音声推理ゲーム『Unheard』Steam配信開始。アコースティック探偵として、事件現場の音声を頼りに真相を暴け


中国のゲームスタジオNEXT Studiosは3月29日、PC向けのオーディオ推理ゲーム『Unheard』をSteamにて発売した。対応言語は英語と中国語(簡体字)。通常販売価格は1010円で、4月5日までのプロモーション期間中は27%オフの737円で購入できる。

本作は「アコースティック探偵」として事件現場で流れる音声を頼りに真相を暴いていく推理ゲーム。尋問室のような個室に呼ばれた主人公は、スーツ姿の女性からタブレット端末を渡される。そこには過去に何らかの事件が起きた建物を、真上から見下ろした図面が映し出されている。プレイヤーは図面上の事件現場をポイント&クリック形式で移動しつつ、録音されたオーディオファイルを再生して、事件発生直前に各部屋で交わされた登場人物たちの会話に耳を傾けていく。

プレイヤーが知ることができるのは、あくまでも事件現場の音声のみで、与えられる視覚情報は限られている。推理を始めた段階では、登場人物は白線の円で示されており、名前も外見もわからない。ただし事件現場にいた人物の名簿は渡されるので、まずは各人物の会話の流れから、どの発話者が誰なのか推理していくのだ。

事件現場は複数の部屋に分かれており、複数か所にて同時進行で会話が繰り広げられる。よって一度の音声再生で全ての情報を把握することはできない。しかも登場人物は同じ場所にとどまらず、移動することもある。断片的な情報だけでは真相にたどり着けないため、何度も音声ファイルの巻き戻しと早送りを繰り返しながら、パズルのピースをつなぎあわせていくのだ。どの部屋、どの会話から捜査を始めるのかはプレイヤーの自由。そして音声から新しい情報を仕入れるごとに、事実関係に関する認識が変わっていく。最終的に誰が犯人なのか言い当てればクリアとなる。事件をこなしていくうちに、より大きな謎にも直面することだろう。

NEXT Studiosは本作を「インタラクティブ・ラジオドラマ」と表現しており、音声により紡がれていくナラティブと、ゲームらしい探索要素を組み合わせることで、一本道ではない、ノンリニアなラジオドラマ体験を届けてくれる。英語音声での会話文に関しては、全てが全てリアリティのある演技・表現というわけではない。ただ、音声を聞き込むにつれて少しずつ全容が明らかとなっていくような構造には、しっかりとなっている。

NEXT Studioは2017年以降、さまざまなジャンルのゲームをリリースし続けている。まず2017年11月には、ドット絵で描かれるキュートな死神シミュレーション『Death Coming』を発売し、1か月を待たずして売上本数10万本を達成。2018年12月には、筆のようなタッチで古代中国を描く2Dアクション『Bladed Fury』を発売。同月には光と影を操るパズルアドベンチャー『Iris. Fall』もリリースしており、いずれもSteamでは好評価を得ている。そして新作『Unheard』は、これまでに手掛けた作品以上に実験的なアプローチを持って開発された推理ゲームといえる。

現時点でゲームに収録されている事件ファイルは5つ。およそ3~4時間で終えられる内容となっている。今後数か月のうちには、無料DLCを配信する予定とのことだ。なお本作は日本語に対応しておらず、オーディオ部分には字幕がない。英語音声では、各登場人物、聞き取りやすさを意識してはっきりと発話しているが、それなりのリスニング能力が問われるだろう。