「開発期間7年・初週売上300本未満」の早期アクセスゲーム開発者、“損切りせず”正式リリースに漕ぎつける。ウィッシュリスト登録者の購入率わずか1%、それでもファンは裏切れない
開発続行の決断の背景には、ファンへの責任感と、早期アクセス作品に広がる不信感への懸念があったという。

デベロッパーのSonderlust Studiosは街づくりシム『Generation Exile』を4月17日に正式リリース予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作は2025年11月に早期アクセス配信が開始されたが、売上が想定を大きく下回っており、制作費を回収できる見込みがない状態だという。しかしそれでもバージョン1.0まで開発が続けられ、正式リリースを迎えることになった。開発続行の決断の背景には、ファンへの責任感と、早期アクセス作品に広がる不信感への懸念があったという。海外メディアPC Gamerが報じている。
『Generation Exile』はターン制の街づくりシミュレーションゲームだ。舞台となるのは、資源の枯渇により人類の文明が崩壊間近となったSF世界。プレイヤーは脆弱になった生態系を保護し、持続可能な社会の再構築を目指す。

本作のゲームプレイは物語付きのチャプター形式で進行。施設の建築などをおこなってチャプターごとに用意された目標を達成し、時代を進めていくことになる。チャプター中ではさまざまな決断が迫られることがあり、選択はその後のチャプターへと影響を及ぼす。また登場キャラクターたちはキャラメイク可能で、時の流れとともに子孫が登場していく。そうして数百年におよぶ物語を体験しながら、崩壊の瀬戸際にある生態系の再生をおこなっていく。
本作を手がけるSonderlust Studiosは、ゲーム開発者のNels Anderson氏が設立したスタジオだ。Anderson氏は、高評価を得たステルスアクションゲーム『Mark of the Ninja』のリードデザイナーや、人気を博したミステリーアドベンチャー『Firewatch』のデザイナー・プログラマーなどを務めた、業界のベテランである。

そんなAnderson氏が新設したスタジオSonderlust Studiosのデビュー作として、本作『Generation Exile』はリリース前からなかなかの注目を集めていた。Anderson氏が海外掲示板Redditにて語ったところによると、2025年11月の早期アクセス配信開始時点で、同作は3万5000件以上のウィッシュリスト登録があったという。「一日で10万本以上売れるような大ヒットになることは期待していなかった」としつつも、ある程度の手ごたえは感じていたようだ。
しかし実際に早期アクセスを開始すると、もっとも悲観的な予想も下回る売れ行きになってしまったとのこと。発売から5日経った時点での売り上げはなんと300本未満。99%のウィッシュリスト登録ユーザーは実際には買わなかったことになり、これは完全に予想外の結果だったという。この勢いでは開発費を回収できる見込みはまったくなかったそうだ。本作は早期アクセス開始までの開発に7年を費やしており、開発費は相当なものであったことも予想される。

そうした逆境の中でもAnderson氏は本作の開発の継続を決断。2025年12月に配信された大型アップデートでは、早期アクセス開始時点ではバイオームが2つのみだった本作に、新たなバイオームが2つ追加された。2026年3月14日のアップデートでは新バイオームがさらにもう1つ追加され、またこの間にはストーリーの第3章と第4章の実装や、フィードバックを受けてのUIの刷新などもおこなわれてきた。正式リリースに向けて着実にコンテンツを追加・改善していったわけだ。
Anderson氏はPC Gamerのインタビューに応じ、『Generation Exile』の開発を続けた理由について語っている。それによると、まず同氏は現在のゲーム業界について、非常に競争が激しく、早期に注目を集めなかったタイトルはすぐに諦めて、次のプロジェクトに移る傾向にあるとした。「私より賢い人だったら、おそらく早期アクセス開始から一週間の時点で開発を中止していただろう」と話している。合理的に考えると早めに見切りをつけるべきだったという考えも、同氏のなかにある程度あったようだ。
とはいえ、本作に期待してくれたファンのために約束を果たす責任があると感じてか、同氏はそういった行動には至らなかった様子。ストーリーの新章を含む複数の大型アップデートを配信し、バージョン1.0まで開発を続け、作品を完成させることを決断したようである。

Anderson氏は先述のReddit向けの投稿で、『Generation Exile』が予想をはるかに下回る売れ行きになった理由の推測をいくつか述べている。そのなかのひとつに「早期アクセス作品に対するユーザーの不信感が広がっていること」が存在している。同氏はユーザーからフィードバックとして、「面白そうだけど、早期アクセス作品はもう買わないことにしている」といった意見をいくつも受け取ったそうで、ユーザーのあいだに早期アクセス作品を敬遠する動きが広がっていることを感じているそうだ。
同氏は「早期アクセスゲームを買ったものの、途中で開発が中止されるなど手痛い経験をしたユーザーは、たとえまったく異なるジャンルの作品であっても、次から早期アクセスゲームを避けるようになる」と分析。他のスタジオの動向はコントロールのしようがないため、いち開発者には避けられない問題が業界に起きていると語っている。

今回Anderson氏率いるSonderlust Studiosが、売り上げが予測を大きく下回ってしまったにもかかわらず、『Generation Exile』の開発をバージョン1.0まで開発を続けたのには、同氏が分析するそうした業界の状況に、一石を投じたいという思いがあったのだろう。Anderson氏は「長期的な利益を犠牲にして、短期的な利益を最大化するのは好きではない」とも語っており、たとえ少数でも買ってくれたユーザーを遠ざけて、スタジオの信頼を損なうような決断は避けたいという思いが強かったのかもしれない。
Anderson氏は本作の出来自体には自信を持っているそうで、Steamユーザーレビューの評価も全31件と母数は多くないものの、好評率83%となかなかの高評価を得ている。正式リリースを迎えて本作やそれを手がけた開発元の評価が上がっていくのか、『Generation Exile』とSonderlust Studiosの今後の発展に期待したい。
『Generation Exile』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。4月17日に正式リリース予定だ。
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