Take-Two、複数のプロジェクトを「約200億円」かけて開発中止に。コスト削減プログラムを掲げ“仕分け”を進める

 

Take-Two Interactiveは現地時間4月16日、従業員の約5%を解雇し、開発中の複数のプロジェクトを廃止すると発表した。プロジェクトの中止にかかる費用は、約1億2000万ドルから約1億4000万ドル(約186億円から約210億円)規模にものぼるようだ。Bloombergなどが報じている。


Take-Two Interactive は、米国に本拠を置く大手パブリッシャーだ。『GTA』シリーズなどで知られるRockstar Gamesや、アクションゲームからスポーツゲームまで幅広く手がける2K、またインディゲームの販売をおこなうPrivate Divisionなどを傘下にもつ。同社が現地時間4月16日付で米国証券取引委員会に提出した書類によれば、同社の従業員数は約5%削減される見込みとのこと。同社の従業員数は、2023年度には1万1580人とされていたため、約580人規模のレイオフとなりそうだ。

これは、同社のコスト削減プログラムによるものだという。コスト削減プログラムでは、成長するための投資を継続しつつも、事業全体の効率性を見直し、組織構造を合理化することを目的としているようだ。このことにより、年間1億6500万ドル(約255億円)以上のコスト削減を見込んでいるとのこと。同計画は、今年の12月31日までに完了する見通しだ。

『GTA6』トレイラー


一方で、このプログラムの関連費用として、総額で約1億6000万ドルから2億ドル(247億円から300億円)ほどかかるという。そのうちの約1億2000万ドルから1億4000万ドル(約186億円から約210億円)が、いくつかの開発中プロジェクト(several projects in development)のキャンセルにかかる金額になるようだ。ほか約2500万ドルから3500万ドルがレイオフとなる従業員の退職金などの費用に充てられ、残りの約1500万ドルから2500万ドルほどがオフィスの縮小にかかる費用とのこと。結果としてコスト削減プログラムの実施には4000万ドルから6000万ドル(62億円から93億円)ほどの支出になると見込まれている。

コスト削減のために多額の支出を伴うというプログラムではあるが、Take-Two Interactiveは同計画の実施によって、既存の経費のベースを削減するだけでなく、今後数年間にわたる諸経費の増加も抑えられるとしている。一時的に支出を計上することになるものの、事業の継続性などを考慮した長期的な視点から、今回のレイオフなどの判断に踏み切ったかたちだろう。

ちなみに、Take-Two Interactiveの会長兼CEOのStrauss Zelnick氏が2024年2月時点でIGNに語ったところによれば、コスト削減プログラムについて具体的な計画は検討中であるとしつつ、当時の時点で人員削減の計画はないとしていた。一方で今回、今年の12月31日までに約580人規模のレイオフが実施されることが明らかになったかたち。今後どのようなかたちで人員削減が実施されていくのかも注目される。

なおTake-Two Interactiveといえば、先月『ボーダーランズ』シリーズなどの開発元Gearbox Entertainmentを買収する方針を発表し、同シリーズの新作開発などへの投資を表明したばかり(関連記事)。また同社傘下のRockstar Gamesからは昨年12月に『Grand Theft Auto VI』が正式発表され、2025年の発売が予定されている。今回コスト削減プログラムでは多額の費用をかけて複数の開発中プロジェクトが中止となっており、Take-Two Interactiveには今後人気シリーズ新作の開発により注力していく方針もあるのかもしれない。