、ハードウェア性能を確認していこう。NEXTGEARのゲーミングノートPC「J6シリーズ」は、CPUとGPUの組み合わせで下図の3通りにグレード分けされている。ここから更にメモリ/ストレージの容量が選択可能な、全6機種のラインナップとなっている。
今回使用する『J6-A5G60GN-A』は上図内の中央列。同シリーズ内でミドルスペックに位置付けされるCPU/GPUの組み合わせだ。CPUにはAMDのRyzen5 7535HS、GPUにはGeForce RTX 4060 Laptop GPUを採用。そこに16GBのメモリと500GBのM.2 SSDを搭載した機種(型番)だ。製品ページに記載されている仕様詳細は以下の通り。
製品名:J6-A5G60GN-A
型番:J6A5G60GNADCW101DEC
WEB販売価格:14万9800円(税込)
OS:Windows 11 Home 64ビット
CPU:AMD Ryzen™ 5 7535HS プロセッサー
詳細:6コア / 12スレッド / 3.30GHz / ブースト時最大4.55GHz / 16MBL3キャッシュ
グラフィックス:GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU
ビデオメモリ:GDDR6 8GB
メモリ標準容量:16GB (8GB×2 / デュアルチャネル)
スロット数/最大容量/メモリ形状:2(空き×0)/最大64GB (32GB×2)/SO-DIMM
メモリ動作:DDR5-4800
ストレージ: 500GB M.2 SSD(NVMe Gen4×4)
パネル:16型 液晶パネル (ノングレア / 165Hz対応)
解像度:1920×1200(WUXGA)
外部出力解像度:
Mini DisplayPort:最大3840×2160(60Hz)/ 1677万色
HDMI:最大 3,840×2,160(60Hz)/ 1677万色
インターフェース・端子
ディスプレイ:2 (背面 Mini DisplayPort×1 / HDMI×1)
USB2.0:1 (左側面 Type-A×1)
USB3.0 (5Gbps):2 (右側面 Type-A×2)
USB3.1 (10Gbps):1 (背面 Type-C×1)
ネットワーク(LAN):1 (背面 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応(RJ-45)×1)
無線:Wi-Fi 6E( 最大2.4Gbps )対応 IEEE 802.11 ax/ac/a/b/g/n準拠+Bluetooth 5内蔵
サウンド:左側面 (マイク入力×1、ヘッドホン出力・ヘッドセット/4極(CTIA準拠)×1)
WEBカメラ:前面:100万画素
マウス:高精度タッチパッド
キーボード:日本語キーボード (102キー / キーピッチ約18.82mm / キーストローク約1.4mm / 4ゾーン設定対応RGB LED / Nキーロールオーバー対応 / JIS配列)
スピーカー:ステレオ スピーカー(内蔵)
マイク:デジタルマイク(内蔵)
バッテリー:リチウムポリマー(バッテリー内蔵式、着脱不可) バッテリーマネージャーによる充電容量の設定が可能(100% / 75% / 50%から選択)
ACアダプター:230W (19.5V), AC100V (50/60Hz)
動作時間:(JEITA測定法 Ver.2.0)約8時間(32GB メモリ/1TB M.2 SSD(Gen4)/標準バッテリー 搭載時)
保証期間:3年間センドバック修理保証・24時間×365日電話サポート
なお、メモリやストレージの容量については、購入時のカスタマイズで増設も可能となっている。カスタマイズの詳細や料金については、マウスコンピューター公式の製品ページを参照されたい(製品ページ右手にある赤いボタン「カスタマイズ・購入はこちら」から遷移する、購入前の「カスタマイズ・お見積り」画面から確認してみるのが手っ取り早いだろう)。
本機種に搭載されたAMD Ryzen5 7535HSは、2023年1月に登場したノートPC向けのCPUで、Zen 3+アーキテクチャを採用している。基本性能はやや控えめの6コア12スレッド。動作クロックは最大4.55GHz/定格3.3GHzで、メモリ規格はDDR5-4800に対応している。GeForce RTX 4060 Laptop GPUは、NVIDIA製のノートPC向けGPUで、GeForce RTX 3060 Laptop GPUの後継モデルとなっている。RTX 40シリーズのため、レイトレーシングのほかDLSS 3.0にも対応しており、DLSS対応ゲームであれば高画質・高フレームレートでのプレイを可能とするGPUだ。本機種の液晶パネルは、このGPUを存分に活かせる最大165Hzの高リフレッシュレートに対応している。
これらを踏まえると、CPUにRyzen5 7535HSを採用することで抑えたコストで、ミドルレンジ性能のGeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載する、というかたちで税込14万9800円という販売価格が実現されているのだろう。さらには、3年間のセンドバック修理保証と24時間365日電話サポートという手厚い保証も用意されており、ブランドコンセプトである“高コスパ”がしっかりと感じられる製品内容だ。また、今回取り扱う「J6シリーズ」においても、CPUとGPUを軸にグレード分けがなされているという点は、以前弊誌にてレビューをおこなったNEXTGEARのデスクトップモデルと同様(関連記事)。ユーザー目線では、シリーズ内各モデルの性能を比較検討する際の分かりやすさ/選びやすさに繋がるポイントだ。
