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ダンスフォトグラファーの筆者がお伝えする、ゲームのフォトモードの使い方。前回の画角・構図編に続き、今回はピントと背景ボケについて解説する。背景がボケやすい設定値と条件を知って、背景のぼかし方をマスターしよう。なお、本稿の内容は、あくまでゲームのフォトモード用にまとめたものであることをご了承いただきたい。

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一般的なゲームでは、ゲームプレイ中の背景は「何が存在するのか」が見やすい状態、つまり「ボケすぎない」状態にされていることが多い。対して、ムービーシーンでキャラクターのアップになった場合などでは、背景がボケていることも多い。フォトモードで背景をぼかせば、ゲームプレイ中には見られないムービーシーンのような背景をつくることができる。

「ボケている」とは、ピントが合っていない状態。対して、くっきり見える部分は、ピントが合って見える部分。見ている側の視線は「ピントが合って見える部分」に誘導されるため、背景をぼかすと、画面の主役になる被写体を際立たせることができる。


背景ボケのための2つの条件:①絞り

背景をぼかす上では、2つの条件がある。①「絞り」の設定、②被写体と背景の距離関係に気を配ることだ。①の絞りの設定は、構図を決めたあとでも変更可能。②の被写体と背景の距離については、フォトモードに入る前にある程度考えておいたほうがスムーズだ。

絞りとは、ぼかす量をコントロールする設定値(※1)。具体的に言うと、ピントが合って見える範囲を調整する数値だ。ピントが合って見える範囲を「被写界深度」と言い、この範囲が狭まるほどピントが合う部分が小さくなる(=ボケる部分が多くなる)。

絞りの設定は、ゲームによって名称が異なるが、「被写界深度」や「絞り」、「F2.8」など数字の前にFが付いた値などで表される。「絞り」や「F値」の場合は、数字が小さいほど、被写界深度が浅い(ボケる部分が多い)。このタイプは、『ゴースト・オブ・ツシマ』『デス・ストランディング』『サイバーパンク2077』『Horizon Zero Dawn』『CONTROL』など多くのフォトモードで採用されている。

※1 実際の写真撮影では、写真の明るさなどにも関わる数値だが、ゲームのフォトモード内ではその点は反映されない。シンプルに、被写界深度をコントロールする数値と考えてよいだろう。


また、「被写界深度」や「(被写界深度タブ内)強度」などの名称が用いられる『アサシン クリード ヴァルハラ』や『The Last of Us Part II』では、値が大きいほど被写界深度が浅くなる。筆者が確認した限りだが、例外として、『Marvel’s Spider-Man』『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』は絞りや被写界深度の設定方法が独特であった。詳しくは、条件②の「距離」の項目で説明する。

背景ボケのための2つの条件:②距離

次に、2つめの条件である距離関係について。被写体と背景が遠いほど、背景ボケが発生しやすい。ピントが合った位置から距離が離れているほどボケやすいからだ。距離のイメージは、下記の画像を参考にしていただきたい。


それぞれ、同じF値のままで、ピントを合わせる位置を手前から奥に変化させている。参考画像(下)をよく見ると、ピントが合っている人物と横並びにあるあたりの草にもピントが合って見える。ピントを合わせた位置と横並びにあるものは同じくくっきり見え、前後にずれるとボケて見える。ゲームのフォトモードにおいては、被写界深度は帯のようなイメージで捉えるとわかりやすい(※2)。

ピントが合って見える範囲の帯の太さを設定するのが、条件①の絞りの設定。ぼかした背景にしたい部分を、あらかじめその帯からなるべく遠ざけた位置に選ぶと良いというのが②の条件だ。

※2 実際には、距離関係はもう少し複雑。本来は、画角やカメラと被写体の距離などもボケやすさに関係する。また、ピントを合わせる位置が遠いほど背景がボケにくいのだが、そういった現象が起きないフォトモードもある。上に挿入した参考画像の『The Last of Us Part II』では、カメラから遠い位置にピントを合わせると背景がややボケにくい現象が起きた。


例外としてあげた『Marvel’s Spider-Man』『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』については、「ボケの強弱」と「ピントが合って見える範囲」の調節が個別に分かれおり、「ピント合わせ」に関する設定値がない。また、被写界深度が帯状ではなく、設定値を大きくするほど手前から奥に広がっていく変化であった。範囲内に入れた物体は、絞り値を変えてもほとんどボケない特殊な仕様だ。

しかし、『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』では、カメラに近い位置専用の設定値も用意されており、「ボケの強弱」「ピント範囲」それぞれ設定可能。この設定値を使えば、ピントが合う範囲内にもボケを作れる。近景のみに微調整が効くため、手前ボケ(被写体よりもカメラに近い位置にあるものをぼかして配置する)をキレイにつくりたい人には嬉しい機能だろう。



ピントを合わせる方法

ピント合わせの設定方法は大きく分けて2パターン。距離で表すタイプと、画面内で位置を直接指定するタイプだ。多くのゲームでは前者タイプだが、『アサシン クリード ヴァルハラ』など、後者タイプの場合もある。

距離で表す場合は、カメラからの合わせたい位置までの距離を「m(メーター)」などで設定する。ゲームのフォトモードでは、条件②の項目の参考画像に見られるような「帯状のピントが合って見える範囲」自体を前後に動かすことができる設定値だ。


絞り値が小さい(ピントが合う範囲が狭い)ほど、ピント合わせがシビアになる。しかし、「オートフォーカス」機能のあるフォトモードであれば、オンにすると常に主人公キャラクターの顔に合うように設定される。主人公を撮りたい場合は、便利な機能だ。また、画面内で位置を指定するタイプでは、ピントが合ってほしい部分にカーソルを合わせればよいため、直感的にピント合わせができる。


背景ボケ、向いている/向いていない場面

背景をぼかすのに向いている場面としては、キャラクターやモンスターなど「見せたいもの」がハッキリしているときが挙げられる。「主役」と「背景」を切り離し、主役に視線が誘導できるためだ。背景を選ぶ際に、光っている部分や、電灯、イルミネーションなどをぼかして入れると、キラキラした背景を作ることもできる。


また、人物を写す場合でも、背景に何があるかしっかり見せたい場合は、ボケすぎないほうが良いだろう。建物や街、写したい人物がいる場所に意味がある場合などは、ある程度背景をくっきり写したほうが良い場合が多い。

風景や、硬い雰囲気を出したい場合も、なるべくぼかさず、遠くまでくっきり写すと良く見える場合が多い。くっきり見せるためには、ぼかすのと逆に、F値を大きくする。

なお、本来は画角が狭い(ズームの度合いが大きい)状態ほど背景がボケやすいのだが、筆者がいくつかのタイトルのフォトモードで試したところ、そういった変化は感じられなかった(試したタイトルは、『ゴースト・オブ・ツシマ』『The Last of Us Part II』『サイバーパンク2077』『CONTROL』『Forza Horizon 4』)。

※ F値を少しずつ変えて何パターンか撮っておくと、見比べてちょうど良いものが選べる。


本稿では、ピントが合って見える範囲をコントロールして「ボケ」の量をコントロールし、画面の主役を目立たせる方法をお伝えした。常に最大ボケが良いとは限らず、「どの程度ぼかさずに残しておくか」という判断は、その時々によって異なる。数値を変えながら撮影し、後でベストな1枚を選ぶのがおすすめだ。次回は、画面の明るさや色、ライティングによる印象の違いを紹介する予定だ。

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