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不穏生活シム『ほの暮しの庭』先行入村感想。生活シムとして現時点でかなり高い完成度のゲーム、しかし23時以降は激怖
このたび弊誌は、本作の先行体験会に参加する機会に恵まれた。そこでまず驚かされたのは、本作が想像をはるかに超えて本格的な農場シミュレーションだということだ。

日本一ソフトウェアは7月30日、『ほの暮しの庭』をリリース予定だ。対応プラットフォームはNintendo Switch/Nintendo Switch 2/PS5/PC(Windows/Steam)。
『ほの暮らしの庭』は、『夜廻』シリーズのスタッフによる、人里離れた集落で過ごす生活シミュレーションゲームだ。本作の舞台となる彼ヶ津(かがつ)村は、四季折々の姿を見せる山奥の小さな村。本作の主人公は、そんな彼ヶ津村で新たな暮らしを始めることになる。広大な庭で野菜を育てたり、畜産に励んだり、狩猟や釣りに興じたりなど、ほのぼのとした田舎暮らしを繰り広げるのだ。
……本当に?正直なところ、筆者は半信半疑であった。本作のメインPVには、どう見てもお化けらしき存在が映っているし、主人公が得体の知れない巨体に追いかけられるカットもある。これは生活シムを装った、ホラーゲームではないのか?
このたび弊誌は、本作の先行体験会に参加する機会に恵まれた。そこでまず驚かされたのは、本作が想像をはるかに超えて本格的な農場シミュレーションだということだ。たしかに、彼ヶ津村がどんな村であろうと、そこには人々の暮らしがある。本作では、この村の農業や畜産、狩りに釣りといった日々の営みを悠々と体験できるのだ。
しかし、そうした穏やかな日常があるからこそ、時折のぞく不穏さが印象深いものになる。ひとたび夜になれば、『夜廻』シリーズを彷彿とさせるような恐怖体験が待ち受けていた。本稿では、そんな本作を2時間弱プレイした感想をお届けする。なお、今回の試遊は、物語をある程度進めたセーブデータを用いておこなった。

豊かな自然に恵まれた、充実の田舎暮らし?
主人公が朝、小屋で目を覚ますと、彼ヶ津村での一日が始まる。新たな住まいとして主人公に与えられたのは、庭付きの一軒家だ。部屋の中に並ぶ家具の数々も気になったが、まずは周囲の景色が見たくて、さっそく外へと飛び出した。

真っ先に目を引かれたのは、この村の豊かな自然だ。自宅は緑に囲まれ、近くには澄んだ川が流れている。BGMとして聞こえてくる小鳥のさえずりや葉擦れの音も耳に心地よく、山奥での暮らしぶりがリアルに伝わってきた。小屋のすぐそばには、立派な田んぼや畑が広がる。そこでは米や野菜が実り、色とりどりの花も咲いていて、目にも鮮やかな風景を形作っていた。この農地も、そこで育つ作物も、すべて自分のものだ。


本作では、この広大な敷地を舞台に、まったりとしたスローライフを送ることができる。その中心となるのが、多彩な道具を使った農業だ。農作業の基本は、種をまき、水やりをして、作物を育てること。操作周りは非常に快適で、一つひとつの行動はワンボタンで完結する。長押し操作を活用すれば、移動しながらの耕作や水やりも簡単だ。さらに、同じ種類の作物はボタン長押しでまとめて自動収穫が可能。この手のゲームでは、手動の位置調整に手間取ることも少なくないが、本作は直感的な操作でスムーズに作業を進められる。作物を次々と収穫していく感触も小気味よく、ストレスなく作業に打ち込めた。
農作物の種類は豊富で、果樹を育てることも可能。収穫した作物は、出荷することで収入を得られるほか、加工や料理にも活用できる。広い庭は自由にレイアウトでき、工作によって柵や庭床を設置したり、装飾を施したりしながら、自分だけの農場づくりを楽しめる。できることの多さに、「これはやり込み甲斐があるぞ……」と、箱庭ゲーム好きの筆者は舌を巻いた。

また庭の一角では、ニワトリや牛、馬などの動物を飼育することもできる。お世話することで、ミルクや卵といったアイテムを入手できるほか、なつき度が上昇していく仕組みだ。本作特有の温かみのあるアートスタイルで描かれる動物たちは、とにかく可愛い。のびのびと過ごす様子を眺めているだけでも楽しく、ホラー要素を疑う気持ちはどこへやら、すっかり癒やされてしまった。
ビジュアルに関して言えば、村で暮らす人々もまた魅力的だ。村の中心部へ足を運ぶと、老若男女さまざまな村人たちが思い思いの時間を過ごしている。

