『CoD:MW2』マップのモデルとなった実在ホテルが怒り。暴力的ゲームは“価値観にそぐわない”


Activisionより10月28日に発売された『Call of Duty: Modern Warfare II』(以下、CoD:MW2)。本作は発売前の映像やプレイテストから、オランダ首都アムステルダムのリアルな景観が話題となっていた。そしてそのリアルさが、とある問題を引き起こしているという。PC Gamerなどが伝えている。

https://www.youtube.com/watch?v=OthMyIr9XIs

『CoD:MW2』は、2019年発売のリブート版『Call of Duty: Modern Warfare』の続編だ。開発は、前作に引き続きInfinity Wardが担当する。開発においては、新たなゲームエンジンが導入。ビジュアルをはじめとしたクオリティが向上している。

本作のマップの1つである「ブレーンベルフホテル」。これは実存する最高級5つ星ホテルである「コンサヴァトリアムホテル(Conservatorium Hotel)」がモデルとなっていると思われ、美麗なグラフィックによってホテルの景観が再現されている。特に外観は似通っており、左右対称の佇まいや、三つの棟をつなぐ赤みがかった壁がコンサヴァトリアムホテルの特徴をとらえている。

Conservatorium Hotel公式サイトより引用


一方、同ホテルをモデルとしたマップが『CoD:MW2』に登場することは事前に知らされていなかった様子。また、ホテルが特殊部隊員たちの戦闘によって粉々に打ち壊されることをホテル側は看過できないという。コンサヴァトリアムホテルのマネージャーであるRoy Tomassen氏が地元オランダ紙DeVolkskrantに対してコメントを寄せている。同氏によれば、コンサヴァトリアムホテルが『CoD:MW2』のモデルとなっていることは、ホテルにとって望ましくない事態だという。同氏は、ホテル側は暴力の使用を助長しているように見えるゲームを支持していないと強調。本作は決してホテル側の価値観(kernwaarden)を反映したものではなく、ホテルの望ましくない形での関与を悲嘆していると述べた。現在、ホテル側は対応を検討中とのことだ。

過去には、現実の建物をモデルにしたことが問題となった同様の事例もある。たとえば、2006年に当時のソニー・コンピュータエンタテインメントより発売された『RESISTANCE〜人類没落の日〜』においては、ゲーム内でマンチェスター大聖堂が銃撃戦の場として使用された。これについて英国国教会は、ソニーが大聖堂内部の画像を適切な許諾を得ずに使用したと主張。英国国教会側はソニーに対して謝罪とゲームの販売停止にくわえ、銃犯罪撲滅活動への献金などを要求した。一方、ソニー側は謝罪するのみに留まった(Reuter)。なお本件においてソニーは、ゲーム制作に必要なすべての許諾について調査し、許可を得たと主張していた。

また直近では、IKEAを題材にしたサバイバルゲームの開発者が、IKEAからゲーム内要素の変更を求められたと報告していた(関連記事)。実在の建造物や店舗のゲーム内使用は、管理者・権利者が見過ごさない事例も時おり見られるわけだ。今回のコンサヴァトリアムホテルも含め、そうした事例の行方は今後も注目されるところだろう。