日本人開発者手がけるカードSLG『Overdungeon』25日連続のアップデートを達成。ギネス達成も視野に入れ、発売後のコンテンツ拡充を進める

インディースタジオのポケットペアが手がける『Overdungeon』が、連日のアップデートを続け、ついに25日連続アップデートの記録を樹立した。『Overdungeon』は、2018年11月20日にSteamにて早期アクセスが開始されたシミュレーションゲーム。「ローグライク」+「タワーディフェンス」+「デッキ構築カードゲーム」という、開発者たちが好きなものを全て詰め込んだ意欲作だ。発売されたのち、一時期は国内売り上げランク1位を記録。そしてリリース以降、毎日欠かさずアップデートが行われている。

まずはゲーム内容を説明しておこう。『Overdungeon』は、『クラッシュロワイヤル』『Slay the Spire』に影響を受けて作られた作品。ダンジョンを進みながらカードを獲得しデッキ構築をしつつ、ダンジョン最深部にいるボスを倒す事を目的としたゲームだ。カードはモンスター撃破後や、イベントによるランダム入手となっているため状況に応じた最善のカードを選択する柔軟性を要求される。前述した「ローグライク」+「タワーディフェンス」+「デッキ構築カードゲーム」という表現をイメージしてもらえると、ゲーム内容が想像しやすいかもしれない。

カードは、計80枚を超える。敵陣へと突撃したり囮となって本陣を守るアニマルカード。直接敵を攻撃できるアタックカード。さまざまな効果を秘めた呪文カードや、盤面に設置する事で、何かしらの影響を出し続ける建物カード。どれもユニークな効果で、さまざまな戦術を実現させてくれるカード群となっている。カード枚数が多く、全内容を覚えるのは大変に思えるかもしれないが、アニマルカードはヒヨコが最弱でライオンが最強、ゾウは非常に頑丈など直感的にカード効果が推測できるよう工夫されている。

そして、本作のもう一つの大きな特徴となるのが、リアルタイム戦闘。(初期ターンを除き)、どのカードを使おうか悠長に迷っていれば、敵は容赦無くこちらに進軍してくる。戦況が時事刻々と変わる中、敵も味方のアニマル達もプレイヤーを待っていてはくれないのだ。そのため状況に応じた素早いカードプレイを要求される。熟練者のゲーム画面では、カードを手裏剣のように次々とプレイしていく姿が印象的。本作は、動画映えが光る作品ということもあってか、ネット上にも『Overdungeon』のプレイ動画がアップされている。砲台から弾幕が飛び交う中、アルカパやヒヨコが敵陣めがけて突撃すると言うシュールな­ゲーム画面が印象的だ。ルールさえ理解できれば、他プレイヤーのゲームを観戦するのも非常に楽しいので、『Overdungeon』が気になったらまずは観戦から始めてみるのも良いかもしれない。

今回、連続アップデートの秘訣について取材の依頼を行ったところ、溝部拓郎氏(代表取締役)とウェレイ氏(メイン開発者)は快諾してくれた。うかがった話をまじえて、本作の開発体制や秘話を追っていこう。

まずチーム体制について尋ねたところ、『Overdungeon』はメインプログラマ3名、デザイナー1名、ディレクション1名、アルバイトが2名、の計7名の少数精鋭チームで運用されているとの回答をいただいた。毎日のアップデートはだいたい下記のスケジュールで作業しているとのことだ。

・午後6時にはビルドを開始
・アップデートノート(ニュース)を書く
・βテストを行う
・テストで問題なければリリース

ユーザーのプレイ時間が21時あたりが一番ホットとなるため、その時間帯にパッチを当てられるよう意識しているという。Steam は初期審査さえ通れば、後は審査いらずでアップデートが可能。そのため今ではボタン一つで全てのビルドが終わるよう開発環境を整えたとのことだ。このように開発フローを最適化した事により、チーム全員が充分な睡眠を取りつつ毎日アップデートを行えているようだ。ちなみに開発者のウェレイ氏曰く、毎日アップデートで一番大切なのは気合であるとのこと。

またアップデート内容については、「単なる形だけの更新ではない」ことも本作のポイント。『Overdungeon』のここ数日のアップデート内容は下記のとおりだ。

・2018年12月12日。新カード追加。新モード「デイリーチャレンジ」を追加。バグ修正
・2018年12月13日。新カード追加。UI改善。パフォーマンスチューニング
・2018年12月14日。新カード追加。全体的なゲームバランス調整
・2018年12月15日。ユーザーの要望に応え、「デイリーチャレンジ」の内容改善(難易度上昇に繋がる仕様追加)
・2018年12月16日。手札に関する仕様改善。バグ修正

軽微なバグは、報告した翌日に修正される事も多い。新カードの追加といった新たなコンテンツの実装や、ゲームバランスの調整も頻繁に行われている。
そして週に一回ほどのペースで、メジャーアップデートと言っても差し支えのない大きな機能が追加される。リリースノートの文章は非常にハイテンションで内容豊富だ。そのためリリースノートの更新を心待ちにしている愛読者もいるだろう。リリースノートに書かれた内容に対してユーザーとの議論や意見交換が行われることもあり、リリースノート上でユーザーとの対話が成立するという光景も確認できる。溝部氏は、Steamアーリーアクセスの強みである「実際に遊んだユーザーのダイレクトな意見を得られる事」を重要視しているという。そのためユーザーの報告や要望への対応はかなり早く、「ユーザーと一緒にゲームを作っている実感がある」と語ってくれた。

 

新キャラクターのシュガーちゃん

当初の予定では、毎日アップデートを行うのはリリース直後の1週間のみを想定していたとのこと。現に「来週からは毎週金曜日のアップデートを行う」と言う旨の告知まで行われていた。それではなぜ、毎日アップデートが25日以上も続く事となったのか。リリース当初はまだコンテンツも少なく、低評価のレビューを付けられてしまう事もあったという。せっかく購入してくれたユーザーの気持ちになんとしても応えたい……。その思いから気がつけば、2週間目に突入しても毎日アップデートしていたと語った。そうした姿勢を続けてきたからか、ユーザーからもリリースノートに「更新しないしない詐欺」「毎日が金曜日」等といった応援コメントが送られている。リリースノートを読む事自体も一つのコンテンツとして成り立っているといえそうだ。

そして毎日アップデートが14日目に達成した時、「ここまで来たなら、ずっとやってしまうか」と溝部氏は決意したという。毎日アップデートの記録も25日を突破し、最近ではギネス記録への申請も視野に入って来た『Overdungeon』。現時点では「週に1回のアップデートを1000日間に渡って続けた」と言うギネス記録が存在する。これにどこまで迫れるのか、楽しみなところだ。
【UPDATE 2018/12/17 18:20】
ギネス記録についての表現を修正しました。

毎日アップデートの記録と共に、高評価レビューやネット上の動画投稿数も徐々に上がっている。どんどん面白さを増していく『Overdungeon』の行方を、今後も見守っていきたい。

ニュース

Indie Pick

インタビュー

レビュー・インプレ

Devlog