ビデオゲームの不正ダウンロード “抵抗しない”開発者たち

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昨年人気を博したパズルゲームアプリ『Monument Valley』の開発スタジオustwoは、同作のAndroid版およびiOS版における"購入者の比率"を明らかにした。公式Twitterアカウントのツイートによれば、Android版を購入せずインストールしているユーザー数は95パーセント。またiOS版でも、60パーセントのユーザーが料金を支払うことなくインストールしているという。

この数値は、複数のデバイスを持ち、同一アカウントでプレイしているユーザー数も含まれているため、この数値と海賊行為と直接結びつけることはできない。しかし、それを差し引いてもAndroidで95パーセント、iOSで60パーセントという数値が持つインパクトは大きい。

ustwoは海賊行為に対して不満をもらしているわけではないようだ。海外メディアre/codeのインタビューに応じた彼らは、これほどの被害に合ったにも関わらず、今回のツイートは泣き言ではないし、不正ダウンロードを"無料マーケティング"だと捉えている。

 


不正ユーザー、どちらにしても買わない

 

エッシャーのだまし絵のような空間を進む『Monument Valley』。 美しいビジュアルが魅力で、iOS版はアップルデザイン賞2014を受賞している。
エッシャーのだまし絵のような空間を進む『Monument Valley』。美しいビジュアルが魅力で、iOS版はアップルデザイン賞2014を受賞している。

ustwoは、自身のスタジオに限らず、Android版ではどのデベロッパーも同様の海賊行為にあっていると説明する。今回の数値も『Monument Valley』の開発時から想定していたもので、驚きはなかったそうだ。そういった状況を認識しながらも、1日や2日で突破されてしまうコピープロテクトは使用しないと決めている。海賊行為に対しては、どんな方法を使っても完全な対処はできないというのが、ustwoの考えだ。

「海賊行為を働くユーザーの大部分は、どちらにしてもゲームをたぶん買わない、こう考えるのが一番いいと思うね」とustwoは続ける。むしろ、購入する予定のなかったユーザーたちが、ゲームをほかのユーザーに口コミで伝える効果があり、それを無料のマーケティングだと捉えている。

ustwoが「不正ダウンロードは絶対悪ではない」と主張しているわけではないだろう。不正にコンテンツを入手する立派な犯罪行為であり、さまざまな対策が施されている。とはいえ、抑止するはずのDRMやコピーガードはほぼ意味をなしていないのが現状である。ゴテゴテと鍵を取り付けられることに不満を感じる正規ユーザーも少なくない。どれほど効果があるのか定かではないが、ustwoは海賊行為と真っ向から戦うのではなく、好材料ととらえる前向きな姿勢を選んだ。

 


海賊と正面から戦わない開発者たち

彼らとよく似た思想を持つのが、Markus "Notch" Persson氏だ。Persson氏はGDC 2011にて、「海賊行為は泥棒ではない」と発言。売上に損失が出ているわけではないだろうと語り、議論を呼んだ。また2012年には、海賊行為をする前に『Minecraft』の無料アカウントを渡してくれないかと要求していたユーザーに対し、海賊版を手に入れて気に入ったら購入してくれと返答している。ValveのトップGabe Newell氏は2011年、コピーガードなどを開発するよりも、不正ユーザーたちが顧客になるようなサービスを導入すべきだと語った。不正によりゲームを手に入れることは許される行為ではない。しかし、彼らとの不毛な戦いに身を投じず、搦め手で対抗する開発者も存在するのだ。

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