ゲームエンジン「Frostbite Engine」に手応えを感じるEA幹部。26ものゲームエンジンがひとつに統合へ

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『Battlefield 1』『Mirror’s Edge Catalyst』『FIFA 17』。これらのタイトルの開発に、同じゲームエンジンが用いられていることはご存知だろうか。「Frostbite Engine」はエレクトロニック・アーツ(以下、EA)が開発するゲームエンジン。同エンジンは、EAの傘下会社であるEA Digital Illusions CE (以下、DICE)が『Battlefield Bad Company』の開発のために作りあげたものだ。以降の『Battlefield』シリーズや『Medal of Honor』シリーズは、このFrostbite Engineをブラッシュアップあるいはバージョンアップしたものが使用されている。

Image Credit: バトルフィールド1公式ホームページ
Image Credit: 『Battlefield 1』公式ホームページ

ゲームグラフィックの進化とともにFrostbite Engineも改良され続け、戦場を舞台とした作品だけでなく『Dragon Age Inquisition』のようなファンタジーモノや、『Mirror’s Edge Catalyst』のような都会を舞台としたタイトル、そして『FIFA 17』のようなスポーツゲームにも用いられている。2017年発売予定の『MASS EFFECT: ANDROMEDA』もFrostbite Engineで開発されていることが明かされている。

DualShockersが取材したElectronic Arts’ Investor Dayにて、EAのバイスプレジデントであるPatrick Söderlund氏は、もともとEAがパブリッシングするゲームには実に26もの異なるゲームエンジンが使用されていたと明らかにした。EAグループでは新しくゲームを開発する際、チームの労力の70%はゲームエンジンの制作に費やされ、残りの30%でゲームそのものの開発が進められていたのだという。こうした負担を改善すべく、すべてのゲーム開発で使用するゲームエンジンをひとつに統合しようとし、Frostbite Engineが生まれた。

Image Credit: FIFA17公式ホームページ
Image Credit: FIFA17公式ホームページ

こうした試みの成果は着々と出つつあるようで、同社の財務役員であるBlake Jorgensen氏も、Frostbite Engineへの移行は「とてつもなく効果的である」とUBS Global Technology Conferenceにて話していおり、これをまたDualShockersが報じている。『FIFA 17』では、同エンジンの導入によって生まれた余裕で、ひとりの選手としての人生を体験するストーリーモードにあたる「THE JOURNEY」を開発することができたようだ。開発期間を短縮できるだけでなく、製品のクオリティをあげることができるのもゲームエンジン統合の強みのようだ。

ゲームエンジンの開発はリスクとリターンの両方を抱えており、ここ10年間で登場したすべての自社エンジンが成功しているとは言い難い。近年は多くのデベロッパーがUnityやUnreal Engineといった外部のゲームエンジンを利用する動きも目立つ。しかし、ひとつのエンジンで多様なジャンルの作品を生み出し続けられるならば、それはゲーム開発企業にとって大きな資産となる。ゲームグラフィックを美しく演出し、かつコストを抑えることが可能なFrostbite Engineへの統合に成功したことは、今後も長期的にEAを助ける強固な土台となるだろう。

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