Naughty DogのNeil Druckmann氏、ソニーとのインタビュー記事について「言ってないことが書かれている」と訂正。新作で“ゲームの主流の認識を再定義する”なんて言ってない

Naughty Dogの共同社長Neil Druckmann氏は5月25日、ソニー公式サイトにて公開された自身のインタビューの内容について、実際の発言とは異なる部分があるとしてSNS上で訂正した。

Naughty Dogの共同社長Neil Druckmann氏は5月25日、ソニー公式サイトにて公開された自身のインタビューの内容について、実際の発言とは異なる部分があるとしてSNS上で訂正した。

ソニー公式サイトでは、同社のクリエイティビティとテクノロジーにより描き出される未来のイメージについて特集するページが公開されており、そのなかでDruckmann氏へのインタビューが実施。同氏は、現在手がけている新作ゲームが「ゲームにおける主流の認識を再定義するかもしれない」と述べたとのことであるが、実際にはそうした発言はしていないという。


Neil Druckmann氏は、SIE傘下スタジオであるNaughty Dogの共同社長であり開発責任者を務めるベテランクリエイターだ。『アンチャーテッド』シリーズや『The Last of Us』シリーズといった作品においてクリエイティブディレクターなどを務め、開発を率いた実績をもつ。先述したソニー公式サイトの特集ページでは、各界のクリエイターやその関係者へのインタビューがおこなわれており、そのひとりにDruckmann氏も選ばれた。

インタビューは、Druckmann氏が手がけた『The Last of Us』が昨年実写ドラマ化され好評を得たことに触れながら、ゲーム体験やクリエイティブの世界の10年後について、同氏に訊く内容となっている。そしてインタビューの最後で、エンタテインメントの未来に向けた自身のビジョンや夢を問われた同氏は、これまででもっともスリリングな新しいプロジェクトに取り組んでいるところだと言及。そのうえで、この新作ゲームは「ゲームにおける主流の認識を再定義するかもしれない(it could redefine mainstream perceptions of gaming)」とし、どのような反響を呼ぶこととなるのか楽しみであるとコメントしたとのこと。

インタビューではほかにもさまざまなやり取りがあったものの、謎に包まれたNaughty Dogの新作に言及した上述のコメント部分にファンの注目が集まり、海外メディアでもこぞって報道されることに。しかしほどなくしてDruckmann氏本人が、インタビューでの実際の発言内容とは異なると指摘した。


Druckmann氏は自身のXアカウントを通じて、新作ゲームについて言及したインタビュー最後の質問・回答部分の書き起こしを公開。その内容を確認すると、指摘された「it could redefine mainstream perceptions of gaming」といった発言は確かに見当たらない。

では実際同氏は何と述べていたのか、新作に関連した部分をピックアップすると、「これまでで一番ワクワクしているプロジェクトかもしれない(it’s maybe the most excited I’ve been for a project yet)」「とても新鮮な経験をしている(it’s something really fresh for us)」といった当たり障りのないコメントのみ。もっとも、最初に同氏は新作の内容については話せないとし、話せばボスに激怒されるとインタビュアーに断っている。

Druckmann氏は、今回のインタビューでの回答はとりとめがなかったと認めており、掲載された内容の数倍はあろうかという発言量だった模様。また他社作品に言及した部分などもあり、ソニーとしてはそのまま掲載するわけにもいかず、要約して短く編集したのだろう。ただ同氏は、編集によって言葉だけでなく、文脈や意図もいくつか失われてしまったと述べている。ソニーは、同氏の発言の趣旨を汲み取って「ゲームにおける主流の認識を再定義するかもしれない」と付け加えたのかもしれないが、それは同氏の意図するところではなかったようだ。ちなみに、インタビューの日本語版にはそうしたコメントはなく、ゲーム一般の今後の受け止められ方について述べるかたちで締めくくられている。


現在Naughty Dogは、複数のシングルプレイゲームを開発中。どのような作品であるのか一切が伏せられているが、Neil Druckmann氏は今年2月、YouTubeチャンネルLogically Speakingとのインタビューにて、新作のひとつはかなり野心的な作品であり、開発作業も困難を伴うとコメント。一方で、『The Last of Us Part II』にて共同ディレクターを務めたKurt Margenau氏の新作への貢献にも言及しながら、スタッフを導いていく役割に楽しさを感じているとも述べている。なお、以前発表された『The Last of Us』シリーズのマルチプレイ作品については、新作シングルプレイゲーム開発にリソースを割くためとして昨年に開発中止されている(関連記事)。

【UPDATE 2024/5/29 22:45】


ソニーは5月29日、今回のNeil Druckmann氏へのインタビュー記事を、英語版・日本語版共に特設サイトから削除した。削除後の当該ページにて同社は、インタビュー記事について再精査をおこなったところ、本人の見解と異なる、または価値観を正確に示していない記述があることが判明したと説明。そして、Druckmann氏および同氏のチームに迷惑をかけたとして謝罪し、Naughty DogとSIEと再確認したうえで記事を削除したと報告した。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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