『オーバーウォッチ』のマクリーが「コール・キャスディ」に改名。 スキャンダル渦中の元実在スタッフの名前と決別


Blizzard Entertainmentは10月23日、『オーバーウォッチ』に登場するキャラクター「ジェシー・マクリー」の名称を新たに「コール・キャスディ」に改めることを発表した。変更は10月27日より適用されるという。 
 

 
マクリーは、『オーバーウォッチ』に登場するキャラクターの一人だ。カウボーイのような姿をしており、愛銃ピースキーパーを携行。射線が通るすべての敵をロックオンして一斉に撃つ「デッド・アイ」などの能力を使いこなす、射撃特化型のヒーローだ。  

マクリーの名称変更については、今年夏に予告されていた。そもそもの発端は7月20日、Activision Blizzardが米国カリフォルニア州の行政機関である公正雇用住宅局により訴訟を起こされた問題に由来する。訴状では、Activision Blizzard社内で女性従業員に対する性的ハラスメント、および賃金や昇進機会の不平等などが存在し、男性従業員を中心とした有害な職場文化が根付いていたと報告されていた。 

こうしたスキャンダルの渦中にいた人物の一人が、Jesse McCree(ジェシー・マクリ―)氏である。McCree氏はBlizzard Entertainment社にてリードレベルデザイナーを務めていた人物だ。『ディアブロ III』においてシニアレベルデザイナーを担当するなど、ベテラン開発者として活躍。また『オーバーウォッチ』におけるマクリーの名前の由来となった人物としても知られていた。  
 

 
ところがActivision Blizzardの訴訟に際し、海外メディアKotakuが同社男性従業員らのグループチャットの内容を報道。セクハラ容認を示唆するグループチャットにMcCree氏が参加していたことが報じられた。この件を受けて、ユーザーは強く反発。一部『オーバーウォッチ』ファンはキャラクター名としてMcCree氏の名前が使われていることに強い嫌悪感を示し、改名を求める動きが生じていた。その後McCree氏はActivision Blizzardを離職したことが伝えられたものの、高まるユーザーの声を受けて、Blizzard Entertainmentは8月27日に『オーバーウォッチ』マクリーの改名を約束する告知を出した。 

そしてこのたび、新たな名前として「コール・キャスディ」が発表されたわけだ。ストーリーとしては、過去から逃れることをやめた彼が、自身と向き合った結果新たに名前を手に入れた、という筋書になるようだ。名前の由来は公式には発表されていないものの、西部劇映画「明日に向って撃て!」のモデルとなったブッチ・キャシディや、パルプ紙・映画などで活躍したフィクション上のガンマンであるホパロング・キャシディなどが元ネタとして目されている。 
 

 
なおBlizzard Entertainmentは10月21日にエクスペリメンタル・パッチを配信。マクリー改めキャスディにも変更が施されている。とくに「コンバット・ロール」が空中でも使用可能になったことが話題に。空中コンバット・ロールは2020年9月のエクスペリメンタル・パッチでも試用されたが、ライブサーバーでは実装に至らなかった経緯がある。このたびふたたび空中回転を試せるようになり、その実用性に注目が集まっているようだ。このほか「デッド・アイ」使用直後にダメージ上昇量が抑えられる時間を0.8秒から0.5秒に短縮されるなど、上方修正が入っている。 

新たな名前となったキャスディは、ユーザーの間で浸透するのだろうか。今後の動向に注目したい。ちなみに『オーバーウォッチ』では新名称発表を記念して、10月23日から11月5日まで、BattleTagを1回無料で変更できるキャンペーンを実施中だ。