『サイレントヒル2』リメイク開発元トップ、派手アクションで批判を浴びた最新映像を作ったのは“パートナー企業”だとして苦言。本当は忠実なリメイクとアピール

 

SILENT HILL 2(サイレントヒル2)』の開発元Bloober TeamのCEOであるPiotr Babieno氏は海外メディアinwestorzy.tvのインタビュー動画にて、2月1日に公開された同作の「コンバットトレーラー」について言及。映像が「ゲームの精神を反映していない」としつつ、一部ユーザーに懸念が生じている点についてマーケティングを担当する“パートナー(企業)”に全責任があると述べた。なお該当のインタビュー動画は本稿執筆時点で削除されている。


『SILENT HILL 2』は、2001年にPS2向けに発売されたホラーゲームだ。舞台となるのは霧深い町サイレントヒル。主人公ジェイムスは3年前に死亡したはずの妻から手紙を受け取り、ふたりの思い出の地であるこの町に訪れる。そして町を彷徨ううちに現実とは思えない世界に入り込み、歪んだモンスターや「ピラミッドヘッド」、過去と戦う登場人物たちと遭遇することになる。

同作のリメイク版は2022年10月に開発が発表され、コナミよりPC(Steam)およびPS5向けにリリース予定(1年間のPSコンソール時限独占)であると告知された。リメイク版を手がけるのはポーランドに拠点を置くBloober Teamだ。同スタジオはこれまでに『Layers of Fear』や『The Medium』などのホラーゲームを開発してきたことで知られる。また開発にはオリジナル版に携わった山岡晃氏や、伊藤暢達氏も協力。ゲームエンジンはUnreal Engine 5で開発されているという。

そして今月2月1日のPlayStationプラットフォームの新情報を紹介する番組「State of Play」にて、リメイク版の新たな映像が公開。「コンバットトレーラー」と銘打たれており、戦闘要素にフォーカスした内容であった。


映像では近接武器のほか、ハンドガンやショットガンで怪物と戦う場面がテンポよく披露された。肩越し視点となることが伝えられていたリメイク版の本格的な戦闘映像であり、見下ろし視点であった『SILENT HILL 2』オリジナル版からの変化も分かりやすい内容だ。ただオリジナル版でも戦闘面は要素のひとつであったものの、主に持ち味となっていたのはストーリーやホラー演出といった要素といえる。戦闘に焦点を置き、派手なアクションとして見せる映像を受けて、ユーザーから「オリジナル版から作風が大きく変わるのではないか」といった懸念も寄せられていた。

今回、ポーランドのメディアinwestorzy.tvのインタビュー動画にBloober TeamのCEOであるPiotr Babieno氏が出演してコンバットトレーラーに苦言を呈する一幕があった(インタビュー動画は本稿執筆時点で削除済み)。同氏は映像について「ゲームの精神(ducha gry)を反映していない」とコメント。また同氏によればスタジオはマーケティング面を担当していないといい、(コンバットトレーラーについては)“パートナー(企業)”に全責任があるとしている。つまり批判が寄せられたトレーラーを手がけたのは、パブリッシングを担当するコナミだという主張だろう。また同氏は映像に寄せられた否定的なコメントについて“自分自身で書いた”との冗談も述べており、トレーラーでの作品の見せ方には不満があるようだ。

そしてBabieno氏はコンバットトレーラーでのイメージと、実際のリメイク版の作風の違いについても強調。リメイクではオリジナル版のビジョンを忠実な再現を目指していると述べ、実際のゲーム、およびそのゲームプレイを見ればプレイヤーの判断もまったく変わってくるだろうとの自信を伝えていた。


Babieno氏の一連の発言は海外メディアEurogamerのポーランド版および英語版にて報じられ、波紋を広げることになった。“パートナー”企業に苦言を呈する内容などが問題視されたからか、先述のとおりinwestorzy.tvのインタビュー動画は本稿執筆時点では削除されている。なおinwestorzy.tvおよびBloober Teamからは現時点で本件へのコメントはみられない。

ちなみに『SILENT HILL 2』をオリジナル版に忠実にリメイクしているという点については、リメイク版発表当時にもアピールされていた。Bloober Teamはオリジナル版へのリスペクトを込めて丁寧に開発しており、山岡氏や伊藤氏といったオリジナル版のクリエイターと密な連携をとって “『サイレントヒル』らしさ”を残しているという(PlayStation.Blog)。Bloober Team側のそうしたこだわりもあり、Babieno氏にはコンバットトレーラーでのイメージやユーザーの懸念を払しょくしたいといった狙いもあったのかもしれない。

なお『SILENT HILL 2』リメイクは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが発表した「2024年にPS5に登場する注目ゲーム」にラインナップされている。年内の発売が予定されているとみられ、今後の続報も注目されるところだ。「コンバットトレーラー」とは違った側面からリメイク版の作風がわかる情報も披露されていくかもしれない。

『SILENT HILL 2(サイレントヒル2)』リメイク版はPS5向けに2024年に発売予定。1年間のPSコンソール時限独占を経て、PC(Steam)向けにも発売予定となっている。