ファンが勝手に非公式『ポケモンFPS』をお披露目し、その残虐表現に批判集まる。問われる二次創作のモラル

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ファンメイド作品『Pokémon First Person Shooter(以下、ポケモンFPS)』を制作するDragon氏が、同作に関する映像をTwitter上に投稿。IPの無断利用という点のほかに、ポケモンを銃で撃つという内容にファンの間で賛否が分かれている。

株式会社ポケモンは1月19日、『Pokémon LEGENDS アルセウス』の世界を360°ビューで表現した動画を投稿。そこには同作の広大なフィールド内を一人称で駆け抜けるシーンが映しだされ、YouTubeのコメント欄には「ポケモンの世界に実際に居るようだ」といったファンによる肯定的な意見で溢れた。そんな中、とある海外ユーザーがポケモンを銃で撃つことを題材としたFPSゲームを発表。開発者が投稿した下記の動画から、本作のゲームプレイを垣間見ることができる。少々刺激の強い内容であるため、注意してご覧いただきたい。


『ポケモンFPS』は個人ゲーム開発者Dragon氏が制作した、ポケモンとFPSシューターを組み合わせた作品だ。もちろん株式会社ポケモンとは無関係。本作の目的はポケモンを捕まえることではなく銃で狙撃すること。上記の動画では、血を吹き出し横たわるピカチュウの姿を確認できる。なぜこのような作品を開発者は制作したのか。その動機は彼が投稿した動画からうかがうことができた。


同作の開発に際して、Dragon氏は「誰かがポケモンのFPSゲームを作るべきだ」といったとある人のツイートから着想を得たと述べている。本作はわずか1カ月の短期間で制作されたという。登場するポケモンのモデルは、『ポケットモンスター サン・ムーン』といったオリジナルのゲームデータを流用したことを公言。またアニメーションはオリジナルデータをUnreal Engine にインポートすることで、開発時間を短くできたと開発者は語っている。アセットを盗用しているという点でも、悪質なプロジェクトである。なお開発者は権利関係を念頭に置いたうえで、「同作を発売するつもりはない」と動画内で宣言した。

本作は題材が題材なだけに、ファンからは多くの批判が寄せられた。ポケモンが撃たれることに怒る人、株式会社ポケモンの反感を買うことになるとこぼす人など、その反応はさまざまである。そんな中で多くの反感を買ったのが、同作における流血表現だ。

※同作に対して「胸が痛くなる」とつぶやく海外ファン


ポケモンシリーズは元々子供向けである影響で、広い世代に受け入られるよう描写に関して気を配り制作されてきた。そのため流血シーンといった身体的損傷に関する表現は、同シリーズではほぼ描写されていない。このような背景から、往年のファンほど『ポケモンFPS』に対して嫌悪感を示す人が多いことは納得できる。

『ポケモンFPS』のようなある種強いインパクトを与えるファンメイド作品は、ゲームのクオリティや目新しいコンセプトが注目されがちだ。同作の製品化を願うファンも一定数いるようである。対して同作の流血表現に対して強い嫌悪感を示すユーザーも多い。現に「本当に嫌な思いをしたし情けなくなる」「正気の沙汰ではない」といった同作に対する否定的な反応が、ユーザーにより広く拡散されている。この一連の反応を見ると、ポケモンブランドのイメージに影響を与え得る作品であることは間違いない。

『ポケモン』に関してはファンアートなどは数多くSNSに投じられており、必ずしも二次創作そのものがユーザー間で否定されているわけではない。しかしながら、このような本家のイメージを害する表現を有するファン作品は、たとえ商用目的でなくとも、ブランドやファンを著しく傷つける可能性がある。アセット盗用をしているという点も悪質。株式会社ポケモンは同作にどのようなアクションを起こすのだろうか。いずれにせよ、二次創作におけるモラルをユーザーに問い直す騒動であった。

【UPDATE 2022/1/22 11:40】
『ポケモンFPS』について、その後株式会社ポケモンによる著作権の申し立てにより、TwitterおよびYouTubeに投稿されていた動画が削除された。

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野生のグラフィックデザイナー。ゲームをプレイすることを「ゲームを食べる」と言う。