優しい山登りオープンワールド『A Short Hike』Nintendo Switch版の売り上げが非常に好調。小さなスタートからの成功

 

個人開発者Adam Robinson-Yu氏は10月10日、海外メディアNintendo Everythingの取材に答え、『A Short Hike』のNintendo Switch版の売り上げが非常に好調であることを明らかにした。具体的な数字は伏せつつ、PC版のリリース時は非常に静かだったとしながら、Nintendo Switch版はとても売れていると語った。

『A Short Hike』は、ハイキングを楽しむオープンワールドゲームだ。主人公となるのは、悩める鳥のクレア。クレアは何かつらい経験をした、もしくは何かがうまくいってないようで、ふさぎ込んでいる。そんな娘を気にかけた親類は、夏休みを利用して彼女をホークピーク州立公園へ連れてきた。コテージで時間を過ごすクレアは誰かからの電話を待っているが、なかなか連絡がこない。実は寝泊まりしている地域は圏外だったのだ。携帯電話の電波の入る地域を探すため、クレアは自然あふれる地域を旅する。
【UPDATE 2020/10/12 12:45】
ストーリー導入の記述を修正

本作ではホークピークを自由に探索する。山をのぼり海を泳ぎ、そしてその翼を生かして空を滑空する。ゲームは見下ろし視点で展開されるものの、マップには高低差の概念が存在するので立体感のあるエリア探索が楽しめる。高いところから滑空してみれば、意外な場所にたどり着けるかもしれない。マップにはハイキングを楽しんでいる他の動物が存在し、彼らとのコミュニケーションを通じて新たな情報を得たり、アイテムを手に入れたり。落ちている貝殻やコインを拾ったり、穴を掘ったり釣りをしたり、気ままなアクティビティを楽しんでみてもいいだろう。また黄金の羽根というアイテムを手に入れることで、移動範囲はどんどん広がっていく。


Robinson-Yu氏がPC版は静かだったと語っていたとおり、本作はリリース当初はあまり注目を集めていなかった。というのも、最初はHumble Monthlyの特典のひとつだったからだ。Humble Bundleのサブスクリプションサービスに含まれる、DRMフリーの“おまけ”ゲームのひとつとしてスタート。そこで大きな反響を受け、3か月後にSteam版がリリースされた。Steamでも前評判に違わぬ高評価を受けており、2019 Golden Joystick Awardsや23rd Annual D.I.C.E. Awardsなどにノミネートされた。Independent Games Festival Awardsでは、大賞となるGrand Prizeを獲得にするに至った。優しい世界観、ユニークでかわいいテキスト、丁寧なストーリーテリングなどが好評を博したのだ。そしてNintendo Switch版がリリースされ、さらなる成功を収めている。

PC版のリリース当時から、Nintendo Switch版への移植が切望されていたという。ただ結果として、Nintendo Switchでリリースされたのは、PC版が発売されてから1年以上経ってからであった。その背景についても、Robinson-Yu氏は言及。ビジネスまわりでたくさんしなければいけないことが多く、ハイクオリティのものにするために、自分自身で移植をしたかったのだという。そのため、移植作業はそれほど大変ではなかったものの、思っていたよりも時間がかかってしまったようだ。そのおかげか、Nintendo Switch版でもスムーズに島歩きを楽しむことが可能になっている。

Humble Monthlyに付属する小さなゲームとしてスタートした『A Short Hike』は、全世界のさまざまなユーザーに遊ばれるゲームへと成長した。同作はPCとNintendo Switchにて、日本語でプレイ可能。なお現在Robinson-Yu氏は新作のRPGを開発中。もともとはこのRPG制作の気晴らしに作られたのが、『A Short Hike』だったようだ。『A Short Hike』を気に入った方は新作についても楽しみにしておこう。ちなみにRobinson-Yu氏は、ハロウィンのシーズンが近づいていることもあってか、最近はカボチャづくりに夢中なようである。