デッキ構築×育成ノベルADV『世界の為の全ての少女』体験版が配信開始。何も知らない少女を育てるために、かりそめの理想都市を造り上げる


国内のインディーデベロッパーyondrayは11月20日、デッキ構築型育成ノベルアドベンチャー『世界の為の全ての少女』の体験版を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Booth)。全7年で構成されるうちの、最初の1年の一部を体験できる。 
 

 
『世界の為の全ての少女』は、崩壊する世界を救うために一人の少女を成長させるデッキ構築型育成ノベルアドベンチャーだ。舞台となるのは、世界が終末を迎えた近未来。人類は最期の希望を託して、一人の少女を宇宙へ送る計画を始動させる。何も知らない平凡な少女を完璧な存在へと育成すべく、滅亡寸前の人類は一つの街を建設。崩壊した世界で唯一造り上げられた街を舞台に、少女を育てあげる計画が始動する。プレイヤーは、少女を育てる責任を負った管理官。街の管理をおこないながら、少女の指導を進めることになる。 
 

 
少女には、知性・慈愛性・魅了性・身体性という4つのステータスが存在。ゲームはこれらのパラメータを育てながら、6シーズン(ターン)で構成された1年間を、繰り返すかたちで進行する。少女を育てあげるためには、まず舞台となる街の計画を練り上げねばならない。街には居住区域・娯楽区域・商業区域・特別区域・工業区域が存在。それぞれの区域が、先述した少女の知性や慈愛性といったステータスに対応している。区域を活性化させることで、街の活気が少女に届き、パラメータを上昇させることができるのだ。シーズンごとにコストを消費し、街を活性化して少女を育てよう。 

とはいえ、区域を単に活性化させ続ければいいわけではない。区域には疲労度も蓄積されるため、ときには休息の指示を与えて回復させることも必要だ。また区域を活性化させると、「計画強硬指数」という数値も変動する。計画強硬指数が一定値を超えると、「発覚確率」が上昇。少女が、計画に気づいてしまう確率が上昇してしまう。彼女には、あくまでこの街がごく普通の都市であると思いこませねばならないのだ。区域活性化によるステータス上昇と、疲労度や計画強硬指数のバランスを調整しながら、都市を運営する必要がある。スケジュール画面では区域への指示のほか、「外地調査」や「都市開発」などのコマンドも利用可能だ。 
 

 
計画にとって区域管理と同様に重要なのが、「人材」である。終末世界の理想都市であるこの街には、シーズンごとに多様な人材がやってくる。これらの人員を雇用することで、さまざまな効果を得ることができるのだ。たとえば「皆勤賞を狙う少女」というユニットを雇用すると、居住区域にアサインされ、区域の活性度を3%上昇させるといった具合だ。 

人材の効果には、雇用した時点で発動する「到来」、緊急事態が発生した際に発動してくれる「逆境」、コストを消費して発動する「真価」がある。すぐ利用できるもの、ピンチのとき頼れるもの、使いどころを考える必要があるものと、それぞれの特性を考えて人材を迎えよう。このほか、区域の影響で少女のステータスが上昇した際に効果を発動する人材も存在。計画強硬指数が上昇してしまうものなど、必ずしもよい効果とは限らないので注意だ。 
 

 

 
シーズンの合間には、少女が人材と出会うイベントや、管理官と少女のやり取りを選択するシーンも存在。選択肢を選ぶことで、少女のステータスが上昇していく。このほか、ときには街に「磁気嵐」などの緊急事態が発生することも。「保安員」クラスの人材を集めたり、都市開発で災害対策を強化したりすることで、対処する必要がある。 

そして、6シーズンを終えた1年の最後には、少女の能力を測るテストが待ち構えている。テストの対策として必要になるのが、少女と街の「思い出」だ。テストの前には「記憶管理」コマンドで、少女がこの街で過ごした思い出を獲得しておく必要がある。記憶管理画面を開くと、「祭りの思い出」や「五月雨の思い出」など、取得できる思い出の一覧が表示される。 

それぞれを手に入れるためには、MP(メモリーポイント)が必要だ。MPは都市管理を通じて獲得することができ、「いずれかの区域を5回発揮(活性化)させる」「コストを5以上残してシーズンを終える」などの条件を満たすことでポイントを得られる。MPを消費して思い出を獲得したら、「知性」「慈愛性」などそれぞれのステータスと結び付けておくことが可能だ。 
 

 
そしてテストでは、4人の審問官から少女に対して質疑がおこなわれる。ターンの始めには、「知性に関すること」「慈愛性に関すること」など、審問官たちの聞きたいことが提示される。これに対して少女は、手持ちからランダムにデッキに配置される思い出を使って審問官に回答していくこととなる。なるべく審問官の質問と合致した性質の思い出で発言しよう。事前にたくさんの思い出を獲得しているほど有利になりやすいというわけだ。 

思い出を選択し、4人の審問官のうち1人に対して発言すると、対象の審問官のポイントが加算される。このときの点数は「少女のステータス」「審問官の聞きたいこと」「審問官の性質」などの要素をもとに算出される。なるべく高いポイントとなる発言を目指そう。ポイントが審問官の設定する目標点に達すれば、審問官は1人ずつ退場していく。すべての審問官の目標点をクリアするか、7ターン目までに2人以上の審問官の目標点をクリアすればテストは合格。次の年へ進むことができる。 
 

 
このように本作は、「少女のステータス」「都市の区域管理」「人材雇用」「記憶収集」「思い出デッキを用いた審問官との対峙」と、複雑なシステムで構成されている。体験版の冒頭で一挙に数多くの要素が説明されるため、初見プレイではなかなか理解が追いつかない場面も多い。しかしディストピア要素のある世界観や、人材ごとに用意された豊富なビジュアルなど、洗練された要素も垣間見える。製品版までに、より親切なチュートリアルが搭載されることを期待したいところだ。 

『世界の為の全ての少女』体験版はBoothにて無料配信中。製品版の発売時期は「今冬」とされている。 




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