『オーバーウォッチ2』エグゼクティブプロデューサーが退職。訴訟問題に揺れるBlizzard、ベテラン開発者の退職が相次ぐ

 

Activision Blizzardの子会社Blizzard Entertainmentより、Chacko Sonny氏が退職していたことが明らかになった。Bloombergなどが報じている。同氏は『オーバーウォッチ』『オーバーウォッチ 2』の開発を率いてきた人物だ。Blizzard Entertainmentでは、ベテラン開発者の退職が続いている。 

Chacko Sonny氏は1995年ごろから業界に身を置くベテラン開発者だ。Sony Computer Entertainment Americaのサンタモニカスタジオでプロダクト開発ディレクターなどを経て、2016年よりBlizzard Entertainmentに在籍。『オーバーウォッチ』シリーズのエグゼクティブプロデューサーを務め、最新作『オーバーウォッチ2』においても開発を率いてきた。 

今回の報道に際し、Blizzard Entertainmentは海外メディアPolygonに声明を発表。Sonny氏の退職について、「まとまった休みをとるため」同社を離れるはこびになったと伝えている。Blizzard Entertainmentは同時に、『オーバーウォッチ2』の開発が最終段階に入ったと説明。シリーズの運営・開発に影響がないことを暗に示した。 複数のBlizzard従業員によれば、Sonny氏は在職中も社内スタッフから評判がよく敬意を払われており、Sonny氏に対する申し立てはとくにおこなわれていないとされている。よって、 Activision Blizzardが受けている訴訟騒動とSonny氏の退職には直接の関係はないと見られる。 
 

 
Activision Blizzardおよび子会社は7月20日、女性従業員への不当な扱いを理由として米カリフォルニア州行政機関より訴訟を受けた。以来、現役従業員・元従業員などの関係者による告発が相次ぎ、従業員主導によるストライキなどの抗議運動にまで事態が発展した。8月3日にはBlizzard社長だったJ. Allen Brack氏が退任している。さらに『ディアブロ IV』や『World of Warcraft』などの大型タイトル開発に深く関わるベテラン開発者が同社を離れるなど、退職の報道が相次いだ(関連記事)。 

先週9月17日には、チーフリーガルオフィサーであるClaire Hart氏も3年間の勤務ののち退職したことも報じられている。なお、『オーバーウォッチ』チームの人材でいえば、訴訟騒動に先だって4月にも、長年ゲームディレクターを務めたJeff Kaplan氏がBlizzard Entertainmentを離れている。 

Activision Blizzardについては、米国証券取引委員会が新たに調査を開始したことをThe Wall Street Journalが9月20日に報じている。委員会は、 Activision Blizzard による訴訟への対応を広範に調べるとして、CEOのBobby Kotick氏を含む幹部を召喚したという。 Activision Blizzardは9月21日に声明を発表。雇用環境についての申し立てに対処・解決するため、当局との協働を続けていくと述べた。 Kotick氏もコメントを寄せ、雇用機会均等委員会、労働関係委員会、カリフォルニア州公正雇用住宅局といった当局と協働することで、職場のポリシーや手続の改善、およびコンプライアンスの確保といった目標を達成するために継続的な取り組みをしていくとしている。またActivision Blizzardは、 雇用機会均等委員会との協議を続けており、特定の雇用慣行に関する委員会の調査に協力していることを明かした。 
  

 
『オーバーウォッチ2』については、今週末9月26日午前9時より、「オーバーウォッチ リーグ グランドファイナル」のライブ配信にて新情報が公開される予定だ。なお『オーバーウォッチ2』のリリース時期は、2021年内には発売されないことが明かされている。