お蔵入りとなったファミコン版『シムシティ』の詳細が明らかに。26年の時を超えて存在が再確認された幻の作品

ビデオゲームおよびその文化の保存活動をおこなっているアメリカの非営利団体The Video Game History Foundationは12月26日、都市建設ゲーム『SimCity(シムシティ)』のNES(米国版ファミコン)版のアーカイブが完了したと報告し、本作の詳しい情報を公開した。『シムシティ』のNES版は発売中止となった幻の作品である。

アメリカのデベロッパーMaxisが開発し、1989年にMac向けに発売された『シムシティ』。プレイヤーはとある都市の市長となり、住宅地や工業地帯などの区画整備、電力や道路などのインフラ整備を予算をやりくりしながらおこない、同時に公害や犯罪などの問題にも対処しながら、住民の要望に応え街を発展させていくリアルタイム・シミュレーションゲームだ。その後さまざまなプラットフォームに移植され、MaxisがEAの傘下に入った後も多くの続編やスピンオフが制作されている人気シリーズである。

『シムシティ』の家庭用向けの展開については、Maxisは任天堂と提携することとなる。スーパーファミコンが発売される直前だった当時、任天堂の宮本茂氏らはスーパーファミコン向けタイトルのアイデアを練っており、そのひとつは『シムシティ』に似ていたのだという。そして同作の存在を知った任天堂はMaxisと契約を結び、『バンゲリングベイ』を手がけたことでも知られるMaxisのWill Wright氏が京都の任天堂本社を訪れ、家庭用向けのアレンジを宮本氏と共に取り組んだとのこと。そうして1991年に発売されたスーパーファミコン版は、大きな人気を得ることとなった。

実はこの家庭用版『シムシティ』について任天堂は、日本ではスーパーファミコン向けに発売し、アメリカではファミコン向けに発売する計画を持っており、正式発表もおこなっていた。そのファミコン版は、1991年に開催された家電製品見本市CESに出展されており、当時の映像が残っている(以下の動画)。しかし、詳細は不明ながら結局発売されることはなく、アメリカにおいてもスーパーファミコン向けに本作はリリースされている。

ひっそりと姿を消したファミコン版『シムシティ』の存在がふたたび注目されたのは、2017年のことだった。レトロゲームイベントPortland Retro Gaming Expoに、開発用のため基板がむき出しになった本作のプロトタイプカートリッジ2本が出展されたのだ。実際にファミコンでプレイ可能な状態で、カートリッジにはビルドされた時期を示すと思われる1990年12月20日と記されたラベルが貼ってあったという。そして、このうち1本はコレクターの手に渡り、The Video Game History Foundationは学術目的としてそのデータを譲ってもらう運びとなった。

気になるファミコン版の内容であるが、バグが残っていたりコンテンツが抜けていたりと未完成の状態ではあるものの、ほぼスーパーファミコン版と同じ要素が収録されているとのこと。ただいくつか異なる点もあり、ハードの世代の違いによるグラフィックの違いのほか、たとえばスーパーファミコン版にはないBGMが収録されていたり、区画のタイルサイズが異なるためスーパーファミコン版やPC版でのセオリーが通用しなかったり。またファミコン版では、ゲーム開始時に好きな言葉を登録する必要があり、この言葉がゲームを進める中で登場する姉妹都市の名前として使われるという。そのほか、街を襲う怪獣は、スーパーファミコン版ではクッパに置き換えられたが、ファミコン版はMac版に似たゴジラのようなスタイルで登場するなどの違いも確認できたそうだ。

The Video Game History Foundationは、このファミコン版『シムシティ』のROMや関連資料を、マルチメディア資料の保存や閲覧サービスを提供する非営利団体Internet Archiveを通じオープンソースとして配布している。この数か月間の調査では、ROMの中にゲームには使用されていないタイル画像や、Dr.ライトのアニメーションデータなどが含まれていることが判明したそうで、今後また何か新たな発見があるかもしれない。興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。

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