プレイヤーは、村の催事や手伝いを通して、彼らとの交流を深めていくことができる。それぞれに好物が設定されており、プレゼントなどを通じて好感度を上げることが可能だ。もっとも、主人公が「よそ者」だからなのか、最初から誰もが親切というわけではない。中にはそっけない態度を取る人もいるし、一部の村人同士の関係もどこかギスギスしているように見える。まあ、人が集まれば、そういうこともあるだろう。

だが日が暮れると、村人たちは皆、示し合わせたように家へと帰っていく。彼ヶ津村には古くからの習俗が残っており、その掟のひとつに「午後11時以降外出禁止」というものがあるからだ。となれば、自分も大人しく帰宅するしかない。家に戻ると、台所で収穫した作物を使って料理をしたり、鏡台で着せ替えを楽しんだりして過ごした。そして、ベッドに入って翌朝を迎える……はずだった。
ときには掟を破って
「ドンドンドン!!!」と激しく玄関の戸を叩く音によって、主人公は真夜中に目を覚ます。本来なら外に出てはいけない時間帯だが、気になって仕方がない。恐る恐る扉を開けると、そこには……。


扉の向こうには、誰の姿もなかった。だが、こうして目が覚めた以上、どうしても周囲の様子が気になってしまう。しばらく迷った末、意を決して夜の村を歩いてみることにした。
夜は動物たちも寝静まっており、辺りはひっそりとしている。昼間はあれほど豊かに感じた自然も、今は夜闇に包まれ、そのギャップがじわじわと不安を掻き立てる。それに、こんな夜中に出歩いていることが誰かにバレたらどうしよう。もっとも、村人たちは皆家に閉じこもっているため、人に出くわすことはなかった。
夜の村はしっかり怖い
そう。人に見つかることはなかったのだが、“それ以外のもの”と遭遇する危険は大いにあるわけだ。村の中心部へ向かってみると、そこには不気味な怪異たちが徘徊していた。うっかり近寄ってしまうと、「ドクン、ドクン」と『夜廻』シリーズでお馴染みの心拍音が大きく鳴り響き、さらなる緊張感を駆り立てる。お化けの中には、突如として姿を現すものや、執拗に主人公を追いかけてくるものもいる。そんなとき、こちらは必死に逃げることしかできなかった。これがなかなか怖い。

お化けを懸命に避けながら歩いていると、きらりと光るアイテムを発見した。拾ってみると、それは謎の種であった。本作には、夜の村を探索することでしか入手できないものが存在する。たとえば、農作業に役立つスキルを解放するためには、深夜の村に落ちているアイテムが必要だ。また、夜には本を拾うこともできる。集めた本は村の施設である図書館で閲覧可能で、彼ヶ津村の歴史やバックグラウンドをうかがわせる内容が記されていたり、異形の存在を攻略するためのヒントが書かれていたりする。そのため、生活をより充実させるためにも、村の秘密に迫るためにも、夜の恐怖に打ち勝って探索を続ける必要があるのだ。

拾った種は、翌日に埋めてみることにした。せっかくだし、もう少しだけ先へ進んでみる。すると、またしても「ドクン、ドクン」と大きな心音が鳴り始めた。どうやら近くに何かいるらしい。しかし、暗くて姿はよく見えない。一体何がいるのだろう。立ち止まって目を凝らした、そのときだった。鼓動はさらに速くなり、不意の衝撃音とともに画面が暗転する。しまった!

気がつくと、主人公は道の真ん中で目を覚ましていた。どうやら意識を失っていたらしく、そのまま朝を迎えてしまったようだ。そして、また新たな一日が始まる。なるほど。彼ヶ津村での暮らしは、ただ「ほのぼの」としているだけではないらしい。こうして数日を過ごすうちに、試遊の時間はあっという間に終わってしまった。

試遊の2時間弱を振り返ってみると、本作は生活シムとして非常に完成度が高く、製品版でじっくりやり込みたいと思わされる魅力があった。農場づくりは数時間のプレイでは到底足りないと感じるほど奥深く、それだけに時間を忘れて没頭したくなる。一方で、夜には緊張感のある探索が待っているため、ゲーム体験が単調になることはない。その点、昼と夜のバランスが絶妙で、長く遊んでも飽きにくそうだ。
なお本作には、怖いことが起きないという「あんしん暮しモード」も用意されているため、本稿で紹介したホラー要素に抵抗を感じた方でも、生活シムとしての楽しさを存分に味わえる。同モードでは、村の掟を破ることができなくなるので、絶対に安全であるとのこと。まだまだ底知れぬ彼ヶ津村での新生活が、今から楽しみでならない。
『ほの暮しの庭』は、Nintendo Switch/Nintendo Switch 2/PS5/PC(Windows/Steam)向けに7月30日リリース予定。通常価格は税込9020円で、Nintendo Switch版のみ税込7920円。アートブックやサウンドトラックなどが付属するNippon1.jpショップ限定版や、さらにキャンバスアートやピンバッジなどが付属するNippon1.jpショッププレミアム限定版なども販売されている。
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