Valveによる新たなTCG『Artifact』のカードにて、差別を連想するとの指摘が寄せられる。Valveは僅か3日で対応を完了

Valveが、『マジック:ザ・ギャザリング』のデザイナーRichard Garfield氏と共同制作していることで注目を集めている新作デジタルトレーディングカードゲーム『Artifact』。現在、11月に予定しているローンチに向けてクローズドベータテストが実施中で、本作の公式Twitterアカウントでは、収録カードの特徴や、そのイラストを手がけたデザイナーの紹介が連日おこなわれている。そんな中、1枚のカードが議論を呼び、その後Valveが素早い対応を見せたことが話題となっている。

『Artifact』公式Twitterアカウントが9月26日に紹介したのは、「Crack the Whip」というスペルカードだ。Wisnu Tan氏が手がけた、トカゲのようなキャラクターが鞭を振るうイラストが描かれている。このカードの効果としては、任意のヒーローカードの攻撃力を、当ラウンド中に限り2ポイント増加させるというもので、さらにそのヒーローカードの両隣に配置している(あるいは後から配置した)カードにも同じ効果を付加する。ここまでは特に問題はないが、効果対象となるヒーローカードは、このスペルカードと同じブラック属性に限定されていたことで、ファンに別のことを連想させてしまう結果となってしまった。

Crack the Whipという言葉は、このスペルカードのイラストで見られるように鞭を鳴らすと訳せるが、転じて「権力をもって服従させる」といった意味の慣用句でもある。そしてBlackは、黒人を指す言葉として使われることがある。カードの効果の説明文は「Modify a black hero」という書き出しから始まっており、これらを合わせると見方によっては「力を背景に黒人のヒーローを改良する」という人種差別を示唆する意味に受け取ることができてしまう。もちろんValveにそうした意図はないはずで、ファンの多くも理解しているが、スペルカードの名前を変更してはどうかという意見が寄せられることとなった。

画像左の「Crack the Whip」から、画像右の「Coordinated Assault」に変更

それから2日後、Valveは当該カードの名前を「Crack the Whip」から「Coordinated Assault」に変更すると発表。その翌日には、デザインを一新したカードのイラストも披露している。新たなイラストのテーマは暗殺者集団で、同じく暗殺者をテーマにする別のカードのバリエーションとして描かれたようだ。カードの効果や説明文自体は変更はない。鞭打つ代わりに、暗殺者たちが影からアシストして攻撃力を引き上げる、といった意味合いだろうか。

Valveは、これらの変更をおこなった理由について特に説明はしていないが、ファンの意見に耳を傾け、誤解を避けるためにカード名だけでなくイラストも変更したのだろう。人種差別に限らず、指摘を受けて“不適切な表現”が修正されることは時折見られ、つい最近も『フォートナイト』にて、女性キャラクターの胸部が揺れるアニメーションが削除されたことが話題になった(The Verge)。とはいえ、トレーディングカードゲームにおいてカードのデザインはとても重要な要素のひとつ。わずか3日で新たなものを用意したValveの素早い対応には驚かされる。

『Artifact』は、『Dota 2』の世界観をベースにしたトレーディングカードゲームで、3つのレーンにて3試合を同時にこなすようなスタイルが特徴である。プレイヤーは、5枚のヒーローカードを含む最低40枚からなるデッキを構築して対戦する。なお、本作のカードにはブラックに加えレッド、グリーン、ブルーの4色の属性があり、それぞれヒーローやスペルなどの特性の違いを表している。3つのレーンでのターンを終えると1ラウンド終了。ショップに移り、相手のヒーローを倒すなどして獲得できるゴールドでアイテムカードを購入し、次のラウンドに進む。ここで購入するアイテムカードは、上述したデッキとは別に組んだデッキからショップに並ぶ形となる。そして、各レーンにある対戦相手のタワーのうち2つを倒せば勝利だ。

本作は、11月29日にSteam(Windows/Mac/Linux)にて発売予定。価格は20ドルで、Steamコミュニティマーケットプレースでのカードの売買に対応する。ストアページによると、日本語表示に対応するようだ。また、2019年にはiOS/Android版のリリースも予定されている。

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