デッキ構築オンライン対戦『Duelists of Eden』開発者インタビュー。本作の開発経緯やPvPにおける特徴的な点などいろいろ聞いてきた

 

インディー開発者のThomas Moon Kang氏は3月8日、デッキ構築オンライン対戦ゲーム『Duelists of Eden』をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)。


『Duelists of Eden』はデッキ構築オンライン対戦ゲームだ。本作は前作『One Step From Eden』のシステムをベースに、オンライン対戦に特化させた作品だ。ゲームプレイとしては、4×4マスのタイルに区切られた自陣と敵陣が向かい合ったフィールドを自由に動きつつ戦闘をおこなう。攻撃手段であるスペルは140種類を超え、それらを自由に組み合わせてデッキを構築、対戦することができる。バトルはリアルタイムで進行し、スペルを組み合わせたコンボや、敵のスペルを回避したりなどと、ハイスピードに繰り広げられる戦闘が特徴だ。

リリース後さっそく好評を博している本作。このたび弊誌では、本作の開発を手がけるThomas Moon Kang氏にメールインタビューを実施。本作開発の経緯や、本作の特徴や魅力などを尋ねた。本作に関する詳しいお話を伺うことができたので、開発者からの声を通して『Duelists of Eden』の魅力をお届けしたい。


──はじめに、自己紹介をお願いします。

Kang氏:
こんにちは、Thomas Moon Kangです。『One Step From Eden』を作るために仕事を辞めて以来6年間、ソロでゲーム開発をしています。プレイヤーが楽しく面白い時間を過ごせるようなゲームを作ることに誇りを持っています!

──『Duelists of Eden』の開発経緯を教えてください。

Kang氏:
実は『Duelists of Eden』は、私がずっと体験してみたかった夢のゲームなんです。私はオンラインでグリッドバトルが出来たら最高だと思っていました。ですが、当時私が求めていたようなゲームはまだ存在しなかったので、自分で作るしかなかったのです!

また、私は一度に多くのスキルを活用するゲームが個人的に好きなんです。例えばニンテンドーDSで発売された『すばらしきこのせかい』は、マルチタスク戦闘に挑戦するゲームで、とても気に入っています。

──前作『One Step From Eden』が主にPvEに焦点を当てていたのに対し『Duelists of Eden』のようなPvPがメインのゲームはどのようにして生まれたのでしょうか?

Kang氏:
『One Step From Eden』のシンプルなPvPモードをプレイしたとき、そこに“なにか面白いもの”があると感じました。「もしこのPvPモードを磨くことができれば、さらに特別なものになるかもしれない!」と思ったんです。

──PvPに特化したゲームに進化させる際、より意識した点をお聞かせください。

Kang氏:
私は対戦ゲームにおいて、生身の人間との戦いは常にダイナミックに感じられるものと考えています。そして、ゲームの仕組みの中でプレイヤーが自分自身のスタイルを表現することができれば、ダイナミックさはさらに高まると考えています。そういった点で『Duelists of Eden』は、本当にうまくプレイヤーのスタイルを表現できるゲームだと思っています。

また、伝統的な格闘ゲームのようなコンボやヒットスタンといった戦闘の仕組みは『Duelists of Eden』においても欠かせません。一方で私は、コンボを受けている間にプレイヤーが「動けなくなる」(Stuck)のも避けたかったのです。なので、できるだけインタラクティブなゲームになるように心がけました!結局のところ、どんなゲームでももっとも重要なのは「常に選択肢があること」です。そのため、本作ではどんな状況であっても、プレイヤーに選択肢があるようにしました!


──『ロックマンエグゼシリーズ』は、あなたのゲームに影響を与えたゲームのひとつだと思いますが、このゲームを作るにあたって影響を受けたゲームはありますか?

Kang氏:
『大乱闘スマッシュブラザーズ』の戦闘スタイルは、『Duelists of Eden』のフィーリングに大きなインスピレーションを与えてくれました。ああいうタイプのゲームは常に上達することができますね!『大乱闘スマッシュブラザーズ』のゲームデザインには天才的なものがたくさんあると思います。『Duelists of Eden』とは、見た目が違うからそう見えないかもしれませんが、シールドやドッジ、さらにはヒットストップといったメカニックの多くは『大乱闘スマッシュブラザーズ』にインスパイアされています!

──他のPvPゲーム(『ロックマンエグゼシリーズ』など)と比べて、このゲームの長所や特徴的な点はありますか?

Kang氏:
『ロックマンエグゼシリーズ』は2001年に発売されたので、戦闘システムは今から考えると古いですね。……あぁ、私も歳をとったんですね(笑)

あのゲームはそもそもストーリーメインのゲームですよね。PvPに特化したエディションは作られなかったですし、バランスパッチも当てることができなかった。

あの時代から対戦ゲームシーン全体がすごく進化しました。『ロックマンエグゼシリーズ』と比較しても、『Duelists of Eden』の戦闘は超個性的です!タイムフリーズがなく、両プレイヤーのカードがずっと見えるため、互いのプレイヤーは自分のデッキや相手のデッキ、そして戦闘そのものにも、より注意を払う必要があるのです!

──本作はドット絵のキャラクターが動きも含めてとても可愛かったです。お気に入りのキャラクターやアニメーションはありますか?

Kang氏:
「ハリッサ」のカラフルな髪と躍動感のあるアニメーションが大好きです!本作の開発中、少なくとも30種類以上もの新キャラクターデザインを検討したのですが、最終的に実装された新キャラクターは2種類(ハリッサ、チレッタ)だけでした。なので、彼女たちは本当に特別な存在なのです!

そして、私の好きなインディーゲームからのクロスオーバーキャラクターも4人登場します。『Maiden and Spell』のコクリュウノムスメ、『Quantum Protocol』のクイーン、『Freedom Planet』のニーラ、『Rivals of Aether』のメイプルです!


──リリース後、ゲームのアップデートやバランス調整の予定はありますか?

Kang氏:
はい、機能やコンテンツ面でまだまだ追加したいものがたくさんあります!本作の舞台裏にはまだ、たくさんのキャラクターやスペルのコンセプトがあります。バランス調整についても、本作のゲームバランスを磨くのに何年も費やしてきましたが、これからもバランス調整はたくさんします!

──『Duelists of Eden』以降のゲーム制作の計画はありますか?

Kang氏:
私はゲーマーに愛されるニッチでハードコアなゲームが好きです。ですが、誰でも、両親でも楽しめるようなゲームを作ってみたいとも思っています。制作ペースはゆっくりになるかもしれませんが、とても面白くて楽しいもの。それが次回作の計画です!

──最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

Kang氏:
前回東京ゲームショウに行きましたがとても楽しかったです。また行きたいです。そして、日本のコミュニティは『One Step From Eden』と『Duelists of Eden』を本当に歓迎してくれていて、とてもうれしいです。私はセルフパブリッシングなので、ローカライズはローンチ時に1つの言語にしか対応できませんでした。そして、その1つの言語に日本語を選びました!あなたが『Duelists of Eden』を楽しんでくれることを心から願っています!

──ありがとうございました。

『Duelists of Eden』はPC(Steam)向けに配信中だ。