Atariは5月4日、これまでSteamやGOGにて販売されていた『Roller Coaster Tycoon 3』を突如販売停止した。Atariからは販売停止の理由などは発表されていない。GOGのスタッフはコミュニティにて、ライセンス切れのため当分ストアから削除してほしいとAtariから要請されたことを明かしており、新たな権利元と配信にむけて協議していると語っている。
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『Roller Coaster Tycoon 3』は、2004年にPC向けに発売された遊園地経営シミュレーションゲームだ。プレイヤーは遊園地の経営者となり、アトラクションや売店を配置したり、道を整理したり、ジェットコースターを設計したりしながら、自分だけの遊園地を作り出す。作った遊園地をさまざまな視点で楽しむことも可能となっており、ジェットコースターを主観で堪能することもできる。本編以外にも、水遊びを拡張するDLCや動物をテーマとしたDLCも発売されており、とにかく幅広い遊び方が楽しめる。その完成度や自由度から当時から名作と名高い作品であったが、発売から10年以上も経った今もなお多くのファンに親しまれる。
あまりに高い完成度から、Atariは『Roller Coaster Tycoon』の新作を出すたびに、しばしばこの第三作目との比較を受け酷評されるという複雑な背景もある。このたび、その傑作である『Roller Coaster Tycoon 3』が各ストアから購入できなくなったのだ。Atariは現在『Roller Coaster Tycoon』のモバイル版を運営しているほか、Nintendo Switch版を開発中（関連記事）。フランチャイズ自体は現在も健在で、第三作目の権利のみを手放すとみられる。
気になるのは、GOGスタッフが述べている新たな権利元についてだ。有力な譲渡先として考えられるのはFrontier Developmentsだろう。Frontierは『Roller Coaster Tycoon 3』の開発を手がけたスタジオだ。2015年には同作のiOS版の移植を担当したほか、『Roller Coaster Tycoon 3』のロイヤリティをめぐってAtariと係争し、さらなる取り分を勝ち取っていた（Eurogamer）。
Frontierは2016年11月には遊園地経営シミュレーションの決定版とも評される『Planet Coaster』を開発したほか、「ジュラシック・ワールド」をテーマとしたシミュレーション『Jurassic World Evolution』を開発中。実力派スタジオであるが下請け期間が長かったこともあり、抱えるIPはそう多くない。そして権利を焦点とした係争をしていただけに、新たな権利元としては有力だ。愛されるタイトルであるだけに、Frontier開発のリマスターやリメイクなどがあれば、喜ぶユーザーも多いだろう。
とはいえ、あくまで現在判明しているのは販売が停止中で、新たな権利元と各ストアが協議しているということのみ。先日UbisoftからTechlandへ権利譲渡がおこなわれた『Call of Juarez: Gunslinger』と『Call of Juarez: The Cartel』は、比較的移行がスムーズであった（関連記事）。すでに同作がライブラリ内にあるプレイヤーは今も遊べるものの、人気のあるタイトルであるだけに、早期の販売再開が期待されるところ。
