苦境に立たされる『Trine 3』、前作との比較に苦しむジレンマ

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Frozenbyteは現在、大きく揺れている。最新作『Trine 3: The Artifacts of Power』(以下、Trine 3)のSteamフォーラムには数多くの批判的な声が集まり、いくつかのゲームメディアは同作に対する失望の記事を掲載し、Metacriticスコアも前作の84点を大きく下回る68点となっている。早期アクセスを経てのリリースとなった『Trine 3』が、大きな批判を浴びているのだ。

そもそも『Trine』シリーズといえば、リッチなグラフィックに演出された横スクロールアクションとして有名だ。日本でも1作目がPS3、2作目はPS3とWii Uで展開されておりファンを抱えている。NVIDIAが「NVIDIA SHIELD」で『Trine 2』が動くことをオフィシャルに売りだした記憶も新しいだろう。

『Trine』は、もともと横スクロールのシリーズであったが、『Trine 3』の正式発表時に、3D要素の追加を予告する趣旨の派手なトレーラーが公開され、今までの横移動だけでなく奥行きのある移動が可能になったことが伝えられた。これを受けシリーズのファンの間でも反響を呼び、紛れもない期待作であった。そんな『Trine』シリーズの最新作、『Trine 3』がどうしてこのような批判を受けているのだろうか。

多くの批判は、まずこの1点に集中している。ボリュームの少なさだ。『Trine 3』のSteamレビュー欄では、10時間弱でクリアできたと報告しているユーザーが多いのだが、問題なのは「プレイ時間」という意味合いでのボリュームではない。シナリオが未完結であることだ。ネタバレを避けるため詳しくは述べられないが、冒険が本格的に始まる頃合いに打ち切りのような形で終了してしまうのだ。このクリフハンガーなやり方に大きな批判が集まっている。前作のDLC込みの完全版『Trine 2: Complete Story』は、クリアするのに15時間は必要だった。プレイヤーにさまざまな舞台を経験させ、完結まで描かれるシナリオであることを考えると、多くのシリーズ経験者が『Trine 3』を批判することも理解できるだろう。

魅力的なボードゲーム風のワールドマップ。しかし、プレイできるのは、この画像の範囲に見えるステージで全部だ。
魅力的なボードゲーム風のワールドマップ。しかし、プレイできるのは、この画像の範囲に見えるステージで全部だ。

ユーザーが落胆しているもうひとつの要素は育成システムの削減だ。初代『Trine』から育成要素は充実していた。シリーズを通しての主人公となるナイトのPontius、魔法使いのAmadeus、シーフのZoyaの3人のスキルを、敵を倒した経験値を使って伸ばしていくというものだ。2からはさらに充実し、Pontiusの盾を先に伸ばすかハンマーを使えるようにするか、空中浮遊を使えるようにするか、などといった複数の選択肢があり、取得したスキルによってステージの攻略法が少し異なるような自由度があり人気を博していた。

しかし3になってこれらはすべて削除されている。全てのキャラクターは、最初からスキル・アクション共に完全に開放された状態から始まっており、育成の要素は完全になくなってしまった。 この育成要素の削減の真意は不明だが、ユーザーにとっては大きな落胆の要素のひとつとなってしまった。

育成システムは『Trine』シリーズの目玉要素だった。しかしこれを削除してしまったことに対して多くのユーザーが憤っている。
育成システムは『Trine』シリーズの目玉要素だった。しかしこれを削除してしまったことに対して多くのユーザーが憤っている。

発売後からこの二つに対する批判が多く集まり、事態を重く受け止めたFrozenbyteは、発売から2日後の8月22日にSteamフォーラムで釈明した。そのなかで、『Trine 3』の開発費は『Trine 2』の3倍である560万ドルかかったことを明かし、当初予定していた“もっと長いストーリー”を実現するためには1500万ドルかかるということに気づくのが遅すぎたと語っている。また、ストーリーの短さがこれほどの騒動になるとは思っていなかったという。8月27日に公開された動画では、バイスプレジデントであるJoel Kinnunen氏とマーケティング・マネージャーのKai Tuovinen氏が謝罪・釈明している。

“『Trine 3』が短いゲームになったことでがっかりさせたことに謝罪したい。2013年に作り始め、今年の2月には長さのことについて認識はしていた。
守れない約束を作りたくなかった。話を書き直すより当初のシナリオを貫き、ユーザーがもっと話の先が知りたいと反応すればそれに応えるつもりだった。
今はバカなことをしでかした自分を責め続けている。もっと初めからゲームの全容を公開していれば……と。
総合的にユーザーが楽しめるゲームを作れたと思っている。しかしゲームの価格が高いという批判は理解している。”

動画のなかで「shoter than provious one」と強調しているとおり、この問題のポイントはもう一つ、『Trine 2』の偉大さにある。『Trine 2』は横スクロールアクションとして洗練されており、人気の作品だ。DLC込の『Trine 2: Complete Story』は、ゲーム内容とボリューム共に高い評価を受けている。さらに、セールやバンドルで安価で手に入れやすい。そういった安価で楽しめる2での評価が3への期待値に、そして比較対象となって、ミドルプライスで未完結の3への落胆につながってしまったのかもしれない。

“このゲームを作った責任者の僕らを責めるのはいいが、スタッフ、そしてゲームは責めないでほしい、スタッフは睡眠や健康を犠牲にして取り組んでいる。
早期を始めた当初の計画から半分以上のボリュームをカットし、完結に至れなかったことは事実であり、それがユーザーのゲームに対する評価を決めてしまったと考えている。いま僕らの会社は生死の境にいる。『Trine』シリーズを続けるか、DLCを出すかは決められず先はわからない。”

『Trine 3』は、このような批判を受けながらも、3D要素の完成度や美しいグラフィックで称賛を受けていることも事実である。Co-opも同時に3人までプレイでき、2の課題だった収集オーブもエリアごとに表示され、より集めやすくなりクイックワープも容易になった。それでも前述したとおり『Trine 3』の評価は高くなく、Frozenbyteは窮地に追い込まれているようだ。

しかし動画のなかでセールスに関してはコメントをしていないことに加え、早期アクセス時点で『Trine 3』のプレオーダーは『Trine』と『Trine 2』の3倍もの数字になったとFrozenbyteは公表している。評価に関しては苦しみながらも、必ずしも財政面で苦難を強いられているというわけではないのかもしれない。

Frozenbyteの行方は。
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