人気リズムゲーム『プロセカ』のガイドラインが、小学校の道徳の教科書のようだと話題。人として当たり前のこと

 

セガは4月5日、スマートフォン向けリズムゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、『プロセカ』)のマナーガイドラインを公開した。本ガイドラインはゲーム内およびSNSにおいて、幅広いプレイヤーが居心地よく『プロセカ』を楽しめる環境を維持できるよう協力を呼びかける内容である。一般的なマナーについての項目は『プロセカ』プレイヤーでなくとも頷ける部分が多く、その“道徳の授業”的内容がSNSなどで話題を呼んでいる。


『プロセカ』は2020年9月にサービス開始されたスマートフォン向けリズムゲームだ。人気のボーカロイド楽曲を多数収録し、業界内で活動するボーカロイドクリエイターもプロジェクトに参加。ボーカロイド黎明期にニコニコ動画などで楽曲を楽しんだ古参ファンだけでなく、当時を知らない若い世代からも支持を受けているタイトルである。『プロセカ』はセガサミーHDの2022年第3四半期の業績に多大な貢献をしたとされている(リンク先はPDF)。ユーザー数が多く、年齢層も幅広いということだ。

今回公開されたマナーガイドラインは、「他人を否定する言葉を使うのは避けましょう」「誰かの好きを否定せず、お互いの好きを受け止められるようにしましょう」「相手のことを考えたコミュニケーションをしましょう」など、インターネットに限らない一般的なマナーを説く内容である。また、「信用できない情報やリーク情報を拡散しないようにしましょう 」「個人情報は安易に伝えないようにしましょう 」といった注意事項も明文化された。

ガイドラインの中でも、リークや個人情報に関する注意喚起は他のゲームでもよく見られる内容だ。プレイヤーを中心に話題となったのは、ガイドライン前半に記載されたマナーに関する部分である。他人を否定せず、一人の人間として尊重する……そんな当たり前の内容がガイドラインとして明文化された背景に、例示されているような暴言が散見される現状があることは想像に難くない。待合エリアのチャットや友達申請のコメントなど、『プロセカ』には交流機能も多い。このガイドラインでは、交流の場におけるコミュニケーションについてわかりやすい文章で方針を示すことで、プレイヤーの意識改善を目指すことが狙いとみられる。


『プロセカ』にはシステム上、プレイヤー間の軋轢が生まれやすいモードも存在する。「みんなでライブ」は複数人で同じ楽曲をプレイすることで、ソロプレイよりも多くの報酬を得られる協力型のモードだ。報酬が豪華なことから周回するプレイヤーも多く、効率の良い楽曲などのセオリーもある程度固まっている。また、SUPER FEVERという、プレイ中に一定区間で全員がコンボをつなぐことで報酬が増加する仕組みも存在する。SUPER FEVERを達成することができなかった場合はミスをしたプレイヤーにヘイトが集まってしまい、ガイドラインの例にある「みんなでライブにくるな」「下手ですね」といった発言に発展してしまうケースもあったようだ。

また、マナーガイドラインでは、ゲームプレイに関係のない言動についてもガイドが設けられている。ユニットやキャラクターを貶したり、「○○推しは厄介だから関わらない方がいい」と他者の人間性を否定したりといった言動は、それを見たファンの気持ちを落ち込ませてしまうものだ。ユニットやキャラクターのファンの気持ちを考慮し、SNSやゲーム内の待合室での発言には気をつけてほしいことが、マナーガイドラインでははっきりと明文化されている。


『プロセカ』と同様にプレイヤーのコミュニケーションマナーを取り扱うトピックスを掲載したタイトルに、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)が存在する(関連記事)。こちらも具体例を交えて禁止事項を挙げ、意見の円滑な伝え方や角の立たない言い回しを提示したことで「道徳の授業のようだ」と話題になった。『FF14』にも『プロセカ』の「みんなでライブ」のような、「たった1人のミスが他のプレイヤー全員の不利益につながる」システムのコンテンツが存在する。協力プレイはオンラインタイトルの魅力のひとつだが、対人コミュニケーションにおけるトラブルが発生しやすいという側面もある。『プロセカ』も『FF14』も運営側で例示を交えた丁寧なガイドラインを制定し、プレイヤーの意識改善に取り組む対策を打ち出したという点で共通している。今後、ほかのタイトルでもこういった“道徳の授業的”ガイドラインが現れてくるのか気になるところだ。

人間として当たり前のことを明文化したマナーガイドラインを制定して話題を呼んだ『プロセカ』。協力プレイコンテンツがある以上、他プレイヤーに迷惑をかけてしまったり、逆に苛立ったりしてしまうのは仕方ないことだ。しかし、画面の向こうには自分と同じ人間が存在する。匿名性に甘えず、相手の気持ちを思いやることを大切にしよう。マナーガイドラインの全文はこちらをお読みいただきたい。

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