『学マス』、「遊ぶほどデッキ構築ゲームとしてテクニカルになる」として注目集める。シンプルかと思いきやビルドが奥行き出してくる

『学園アイドルマスター』は、各所で話題沸騰中であるが、PLvによって遊びがどんどん広がる、デッキ構築ゲームとしてのゲームデザインに注目が集まっているようだ。

今月より配信されている『学園アイドルマスター』。各所で話題沸騰中であるが、PLvによって遊びがどんどん広がる、デッキ構築ゲームとしてのゲームデザインに注目が集まっているようだ。

『学園アイドルマスター』(以下、学マス)は、『アイドルマスター』シリーズの完全新作タイトルだ。対応プラットフォームはiOS/Androidで、基本プレイ無料で配信されている。開発を担当するのは、サイバーエージェント子会社のQualiArts。プレイヤーは初星学園アイドル科の少女たちを立派なアイドルへと育てることを目指す。本作の舞台となる初星学園は、トップアイドルを育てるための学び舎であるアイドル科が存在する学園だ。プロデューサーは、学園生活の中でアイドル候補たちの能力を成長させていく。


『学マス』は、配信直後のタイミングでセールスランキング一位を獲得するなど、セールス面でも順調な出足を見せている。『アイドルマスター』シリーズの要素を引き継ぎつつ、QualiArtsの技術力によって、さくっとリッチに遊べるゲームに仕上げられている。またデッキ構築ゲームとしても、同ジャンルとしてはシンプルながらも遊びやすく理解しやすくなっている。アイドルゲームながら『Slay the Spire』のようなプレイフィールを部分的に体験できるとも評されている(筆者も同意する)。

そして配信から1週間近くが経過した今、デッキ構築ゲームとしての奥深さが注目を集めているようだ。本作ではPLv上昇によってスキルカードが解禁されていくわけだが、そのカードタイプが多彩であるという点が注目されている。特筆すべきなのは、デッキ構築のビルドの幅を大きく広げるカードが出てくる点だ。

たとえば、PLvを17まで上げると、好調とは別の絶好調なるステータスが登場。20まで上げると、レッスンおよび大会開始時に確定で入手できるいわゆる天賦系のカードが追加。22になれば消費体力増加の概念が登場。そして25になれば好調消費なる概念が導入される。のちには、やる気消費や集中消費も登場。そのほか、低下状態無効といったバフがついたカードも出てくるほか「体力を0にして減少前の元気の160%分パラメータ上昇」といったコストもリワードも大きなカードが登場してくる。


PLvを上げるごとに解禁されるカードは、左上のPLvステータスから確認可能。しかしながら、前もってチェックする人はあまり多くないようで、PLvを上げることで遊びの幅が広がる件について、SNS上などで驚く人々も多いようである。


こうした驚きがあげられるのは、本作のデッキ構築ゲームとしては一見シンプルに見えることがあげられるだろう。本作ではセンスあるいはロジックにタイプが分けられ、それぞれのバフステータスは、基本は2種類である。センスであれば好調・集中。ロジックであればやる気・好印象。デッキ構築ゲームとしてはかなりシンプルである。しかし、バフの種類が絞られているからこそ、気にすべき項目が少なく理解しやすくもある。

こうしたステータスの種類が、プレイヤーレベルと共に解禁されていくという仕組みが興味深い。もちろん、ガシャによって解禁されるパターンもある。たとえば、先日実装されたアイヴイ月村手毬のカードは天賦型なので、PLv20まで上げていないプレイヤーがこれを入手すれば、ガシャによってこの概念と出会うことになるだろう。一方でガシャではなくプレイヤー自身のやり込みによってもギミックが増えていくという点は、フェアではある。


またこうした新カードが、ビルドの構成に幅をもたらすことも注目したい点。ゲームに慣れると、各バフステータスは上げ続けるだけになる。しかしそのタイミングで、各バフを消費する先述の要素を導入することで、ゲームループの中だるみを防ぎ新たなビルド構築の可能性を示している。またプレイヤーの理解度についてもかなり慎重に見積もってか、解禁スピード自体をゆるやかにしている点には、本作のゲーム設計の目指しているところが現れているだろう。

ちなみにPLvは現時点では45が最大となっており、45まではLvを上げるたびに新たなカードが解禁されていく。解禁されるカードは1~2種類ほどであるが、それなりにやりこんでいく過程で、続々とカードが解禁されていくことで、前述したようなゲームループの中だるみ防止を助けているだろう。

デッキ構築ゲームにおいて、遊びこむほどカードやレリックが解禁される、というシステムは一般的である。しかしながら、アイドル育成ゲームである『学マス』においても同様の手法がとられている点は興味深い。本作におけるゲームプレイの面白さや理解しやすさ、あるいは飽きさせなさへのこだわりは、本作の好調を支える一因ではあるだろう。

『学園アイドルマスター』は、iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

Articles: 5178