盗難クレカで購入されたキーが「鍵屋」に流入、Uplayアカウントから対象タイトル削除

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[UPDATE 2015/2/4 13:00]Ubisoftは、今回の件で削除された『Far Cry 4』を、プレイ済みである場合に限り復活させたことを明らかにしている

 

Ubisoftは、G2Playなどサードパーティから購入した『FarCry 4』を、一部ユーザーのUplayアカウント上から削除した。これは数日前、Ubisoftの公式サポートフォーラムや、Redditのユーザーらの報告により明らかとなった情報だ。その後のUbisoftの調査と公式声明により、盗難されたクレジットカード情報にてOriginから購入されたキーが、G2Playなどに流入していることが判明した。

 


盗難クレジットカードで購入したキー対象

 

G2Play
G2Play

当初Ubisoftは、海外メディアEurogamerの取材に対し、「我々は定期的に不正に取得されたり再販売されたキーを無効化している」とコメントし、今回対象となった製品のキーは不正品であるとの認識を示した。「当社は現在、不正行為について調査中であり、できるかぎり早く消費者に情報を共有する。そのあいだ、消費者はキーを購入した販売者にコンタクトを取るべきだ」とも伝え、返金には応じない姿勢も見せていた。

その後、さらに調査が進められ、Ubisoftは今回削除の対象となったキーが「Originにて盗難クレジットカード情報を使用し購入された」ものであると表明した。盗難クレジットカードで購入されたキーが、さらにG2Playなどに流入した形だ。Ubisoftは、プロダクトキーやダウンロードゲームは、Uplayや信頼あるゲームショップにて購入することを強く推奨している。またキーの返金を求める場合は、販売者に問いあわせるよう伝えている。

フォーラムでのユーザーたちの報告を見るかぎりでは、『Far Cry 4』だけでなく『Assassin’s Creed Unity』も一部ユーザーのUplay上から削除されているようだ。購入先はG2Playだけでなく、G2AKinguineBayも含まれている。ただしUbisoft側は、今回Uplayアカウント上からゲームを削除したことは認めているものの、対象となったタイトルや販売店名については明確にしていない。

Kinguinのマーケティング部門の統括者は、今回のUbisoftの行動には「法的根拠」がないと指摘する。Ubisoftなど大手パブリッシャーは、世界中のデジタルゲームの公平な価格要求と対峙しており、中古デジタルダウンロードゲーム再販売の権利を無視していると語気を強めた。問題の根源は盗難クレジットカードでキーを販売したOriginにあるとしたほか、今回の事件を「店に行ってゲームの製品版を買い、家に持ち帰ったら突然ドアをノックされて、Ubisoftの代理人が持ち帰ったようなものだ」と例え、Ubisoftの行動を批判している。とはいえ、巨大パブリッシャーであるUbisoftと裁判で争う意思はないとも伝えた。今回の”不愉快な問題”に関しては、カスタマーサポートにて対応するとしている。同様に名の挙がったG2Aも、購入者に補償することをFacebook上で約束している。G2Aには加入者のプロダクトキーを100パーセント保証する有料のShield Serviceが存在するが、今回は非加入者であっても購入したコードに問題があると判断された場合、返金対象となる。

明らかにデザインが異なる海賊版パッケージなどとは違い、プロダクトキーは不正に入手されたかどうかを一見で見極めることは難しい。今回の問題で、プロダクトキーの販売業界には大きな波紋が広がりそうだ。

 


安く買える理由は

 

検索すれば容易に「鍵屋」での購入方法は調べることができる
検索すれば容易に「鍵屋」での購入方法は調べることができる

PCゲームソフトをダウンロード販売するSteamやOriginやUplayに対し、製品コードやダウンロードキーのみを販売するサイトを通称「鍵屋」と呼ぶ。鍵屋はSteamやOriginよりも低価格でゲームキーを販売することが多く、日本国内でもPCゲームを安価に入手する手段の1つとして認知されつつある。

とはいえ、鍵屋に対する認識は「サポート体制は悪いが、その分PCゲームを安く買えるショップ」に留まっている。国内だけでなく海外でも、鍵屋が比較的グレーな存在であることに気づいていないユーザーは少なくない。

ほとんどの鍵屋は、パブリッシャーと契約を交わさずにゲームキーを販売している。卸売業者からパッケージ版キーを購入してスキャンしたり、バンドルセール時に大量購入する手法が主流であり、それらを再販売しているのが実情だ。

そして、パブリッシャーと直接契約を交わしていないため、値崩れを防ぐためにパブリッシャーが設定している希望小売価格を無視することもできてしまう。一部の鍵屋が、発売直後のゲームを正規店よりも安価に販売できる理由はここにある。今回の問題で名前が挙がったG2PlayのFAQには、「正規取扱店は価格設定などパブリッシャーからの指示に従わなければならないが、我々はいかなる指示にも耳を傾ける必要はない」と記されており、安さの秘訣をみずから説明している。

今回の問題でもっとも罪に問われるべきは、盗難クレジットカード情報を使用しOriginからキーを購入した人物だ。とはいえ、Ubisoftの行動を見てもわかるように、ほとんどのゲームパブリッシャーは、鍵屋に対して好意的ではないのが現状である。2014年5月には、『Hotline Miami』などを販売する米国のパブリッシャーDevolver Digitalが、G2Aにて販売された同社ゲームのプロダクトキーを無効化すると発表した。”購入は自己責任で”は、ますます重みのある言葉になりつつある。

 

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