最新/人気ゲームでのベンチマークテスト
続いて、J6-A5G60GN-Aのゲームプレイ時のパフォーマンスを確認していこう。CPU性能や3Dグラフィック性能の指標となるCineBench R23 Multiおよび3DMark Time Spy Graphicsのスコアは、あらかじめ製品ページに記載されているため、本稿では最新/人気ゲームタイトルが提供するベンチマークソフトを利用してスコアを計測していく。計測時の解像度設定は、いずれのタイトルでもフルHDの1920×1080とした。
まずは、CAPCOMの提供する対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』のベンチマークソフトでの計測結果だ。計測前にシェーダーウォーミングをおこなった上で、オプションのグラフィック設定を「HIGHEST」から「NORMAL」までの3通りに変更してスコアを計測した。
計測結果は、3通りいずれの設定においても「非常に快適」となり、共通して100/100という満点のスコアとなった。なお、最高品質のHIGHEST設定では、対戦シーンにおいて瞬間的に2~3フレームほどのFPS低下が何度か見受けられた。一方、NORMAL設定では終始60FPSを記録しており、時折60FPSを下回る瞬間があっても低下は1フレーム未満と非常に安定していた。同作で日常的にネット対戦をプレイしており、なによりもFPSの安定性を重視したい方は、NORMAL設定を利用することで納得のいく対戦環境が整えられることだろう。
続いては、バンダイナムコオンライン/バンダイナムコスタジオの提供するオンラインアクションRPG『ブループロトコル』のベンチマークソフトでの計測結果。こちらでもグラフィックのプリセット設定を変更しつつ、それぞれのスコアを計測した。
計測結果は、3通りいずれの設定においても「極めて快適」。『ストリートファイター6』の計測結果と同様に、最高評価を記録した。各設定でのスコアを比較すると、中画質が最高値の20306で、最高画質が16107、おおよそ順当な結果となっている。一方、合計ロード時間に関しては、前述した設定2通りの中間にあたる高画質を境に30秒を切っている。本機種で『ブループロトコル』をプレイする際には、高画質設定とすることで画質とロード時間を両立できそうだ。
最後に、スクエア・エニックスの提供するアクションRPG『ファイナルファンタジーXV』のベンチマークソフトでの計測結果だ。グラフィック設定は高品質と標準品質の2通りでスコアを確認した。
本作の計測結果では、標準品質が「非常に快適」、高品質が「とても快適」とはっきり分かれた評価となった。スコアに関しては標準品質が13428、高品質が10019となっている。いずれの設定も計測中は基本的に100FPS以上を維持していたものの、高品質設定ではFPSが安定せず、特に戦闘シーンにおいて10~20フレーム程度のFPS低下が見うけられるなど、品質設定の影響が顕著だった。
ちなみに、本作では4K解像度(3840×2160)設定時に限り、DLSSが使用可能となっている。J6-A5G60GN-Aの外部出力解像度は、HDMI/Mini DisplayPortいずれも最大4K(60Hz)に対応しているため、仮想4K解像度で標準品質+DLSS有効化設定での計測もおこなってみた。結果としては「快適」の評価で、スコアは6348。解像度を4Kまで大幅に引き上げたため、おおよそ想像通りにスコアが低下している。その一方、評価が「快適」の範囲を下回らなかった点は意外であった。フルHDでの高フレームレートゲーミングに焦点を当てたゲーミングノートPCを、4K解像度で運用するのはかなりの例外に違いないが、本機種のもっているポテンシャルの参考として記しておこう。
以上が今回おこなった計測結果だ。上述したスコアには表れないポイントとして、負荷の掛かる計測中には冷却ファンの回転数が上がり、それなりの駆動音を立てていたことをお伝えしておこう。しかしながら、ヘッドセットやイヤホンを装着している状態ならば、肝心のゲーム音声を遮ってしまうほどの音量ではなかった。筆者の感覚に基づく主観的な評価とはなってしまうが、それらのオーディオデバイスを利用していれば、ゲームプレイ中のロード画面など無音になる場面を除けば、ほとんど気にならないであろうと思われる。
今回機材貸出を受けて実際に触ってみた結果、J6-A5G60GN-Aはコンシューマー向けゲーミングノートPCとしてしっかり満足感が得られる機種であろう、と言う印象を覚えた。筆者が個人的に気に入った点はキーボードで、浅めのキーストロークとほどよい押しごたえが好みに合って非常にしっくりときた。また、性能面に関しても各ゲームのベンチマークテストにおいて、当初に予想していた以上の良い計測結果となったことも印象に残る。
本機種をはじめとするNEXTGEAR「J6シリーズ」では、共通して最大リフレッシュレート165Hz対応の液晶パネルが搭載されているため、手に馴染んだマウスさえ用意しておけば、届いたその日から高フレームレートでのPCゲーミングが楽しめることだろう。あるいはこの冬、コタツの上にゲーミングノートPCを広げて、ゆったりとゲームをするのも一興かもしれない。
「J6-A5G60GN-A」をはじめとする、NEXTGEARのゲーミングノートPCが気になった方は、一度マウスコンピューター公式の「J6シリーズ」ラインナップ一覧をチェックしてみてはいかがだろうか。