サバイバルホラー『DAYMARE: 1998』日本語対応で今夏配信へ。『バイオ2』非公式リメイクを作っていたチームが執念で開発する新作

 

イタリアの開発会社Invader Studiosは4月18日、『DAYMARE: 1998』の新映像を公開し、同作を2019年夏に発売すると発表した。『DAYMARE: 1998』はUnreal Engine 4を用いてPC/PlayStation 4/Xbox One向けに開発されており、Steamストアページでは日本語対応の表記が確認できる。

『DAYMARE: 1998』は、三人称視点で展開されるサバイバルホラーだ。舞台となるのは、アメリカ・アイダホ州にある小さな街。化学兵器の開発を進める研究所の事故によりウィルスが散布され、街は奇形の生物で埋め尽くされてしまった。この事故の原因究明をするために調査チームが立ち上がった。チームメンバーと共に、感染を食い止め諸悪の根源を食い止めるのだ。

本作は、さまざまなホラーコンテンツが流行した1990年代に回帰するというテーマをかかげて開発が進められている。“怖い”だけでなく、ザコ敵を倒すのが困難だったり、リソース(弾薬)が限られていたりするなど、高い難易度の作品を目指して開発されているそうだ。ザッピングシステムを採用しており3人のキャラクターの視点から、物語が描かれるという。

ゲームデザインやシステムから『バイオハザード2』の影響を感じさせるが、実はInvader Studiosは同作の非公式リメイクを開発していたという過去を持つ。メンバーの『バイオハザード2』好きが高じて非公式な形でのリメイクに着手。プレイアブルでゲームを動かす段階までゲームを作り、当時は公式のリメイク情報が出ず切望されていたこともあってか、ゲームプレイ映像は全世界で脚光を浴びた。その直後となる2015年8月にカプコンは『バイオハザード2』のリメイクを開発していると発表。スタジオメンバーはこの発表を喜び、一方で自分たちの映像が注目を集める喜びを感じながら、「借り物の注目」に葛藤していたそうだ(詳細記事)。

そんな中、カプコンはInvader Studiosを大阪本社に招待。『バイオハザード』シリーズスタッフが交流したり、独占的に当時未発売だった『バイオハザード7』や『バイオハザード RE:2』の映像を見せるなど、異例ともいえる手厚いもてなしを受け、そうした体験をした上で、スタジオメンバーは非公式リメイクを捨て新規タイトルを開発することを決断。そして立ち上げられたプロジェクトが『DAYMARE: 1998』となる。

しかしそこからの道のりも平坦ではなかった。開発資金を募る18万ドルゴールのクラウドファンディングキャンペーンを成功させられなかったからだ。『バイオハザード CODE:Veronica』でモンスターデザインを手がけた中井覚氏、『バイオハザード 3』でディレクターをつとめていた青山和弘氏などが開発に参加。『バイオハザード』の開発にシナリオライターとして参加した岩尾賢一氏や、『モンスターストライク』の生み親として知られる岡本吉起氏などがアドバイザーとして参加すると発表されていたものの、募る資金は思うように伸びず、固定カメラの実装などでプロモーションしていたが、4万ドルの時点でファンディングを断念。

しかしその後も、プロジェクト実現を諦めず開発を続けていた。以前より2019年の発売が発表されていたが、具体的な時期が告知され、開発も終盤に差し掛かっていることがうかがえる。非公式『バイオハザード2』リメイクから始まった紆余曲折を考えると、かなりの期間になる。All in! Gamesなどから資金を調達している様子から見るに、執念で開発されているタイトルと言えよう。彼らが望んでいた正式なリメイク『バイオハザード RE:2』が作品・商業面で成功を収めたのは、比較対象があるという点でひとつの壁になりえるが、ジャンルの活性化の面で追い風になりえる。イタリア生まれの『バイオハザード』好き集団が生み出す『DAYMARE: 1998』。2019年夏に、ついにそのベールが剥がされることになるようだ。