名作FPS『DOOM』を妊娠検査キットでプレイ可能にしたユーザー現わる。 『スカイリム』の映像も再生できるデバイスが誕生


妊娠検査キットで『DOOM』をプレイする動画が話題となっている。移植を行ったのはプログラマーのfoone氏。9月7日にTwitterに投稿された動画では、初代『DOOM』をデジタル方式の妊娠検査キットのディスプレイでプレイする様子が収められている。このデバイスでは『The Elder Scrolls V: Skyrim(以下、スカイリム)』冒頭などの映像も再生できるようだ。

インターネットミームと化している文言「It Runs DOOM」は、初代『DOOM』を起動できるデバイスを指す言葉だ。『DOOM』は1993年にid SoftwareがMS-DOS向けに開発した、FPSのジャンルを開拓した作品。ゲームのソースコードが公開されており、ソフトウェアの互換性が高いことでも知られている。ゲームとしての知名度と移植しやすさによっても名を馳せている。その影響で、マニアによる無茶な移植が流行。iPodやATM、冷蔵庫など想像できる限りのどこへでも行われてきた。そうした試みを総称するのが、「It Runs DOOM」というワードなのだ。

Twitterユーザーのfoone氏は、アメリカ・カリフォルニア州在住のプログラマーだ。レトロなガジェットを扱う電子工作を得意としており、フロッピーディスクを使ったキーボードなど、不思議な発明を行っている。これはAからZまで26枚のフロッピーディスクで、1文字ずつ入力を行うシステムだ。初代『DOOM』を妊娠検査キットへ移植するには、ぴったりの素質を持った人物といえるだろう。

foone氏は9月5日から、デジタル方式の妊娠検査キットのディスプレイで、ミーム系の映像を再生する投稿を行っていた。Rick Astleyの80年代を代表する「Never Gonna Give You Up」や東方Projectの「Bad Apple!!」のMV、日本発のミームであるナナフシがノリノリで踊る映像など。なかでも『DOOM』と『スカイリム』のプレイ映像が、じわじわと注目を集めていた。『スカイリム』については、ゲーム最序盤の馬車の上で目を覚ますシーンと、「SKYRIM」のタイトルが読み取れるはずだ。

そして9月7日にfoone氏はついに『DOOM』を妊娠検査薬へ移植することに成功し、多くの注目を集めることになった。モノクロディスプレイの128×32ピクセルという低い解像度ではるが、実際に『DOOM』が起動し、ゲームがプレイ可能になっている。操作は、妊娠検査薬の外へ取り付けたキーボードで行うようだ。この快挙は『DOOM』を起動できるデバイスを紹介するブログ「It Runs DOOM!」などでも取り上げられている。

使用された妊娠検査キットは、ウォルマートのブランドEquateが販売しているデジタル式のもの。2パック入りで6.98ドル、正しく使えば99%以上の精度で妊娠しているか検査できる。たとえば、予定日5日前から使用でき、4日前なら51%、1日前なら95%の精度といった次第。ただし妊娠検査キットのCPUと液晶ディスプレイはすべて交換されており、もとの部品で残っているのは外側のケースだけだ。foone氏によると、既存のCPUは再プログラムができず、液晶ディスプレイは4つのものしか表示することしかできないとのこと。「NOT」と「妊娠」の文字、および本と砂時計のマークしか表示できない。さらに「現在のバージョンはシェルに入りません」と投稿。妊娠検査キットの小さいケースには、ディスプレイしか入らず、基盤などは外側に配置されている。

こうした現状から考えると、foone氏としては、まだまだ妊娠検査キットを使ってのゲームキットの発明は完成に至っていないのだろう。Twitterで進捗報告をしながら、妊娠検査キットの改良を続けている。9月8日の時点では大きめのケースの妊娠検査キットを購入して、基盤をすべてケース内に収めることに成功した。新しいキットでは『DOOM』は動かないものの、踊る赤ちゃんのミームを再生することはできるようだ。不思議な試みを続ける、foone氏の今後の発明にも注目したい。