『フォートナイト』ワールドカップ、10代の若手やコントローラー使いが大活躍。一方で元チーターが大ブーイングを浴びる一幕も

 

今月2周年を迎えた『フォートナイト』では、予選参加者4000万人・賞金総額約40億円の世界大会「Fortnite World Cup」のファイナルが、日本時間7月27日から7月29日にかけて開催された。決勝に残ったデュオ50組とソロ100人が頂点を目指して争う様子は、世界中のファンの注目を集め、YouTubeでは同時視聴者数が100万人を超えていた。

最注目のソロ部門では、16歳のBugha氏(Kyle Giersdorf)が、初戦勝利で勢いを付けたままリードを維持し、見事優勝。賞金300万ドル(約3億2500万円)を獲得した。また5位にランクインしたアルゼンチン出身のKing氏(Thiago Lapp)は、Bugha氏よりもさらに若い13歳の少年。3戦目ではマッチ序盤で敗退してしまったものの、集中力を維持して上位をキープした。ソロ部門で決勝に進出した日本人選手は2人。そのうちTAKAMURAMM氏は33位、Maufin氏は91位でフィニッシュ。なおTwitch人気の高いTfueことTurner Tenney氏は、上述したKing氏に倒されたりと、思うようなパフォーマンスを発揮できず、67位で終わった。

デュオ部門では、Aqua氏(David W)とNyhrox氏(Emil Pedersen)が優勝。だが海外メディアの注目を集めているのは、2位にランクインしたWolfiez氏(Jaden Ashman)とRojo氏(Dave Jong)の方である。決勝進出者の多くがキーボード/マウスでプレイした中、Wolfiez氏はコントローラーを使用していたのだ(Polygon)。エイムアシストがあるとはいえ、本作の射撃・建築操作においては、キーボード/マウス操作よりも精度・速度が落ちると考えられる。そんな中、Wolfiez氏はコントローラー操作でもトップレベルで十分に太刀打ちできることを証明してみせた。

決勝進出者には十代前半~半ばの若い選手が複数おり、Wolfiez氏も15歳。学生生活を送りながらも、1日最大8時間を『フォートナイト』に費やしているという。学校の成績が落ちたりと、最初のうちは母親の理解を得ることが難しかったようで、Wolfiez氏の母は「Xboxを捨てて、ヘッドセットを折ったことがある」と語っている(The Guardian)。とはいえ今回の獲得賞金は2人合計で225万ドル。今ではWolfiez氏が歩もうとしている、eスポーツ選手としてのキャリアを認めているとのことだ。なお息子の賞金の使い道について母親は、「Jadenは物欲の強い子ではないと思うの。Uber Eats(オンラインデリバリーサービス)一生分があれば彼にとって十分じゃないかしら」とも答えている。

ほかにもFaze Clan所属の14歳、Mongraal氏(Kyle Jackson)がソロ部門で13位(デュオ部門では6位)にランクインしたりと、10代の若い選手が活躍の場を得られる大会となっていた。また同大会中には、Faze Clanが13歳のEwok氏(Soleil Wheeler)を同チーム初の女性プレイヤーとして迎え入れたことを発表。主にTwitchで活動しているストリーマーであり、『フォートナイト』シーズン9ではソロマッチ435試合中31回勝利、K/D 1.28を記録している(Fortnite Tracker)。主にストリーマーとしての採用かと思われるが、こうした10代前半からの囲い込みは今後も促進されていきそうだ。

若手の活躍ぶりが報じられる一方で、とある選手が敗退したときに大会会場で歓声が起きるという、ややネガティブな反応もみられた。敗退による歓声を受けていたのは、予選第3週でのチート疑惑により当時の所属チームを解雇され、14日間のアカウントBAN措置を受けていたXXiF氏とRonaldo氏。両者は予選でのキル数稼ぎのため、抵抗せずに倒されてもらうよう他プレイヤーと談合したと判断され、決勝出場権を一度剥奪された(Kotaku)。しかしながら、アカウントBAN解除後の予選第8週で決勝出場権を確保。デュオ部門決勝に進出した。いざ決勝が始まるとブーイングが浴びせられたほか、マッチ敗退が決まると歓声が響くという、見事な悪役ぶり。なお両者は28位で大会を終えている。若手の活躍と、チート行為者に対する社会的制裁。『フォートナイト』プロシーンにおけるさまざまな側面が見て取れる大会であった。

また同大会中には、8月1日より開幕予定のシーズン10のティザー画像が公開された。「思い返せ」という一文とともに、懐かしのダスティ・デポと思わしき三連倉庫の画像が掲載されている。同ロケーションはシーズン4開幕時に彗星の衝突により破壊され、以降はダスティ・ディボットとして知られている。何かしらのストーリー上の展開により、破壊される前のダスティ・デポが復活するということだろうか。

本作は頻繁なマップ変更により進化を続けており、今月にはライブイベント「ファイナルショウダウン」にて、プレッシャー・プラントで建造された巨大ロボと、レイジー・ラグーン北部から現れた怪物が激突。巨大ロボが勝利し、ダスティ・ディボット付近に骨となった怪物を、そしてルート・レイクに謎の黒球体を残して幕を閉じた。これらがシーズン10開幕にどう関わってくるのか気になるところである。