『F-ZERO』公式と噂されたTwitterアカウント、「ポルノビデオ」が投稿されフェイクと判明。夢潰える

 

昨日7月20日に電撃放送されたNintendo Direct Mini。多くのタイトル情報が出たが、実はその1週間前から、「Twitterアカウント」をめぐるユーザーたちの 熾烈な情報探しが展開されていた。任天堂は例年E3にあわせて大規模なNintendo Directを放送してきたが、この夏はE3の中止と共に静かな夏を過ごしている。しかし「必ず大きな発表をするに違いない」と情報の欠乏によりギラついたユーザーたちは、Twitterアカウントを掘ることで新たな情報を得ようとしていた。

最初に発見されたのは、「@supermario35th」なるアカウント。今年は『スーパーマリオ』の35周年であり、ゲームタイトルにおいても新たな展開があるとの噂が出ており、熱心なファンはTwitterで情報を探索。その結果として、スーパーマリオ35周年向けアカウントとなりそうな、「@supermario35th」が発見されていた(VGC)。

そしてもうひとつ発見されたのが「@FZeroJP」なるTwitterアカウントだ。この「タイトル名+JP」を用いるアカウント名は、『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『スプラトゥーン』公式アカウントに使われている方式。さらに、両アカウントのパスワードリセットをしようとした際に使われているメールアドレスが、任天堂のメールアドレスではないかと推測されていた。2004年発売の『F-ZERO CLIMAX』以降『F-ZERO』シリーズの新作は作られていない。16年ぶりの新作を願うファンにとっては、期待できる要素があったわけだ。


そして昨日Nintendo Direct Miniの概要が発表され、期待はさらに高まる。「続報が中心」「ソフトウェアメーカーのタイトル」という文言がありながらも、『F-ZERO』新作が発表されるのではないかと静かながら熱い期待が寄せられていたわけだ。しかし、その願いは唐突に消え去る。Nintendo Direct Miniが放映された7月20日23時頃、@FZeroJPアカウントにて、「やったぜ。」の文言と共に奇妙なポルノ動画が投稿された。この瞬間、ファンの期待が潰えた。「@FZeroJP」Twitterアカウントは、巧妙なフェイクであったというわけだ(リンク先閲覧注意)。

同アカウントに投稿されたのは、界隈で人気のゲイビデオをもとにした映像。直接的な表現はないので、ポルノビデオと表現するほどいかがわしいものではないものの、職場で音を出しては見られないようなもの。一種のネットミームである。日本のネットユーザーのおふざけであるということだろう。「騙し行為」であったが、海外ではこのユーザーの仕込みに感心するユーザーの声が寄せられている。

というのも、このアカウントが作成されたのは今年の3月。4か月以上このおふざけのために潜伏していたという気概や、わざわざ任天堂らしきメールアドレスを用意していることなど、なぜか騙し側のメンタリティを称える投稿がTwitterに寄せられている。Redditでは「ここ数年で、一番『F-ZERO』が目立った行動だったよ、よくやった」という書き込みが、もっともUpvoteを集めている。忘れられかけた『F-ZERO』というフランチャイズに話題を集めたという点や、投稿されたポルノビデオがなぜかウケており、このだまし計画はTwitterとRedditで奇妙なほど好意的に受け取られているのだ。


とはいえ、騙す行為は褒められたものではないし、ポルノビデオも人によっては酷く気を害することだろう。一方で、今回の『F-ZERO』についてのリアクションは、『F-ZERO』の新作が発表されるはずがないというユーザーの達観した姿勢が垣間見え、それゆえにフェイクであることにも寛容になれているとも考えられよう。

いずれにせよ、今フェイクニュースを流す上では「Twitterアカウントの発掘」というのがひとつのトレンドになりつつある。先日マイクロソフトが管理する「@fable」「@PerfectDarkGame」なるアカウントが発見されたことも、Twitterアカウント発掘ブームに火をつけた可能性があるだろう。なおマイクロソフトのAaron Greenberg氏は、両アカウントはただ確保しているだけのアカウントで、数年稼働していないとコメントしていた。

こうした背景により、Twitterアカウント発掘を介しての新展開の予想は、信憑性を失いつつある。おそらくであるが、@supermario35thのアカウントの方もフェイクである可能性が高い。至極当たり前の話ではあるが、Twitterアカウントの発掘ではなく、公式からの発表をおとなしく待つのが、もっとも正確で手っ取り早い情報を得る方法であるということだろう。