『ファイナルファンタジーXVI』(以下、FF16)は、発売初週でパッケージ出荷本数とダウンロード販売数の合計が300万本を突破したことが伝えられている。一方で海外メディアBloombergは「本作の初動売上は過去作と比べてペースが遅いのではないか」と報道。これに反論するようなかたちで、スクウェア・エニックスが米IGNを通して声明を発表している。
『FF16』は、『ファイナルファンタジー』シリーズ最新作。舞台となるのは、クリスタルの加護を受けし大地ヴァリスゼア。この地では、クリスタルの巨塊“マザークリスタル”によってエーテルが供給され、剣と魔法の世界で人々は安息に暮らしていた。ロザリア公国、ザンブレク皇国、ウォールード王国。それぞれの国がマザークリスタルを保有することで均衡が保たれていたが、世界が“黒の一帯”に蝕まれることで、そのバランスが崩れつつあった。主人公となるのは、クライヴ・ロズフィールド。ロザリア公国の第一王子であるクライヴは弟と共にナイトとして鍛錬を続けていたが、悲劇へと巻き込まれていく。
本作では、本格的なアクション要素が導入されている。たとえば、タイミングよく回避をおこなうと発動するプレシジョンドッジや、物理攻撃と魔法攻撃をリズムよく交互におこなうことで発動するマジックバーストといったシステムが存在。アクション性の高いシステムが特徴だ。
今月7月6日、海外メディアBloombergはそんな『FF16』の初動売上について言及した。スクウェア・エニックスは、本作発売初週にパッケージ出荷本数とダウンロード販売数の合計が300万本を突破したことを報告していた。一方でナンバリング前作『ファイナルファンタジーXV』(以下、FF15)は、発売初日のパッケージ初回出荷本数とダウンロード販売数の合計が500万本を突破していたことが伝えられている(ファミ通.com)。
Bloombergの記事ではそうした情報を踏まえて、『FF16』が『FF15』と比べて売上のペースがかなり遅いとの見解が示されている。また国内のパッケージ版の発売2週目の売上本数の下落が大きいとも指摘。さらに記事では、スクウェア・エニックスの株価が『FF16』発売日から下落していることにも言及されていた。
そして今回、スクウェア・エニックスは米IGNを通じて『FF16』の売上に関して声明を出している。同社は声明において、2020年4月発売の『ファイナルファンタジーVII リメイク』の売上を比較例に挙げ、PS5本体とPS4本体の普及率の違いに言及している。
人気を博した『FF7リメイク』の初動売上としては、発売後3日間でパッケージ初回出荷本数とダウンロード販売数の合計が350万本を突破したことが伝えられていた(ファミ通.com)。『FF16』よりも早いペースの売上といえる。一方でスクウェア・エニックスは当時のPS4の普及率が高かったことを指摘。ソニー・インタラクティブエンタテインメントの過去の発表によると、2019年9月30日時点でPS4の全世界累計販売台数は1億280万台。『FF7リメイク』発売時には、それ以上のPS4が普及していたと見られるわけだ。一方PS5の普及率については、ソニーグループの「事業説明会 2023」にて、PS5の全世界累計出荷台数は3月31日時点で約3800万台であったと発表されている。
スクウェア・エニックスは声明において、『FF7リメイク』発売当時のPS4普及率を踏まえたうえで、PS5の普及率を考えると『FF16』はなかなか(considerably high)の売上を見せているとの見解を示している。また同社はより多くのユーザーにプレイしてもらえるように、今後もさまざまな取り組みをおこなっていくとしている。
Bloombergによる「『FF16』の売上が低調ではないか」といった報道の後に明かされた、今回のスクウェア・エニックスの声明。同社の見解では、『FF16』の初動売上は好調であるという。なおゲーム業界のニュースを伝えるTwitterユーザーBenji-Sales氏は、同社が2023年3月期第3四半期決算説明会において『フォースポークン』のレビューや販売状況を「厳しい」と認めていた点に言及(関連記事)。作品の売上が低調なことをあえて隠すようなことはしないだろうとの見方を示している。
『FF16』ではゲームシステムや作風が過去シリーズから大きく変化。『FF』シリーズのナンバリングというだけでなく、そうした側面からも売上の成否が注目されていた作品といえる。売上が過去シリーズよりも低調であるといった見解が一部あるなかで、今回スクウェア・エニックスは改めて本作の売れ行きが好調であると強調した格好だ。声明では新たな展開についても示唆されており、これからの本作も注目されるところだろう。
『ファイナルファンタジーXVI』はPS5向けに発売中だ。