ゲーム内で「自宅にいること」を呼びかける。ゲーム会社と協力、イギリス政府流の若者向け自粛要請


イギリスDCMS(デジタル・文化・メディア・スポーツ省)は4月6日、健康に関する重要なメッセージを国民に伝えるため、英国内のゲーム開発企業と協力していくと発表した。具体的には、「Stay At Home, Save Lives(家にとどまり、命を守ろう)」といったメッセージを、人気ゲーム内に掲出する活動をおこなうという。

今回の発表にてDCMSは、新型コロナウイルス感染拡大の危機を乗り越えるためには全国的な取り組みが求められているとした上で、ひとりひとりの行動が他者の命に直接影響を与え得る状況にあることから、すべての世代に果たすべき役割があると述べる。

そして、若い世代の人間はほかの世代に比べてゲームをプレイする時間が長いという調査結果があることが、今回の取り組みに繋がっているという。政府が掲げる「Stay Home, Protect the NHS, Save Lives」というメッセージを若い世代に届けるには、ゲーム内に表示させることはクリエイティブであり即効性があるとしている。ちなみに、NHSとは国民保健サービスのことで、医療体制を守ろうという姿勢がメッセージに含まれている。

今回の取り組みには、現時点ではCodemasters・Rebellion・Kingが参加。Codemastersは、レースゲーム『DiRT Rally 2.0』に収録するコース内に「Stay At Home, Save Lives」と書かれたバナーを掲出。これは以前から自主的におこなっていたが、今後さらなるメッセージを複数のゲーム内に用意し、欧米全域に向けて配信するという。

Rebellionは、『Sniper Elite』シリーズや『Zombie Army』シリーズなどで知られるデベロッパー。同スタジオはゲームのメインメニューにメッセージを表示させ、英国政府の関連ホームページへのリンクも張る予定。さらに、出版部門から刊行するコミックにも、広告としてメッセージを掲載するそうだ。

Kingは、『キャンディークラッシュ』で有名なActivision Blizzard傘下のモバイルゲームメーカー。同スタジオも同様に配信中のゲーム内にメッセージを表示させるほか、ロンドンに230か所以上ある広告用の電子ポスターを使ったメッセージ掲出のために寄付をおこなうとのことだ。

ゲーム内にメッセージを表示させることは、小規模なアップデートやサーバー側の対応にて可能であり、現代ならではの手法であると言えるだろう。今回とは事情が異なるが、今年1月に元NBAスター選手のコービー・ブライアント氏が亡くなった際にも、『NBA 2K20』のゲーム内に追悼メッセージが掲載され話題となった。

また、新型コロナウイルスの影響により外出の自粛や在宅勤務が増えたこともあってか、たとえばSteamでは同時接続プレイヤー数の記録更新が相次いでおり、人々のゲームに触れる機会が全体的に増えている状況。「Stay At Home, Save Lives」といったメッセージを届けるチャンネルは多いに越したことはなく、ゲーム内に掲出することは効果的だと言えそうだ。DCMSは、今回の取り組みに賛同する企業をさらに募っている。

なお余談であるが、今回紹介された『DiRT Rally 2.0』は、現在PS4版がフリープレイタイトルとしてPS Plus加入者向けに無料配布中。日本でもこのメッセージを見ることができるのかどうかは不明である。