超能力推理ADV『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』体験版に期間限定追加される2章をちょっと先に遊んできた。前作の魅力はそのままに正当進化

『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』の体験版に、「Steam Nextフェス」期間限定で2章が追加される。一足早く遊べる体験版をさらに一足早く遊んできた。

Team Tetrapodは6月16日より開催予定の「Steam Nextフェス」にあわせて、『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』の期間限定デモを配信する。すでにデモ版として公開されている1章に加えて、2章が期間限定で遊べるようになるという。本稿ではその感想を綴っていく。

『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』は、超能力にまつわる過去の事件を追っていく、推理アドベンチャーゲームである。本作の舞台は、超常現象を引き起こす物質「マナ」や、「スキル」と呼ばれる超能力が存在する世界だ。超能力をもつ人間はステッパー、超能力をもつ道具は「ステップ」と呼ばれる。前作『Staffer Case:超能力推理アドベンチャー』ではステッパーが大勢存在し、マナ現象が管理されているロンドンが舞台となっていた。本作の舞台となるイタリアのシチリアでは、過去の魔法である奇跡を支配していたそうだ。

本作の主人公であるヴェリータ・レトロは、シチリアに住むもうすぐ14歳の少女だ。何にも興味がもてない彼女は、レトロショップを営む父と平穏に暮らしていた。しかしある日、彼女が突然1000万の借金を肩代わりすることとなってしまい、物語は動き出す。キャラクターとしては、姉を自称するヴェーロ・レトロ、金貸業も営むバサーニオ・ポーシャ、過去作にも登場したステップ商人のジャド・ベリンなどが登場。超能力をどこか遠い世界の話だと思っていた少女の視点から、マナの過去を辿る物語が繰り広げられる。

本作を手がける韓国のデベロッパーTeam Tetrapodは、「Team Tetrapod Saga」とも称される「Staffer」シリーズを展開している。2023年にリリースされた1作目『Staffer Case:超能力推理アドベンチャー』では、記事執筆時点でSteamのユーザーレビュー3843件中94%の好評を得てステータス「非常に好評」を獲得。また同作は2024年に日本語対応を果たし、日本語ボイスのコンソール版も発売。シリーズ累計では21万本以上の売上を突破するなど、日本国内にもファンが多いタイトルだ。本作『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』は、そんな『Staffer』シリーズの2本目のメイン作品となる。

日本時間6月16日より開催される「Steam Nextフェス」では、本作の体験版に2章が追加。すでに公開されている1章に加えて、2章までの物語も期間限定で読めるようになるという。今回、Steam Nextフェスバージョンの体験版を先行プレイする機会をいただいたので、感想を交えつつ改めて体験版の内容を紹介しよう。なお、本稿には本作のネタバレは含まれないものの、ゲームプレイの印象等には触れるためご注意いただきたい。

まずは改めてゲーム概要について紹介しよう。ヴェリータ・レトロのマナにまつわる旅は、推理アドベンチャーゲームとして展開される。本作では彼女の前に、超能力の関わる事件が発生。プレイヤーは彼女の視点から、謎を解き明かすこととなる。ゲームプレイとしては、基本的にはテキストによって物語が進行していく。ストーリー上でちょっとした謎や問題と相対した際には推理パートへ移行。キャラクターの発言や地図、メモ書きといった資料から、正解を導き出すこととなる。たとえばゲーム序盤では、新聞や地図などから、ある本の行き先を推理する。プレイヤー自身が作中に登場した資料や発言などを整理し、事件の真相へと迫っていくのだ。

本作にはRetroシステムと呼ばれる仕組みが導入されており、推理によって導き出していった結末には残酷な真実が存在。矛盾を突いて平穏を壊した先に、もう一つのエンディングが待っている点も特徴だろう。演出面では、ストーリー上のメインルートにはボイスが用意されており、ヴェリータ・レトロ役を白砂沙帆さん、ジャド・ベリン役を川村玲奈さんが務めるなど、声優陣が声を担当している。製品版には全6エピソードが収録され、プレイ時間は30時間以上となるそうだ。

ここからは感想を交えつつ、新バージョンの体験版について触れていこう。改めて紹介すると本作の1章となるACT1では、ヴェリータはステップ商人のジャド・ベリンと共に、ウサギの彫像型ステップを調査。ステップの能力や発動条件となるトリガーを特定する過程が描かれていた。

そして今回新たにプレイ可能となるACT2では、時間を操るステップと廃鉱にまつわる事件が繰り広げられる。本作のシチリアでは1年前、岩塩鉱山が崩落の危機により閉鎖されていた。しかし最近、元鉱夫たち数名が閉鎖された鉱山へ侵入。彼らは時間にまつわるステップを狙っていたが、鉱山から戻ったのは致命傷を負った鉱夫1人だけだったのだという。ACT2でヴェリータは、そんな廃鉱を調査。時間を操るステップとは何なのか。なぜ鉱夫は1人だけが脱出し、致命傷を負っていたのか。ヴェリータは、ステップの関わる事件の真相を追うこととなる。

本作のACT1および2では傑作だった前作を超えてきそうな期待感がある。今回は改めてACT1からプレイし直してきた。本作では前作同様、現実ではありえない能力や物体にまつわる、超能力のミステリーが展開。プレイヤーにしっかり違和感を持たせつつ、論理的に構築された謎を追っていくストーリーも共通だ。

ただし本作では、新たに導入された「Retroシステム」によって、それまでに積み上げてきた推理を崩す瞬間が用意されている。ストーリー上で気づいた些細な違和感や、ちょっとした矛盾。そうした引っ掛かりをシステム上で突きつけることで、平穏な結末が崩れ、残酷な真相が浮かび上がってくる。前作も各話に複数のエンディングが用意されていたが、今回は新たに専用のシステムが導入されたことで、どんでん返しのカタルシスが増幅されているのだ。謎解き面では、主役のヴェリータが基本的にただの少女であるためか、前作よりも地に足のついた手段で謎を追うので、自分で謎を解いている感も増している。捜査官だった前作の主人公とは違った視点も、本作の醍醐味だろう。

演出面では、Spineを使ったアニメーションによってキャラクターが動く表現が追加。またストーリー上では、マナの根源にまつわる話が登場。ヴェリータ自身についても、序盤から不穏な描写が積み重ねられており、先の気になる内容となっている。もちろん、体験版に収録されているのは全6話中の2話までなので、まだまだストーリーの本番はこれからであるが、システムを絡めた謎解きから演出面までパワーアップしており、傑作だった前作を超えてくるかもしれないと期待の持てるような内容が繰り広げられていた。

『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』は、Nintendo Switch/PC(Steam)向けに7月23日発売予定だ。またACT2が遊べる体験版は、「Steam Nextフェス:2026年6月エディション」の期間中となる6月23日2時まで公開予定。CAMPFIREでは、本作のクラウドファンディングキャンペーンも実施中となっている。

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Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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