不謹慎ネットミーム化した「スエズ運河」。ゲームやMod開発が流行中、大型コンテナ船を救って通航再開を目指せ

 

エジプトのスエズ運河で大型コンテナ船が座礁し、運河が塞がれてしまった事故が世界中を騒がせている。3月29日現在も通航再開の目処は立っておらず、物流や世界経済への影響が予想されている状況だ。コンテナ船の船体を動かすためにさまざまな策が講じられており、その作業風景は媒体を問わず多くのニュースで流れるところとなった。

しかし、世界的な大事件であるにもかかわらず、大型コンテナ船の座礁という巨大すぎるスケール感から“スエズ運河”はちょっとしたネットミームにもなっている。特に、巨大なコンテナ船の周りで作業を行っている重機たちはその筆頭と言えるだろう。決して小さなサイズではないはずのショベルカーやブルドーザーが、あまりにも大きなコンテナ船の周りで作業をしているためにミニチュアのように見えてしまうのだ。巨大なコンテナ船の周囲を駆け回る、小さな小さな重機たち。せっせと救助作業を進める彼らはどこか健気にも見え、懸命に地面を掘り起こしているように感じられる。事故から数日の間に“スエズ運河”はネットミームと化し、ゲームやModを作る人々も現れはじめている。


3月27日、ブックデザイナーのEric Wilder氏はitch.ioにて『Suez Canal Bulldozer』を公開。初代『ポケットモンスター』風のグラフィックと8bitサウンドでスエズ運河の風景をシュールに描いている。プレイヤーはブルドーザーを運転し、スエズ運河で座礁した大型コンテナ船を動かすべく、船を立ち往生させている岩をどうにかしなければならない。操作はとてもシンプルで、カーソルキーでブルドーザーを移動し、Jキーでアクションを行うのみである。

しかし、岩に向かってアクションキーを押したところで、出るのは「It‘s super stuck.(まったく動かない)」のダイアログのみ。カーソルキーを組み合わせても、コンテナ船は微動だにしない。そもそもこのゲームにおいて大型コンテナ船を救い出すことは果たして可能なのか、うんともすんとも言わない様子に途方に暮れてしまうことだろう。ゲームにおけるそんなプレイヤーの心境は、現実のスエズ運河関係者の気持ちにも近いのかもしれない。

https://twitter.com/Eric_C_Wilder/status/1375502328397172747

※ 作者のEric氏はTwitterでのゲーム紹介に「なんでこんなゲーム作っちゃったんだろう」と添えている。


また、Steamではスエズ運河をテーマとしたゲームのリリースも告知されている。その名もずばり『スエズ運河』というストレートなもので、4月20日のリリースを予定している。『スエズ運河』はゲーム内でスエズ運河を通航することができるシミュレーションゲームで、プレイヤーは遠洋定期船や石油タンカー、そして大型コンテナ船を運転することができる。現実のスエズ運河での大型コンテナ船座礁事故からほどなくして告知されたタイトルであるものの、ネットミームを受けてお遊びで作られたゲームなのか、本気でスエズ運河のシミュレーションゲームとして制作しているのか、制作者の真意は不明である。この規模のゲームが即席で作れるとは思えず、データ盗用やアセットフリップ作品になる可能性もあるので注意したい。ちなみに、日本語にも対応しているようだ。


また、マイクロソフト社開発のフライトシミュレーションゲーム『Microsoft Flight Simulator』では、この事故をModで再現するユーザーも現れた。FlyBoyRez1氏は『Microsoft Flight Simulator』のMod投稿サイトFlightsim.toにコンテナ事故再現Mod「Ever Given – Suez Traffic Jam」を投稿。このModを導入したとみられるdonut_enforcement氏がTikTokで公開した動画を、マイクロソフト社でテクニカルアドバイザーを務めるMat Velloso氏が紹介し話題となった。Modを導入することで、大型コンテナ船がスエズ運河を塞いでいる光景を上空から眺めることができる。


世界的大ニュースがネットミームと化し、ゲームやModまで現れはじめたスエズ運河の大型コンテナ船座礁事故。現在もコンテナ船の移動作業は続いており、少しずつ船体は浮上しているようだ(NHK)。一刻も早い通航再開を願っている。


ポストアポカリプスとドット絵に心惹かれます。AUTOMATONではFF14をメインに担当します。