Nintendo Switch『メトロイドプライム4』の開発が事実上の“やり直し”。原点であるスタジオと再出発


任天堂は本日1月25日、Nintendo Switch向けに開発中であると発表されていた『メトロイドプライム4』の開発体制を見直すと発表した。任天堂の企画制作本部長である高橋伸也氏によると、『メトロイドプライム4』はE3 2017で発表されてからも開発が続けられていたが、今現在任天堂が同作の求める品質に届いていないのだという。

高橋氏は、任天堂は常々ゲームに対しては品質を求めているが、そういった観点では『メトロイドプライム4』の開発は厳しい状態であり、その結果開発体制を見直すことに至ったと語る。具体的な選択としては、プロデューサーである田邊賢輔氏はそのままに、オリジナルの『メトロイドプライム』シリーズを手がけたレトロスタジオと再びタッグを組み、開発をいちから再スタートするという。開発を最初からやり直すことに近く、ファンを失望させてしまうことを認識していながらも、ファンの期待に応えられるようにするために、この選択をしたという。続報を公開できるのはまだまだ先になるだろうとしつつ、シリーズと肩を並べられるものを完成させたいと締めた。

『メトロイドプライム4』は前述したように、2017年のE3に発表されたシリーズ最新作。タイトルロゴが発表されたのみであったが、2007年に発売された『メトロイドプライム3 コラプション』以来のナンバリングタイトルとして、シリーズファンの多い欧米を中心にユーザーを大きく沸かせた。『メトロイド』をFPSとして成功させた『メトロイドプライム』シリーズの開発元であるレトロスタジオが手がけることが期待されていたが、発表直後にニンテンドー・オブ・アメリカのBill Trinen氏が同作のレトロスタジオの関与を否定。「才能豊かな新しい開発チーム」が開発を担当していることを明かしていた(IGN)。

噂レベルでは、バンダイナムコ・シンガポールのスタッフがLinkedInにて「Nintendo Switch独占のFPS/アドベンチャーの未発表IP」に関わっていることを記載たことなどをきっかけに、それをベースに複数の海外紙メディアが、「バンダイナムコが『メトロイドプライム4』の開発に携わっているのではないか」と報じていた。ただし、その信憑性を高めるさらなる根拠は見つからず、噂のまま消えていった。一方で、同作の続報は聞こえていない状態もまた続いた。ニンテンドー・オブ・アメリカ社長のReggie Fils-Aimé氏は昨年11月には『メトロイドプライム4』の開発は順調であるとコメントしていたが(Nintendo Life)、映像や新情報は出てこないまま。結果的には開発は難航しており、今回の発表に至ったわけだ。

任天堂がこうした発表をするのは初めてではない。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』においても、プロデューサーである青沼英二氏が、さらなるアイディアを詰め込むために発売を延期すると発表し、告知を通じて謝罪をしていた。その延期がどのような結果を生んだかは、もはや言及する必要はないだろう。

比較的ポジティブな延期理由であった『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の延期に比べると、『メトロイドプライム4』の状況が苦しいことには違いない。ただ、Nintendo Switch本体やソフトウェアの売れ行きが好調な今だからこそ下せる、余裕をもった決断であるとも解釈できるかもしれない。そして、何よりレトロスタジオがつくる『メトロイドプライム』シリーズを待っていたファンも多いはず。レトロスタジオにかかる重圧も大きいと予想されるが、シリーズの原点を作り上げたスタジオならば、きっと最新作を素晴らしいクオリティに仕上げてくれることだろう。