『Call of Duty: Modern Warfare II』正式に披露。Steam配信に技術進化など「COD 2.0」を掲げる挑戦作、その詳細が語られる


Activisionは6月9日、『Call of Duty: Modern Warfare II』のゲーム内映像を初めて披露する最新トレイラーを公開した。これに先立っては、本作のプレス向けイベントが実施され弊誌も参加。本稿では、開発元Infinity Wardの各担当者によって語られた内容とあわせて、本作の概要を紹介する。

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実在人物にも取材し作られるキャンペーンモード

『Call of Duty: Modern Warfare II』のキャンペーンモードでは、2019年発売のリブート版『Call of Duty: Modern Warfare』のその後の物語が描かれる。前作は、ジョン・プライス大尉が特殊部隊タスクフォース141の結成に向けて動き出したところで幕を下ろした。本作では、米軍の空爆によって敵対する国の将軍が死亡。テロリストによる復讐が予期されるなか、タスクフォース141が米国内や世界各地での脅威に立ち向かう。

タスクフォース141はプライス大尉をリーダーとし、サイモン・“ゴースト”・ライリー、ジョン・“ソープ”・マクタビッシュ、カイル・“ギャズ”・ギャリック、そして新キャラクターのアレハンドロ・ヴァルガスがメンバーとなる。ヴァルガスは、メキシコの特殊部隊に所属。部下から厚い信頼を集めているような人物像で、開発においては実在のそうした軍人を取材したそうだ。“結束”をテーマのひとつにする本作の物語では、個人プレイに走りがちなゴーストと深く関わることになるようだ。

タスクフォース141の設立に協力した、CIAのケイト・ラズウェルも引き続き登場。本作では、彼女も銃を握る場面があるとのこと。タスクフォース141の協力者としてはほかに、民間軍事会社シャドウカンパニーを率いるフィリップ・グレイヴスという新キャラクターも。民間である強みを活かして行動するという。


水表現も強化、多彩なミッション

公開されたトレイラーには、複数のミッションの様子が映し出されている。今回実施されたプレスイベントでは、それらを含むいくつかのミッションについて、ゲームプレイ映像と共に解説された。そのなかで、ゲームプレイ面と技術面の双方において興味深いもののひとつが、「Wet Work」というミッションだった。オランダ・アムステルダムの港で怪しい武器の売買がおこなわれているという情報を得て、プライス大尉とギャズが制圧に向かう。

港には多数の敵がいるため、プレイヤーは潜水して移動しながら、サイレンサー付きのピストルや投げナイフでひとりずつ仕留めていく。また攻撃を受けた際にも、水中に身を隠して回り込むといったことが可能だ。水中から敵を撃つこともでき、その場合は水の抵抗を受けて弾速が落ちる。同ミッションは、ゲームプレイディレクターのZied Rieke氏が長年ずっと作りたいと考えていて、今回ようやく実現できたのだという。

プレスイベントにて披露されたプレアルファ版のゲームプレイ映像では、水のグラフィック自体も印象的だった。水面の波打つ様子や光の反射・屈折、また水の濁りや水面に溜まったゴミなどが非常にリアルに表現されていた。本作の開発においては新たなゲームエンジンが導入されており、その成果なのだろう。こうした説得力のある水の表現技術およびゲームプレイへの導入は、本作のあらゆるゲームモードにておこなわれるとのこと。


プレスイベントでは、ほかに「Nightwar」や「Convoy」などのミッションも紹介された。「Nightwar」は、郊外のひらけた場所を舞台にした夜間作戦だ。前作にも登場したウルジクスタンの過激派組織アル・カターラの攻撃拠点のひとつを、ゴーストや多数の味方兵士とともに襲撃。その過程では味方のヘリが撃墜されてしまい、その救助にも向かうことになる。ナイトビジョンを使いながら拠点に接近し、そして屋内での接近戦へと展開していく、緊張感のあるミッションである。

一方の「Convoy」は、荒野の高速道路上での車両ミッション。車を運転しながら、併走する敵と戦うことになる。道路には一般車を含め多数の車が走っており、プレイヤーはそのすべてを運転可能だという。車は攻撃を受け続けると爆発してしまうため、走行中の車から車へと飛び移り、乗り換えながらミッションを進めていくのだ。

なお、武器カスタマイズをおこなうガンスミス機能は、本作にも用意される。実在の銃器をもとにしたさらに幅広いアタッチメントが用意されるほか、新たに“プラットフォーム”という概念を導入。ベースとなる銃から、派生モデルへとツリー形式でアンロックしていくことができ、そのなかでプレイスタイルに合わせたより奥深いカスタマイズをおこなえるそうだ。


マルチプレイは3つの柱

次に『Call of Duty: Modern Warfare II』のマルチプレイモードについて。マルチプレイデザインディレクターのGeoff Smith氏は、典型的なプレイヤーの挙動をあらゆる機能でサポートすること、創発的なプレイを受け入れること、そして最高のマルチプレイ体験に仕上げることの、3つの柱をもって開発中であると説明した。

典型的なプレイヤーの挙動については、Rusher・Sentinel・Stalkerの3つのプレイスタイルに分類。Rusherは、キル数を稼ごうとアグレッシブに攻め、武器へのこだわりは薄いタイプ。Sentinelは、死なないことを重視してプレイする防御型のプレイヤー。そしてStalkerは、戦況に対応した行動をとるスタイルと定義。本作のマルチプレイは、これら3つのスタイルに合わせるかたちで、すべてのコンテンツを制作。たとえば、ローンチ時のクラスについては6種類を用意し、各スタイルおよびいずれかの中間にあたるようなプレイヤーをサポートするとのこと。

創発的なプレイとは、バトルにおける最終的な局面、すなわち1対1になった際に生み出されるもの。本作では、プレイヤーの移動メカニクスや、車両を用いたゲームプレイ、特殊な装備品に新たな要素を導入し、そうした局面での可能性を拡大させるという。移動メカニクスでいうと、キャンペーンモードにも登場した水中を移動できる要素はそのひとつだ。ほかにも、緊急脱出的に使える飛び込みアクションや、構造物の出っ張りの下から覗き込んだりピストルを撃ったりできる掴まりアクションもある。

車両においては、窓から体を乗り出しての射撃や、タイヤのパンク要素などを導入。パンクしたタイヤは修理も可能とのこと。また水陸両用車や、多数の兵士が乗り込める大型ヘリも用意される。特殊装備については、壁などに取り付けて偵察したりセンサーにしたりできるTactical Cameraや、壁に穴を開け向こう側にグレネードを投入できるDrill Charge、車両を停止させるEMPのようなDDOS、兵士キャラの風船デコイを出すInflatable Decoyといったアイテムが紹介された。


マルチプレイモードのマップは、探索可能な広さをもつバトルマップと、小規模ながら洗練されたコアマップの、2つのスタイルを中心に展開予定。大規模戦闘をおこなうバトルマップには、たとえば市街地の「Sa’īd」や海に面した観光地「Sarrif Bay」が存在。Sa’īdでは、あらゆる建物に登ることができるなど、マルチプレイのコアな要素とサンドボックス要素を組み合わせた格好になっている。一方のSarrif Bayは、これまでにも触れた水中要素を活用できるマップになるとのこと。

コアマップについては、6対6でのバトルに特化するかたちで開発。収録予定のマップとしては、スペインの近代的な博物館「Museum」、アジアにあるレース場「Grand Prix」、そして極秘訓練施設「Farm 18」が紹介された。Grand Prixは夜間マップとなり、レースが開催中のなか戦うとのこと。Farm 18は、表向きはセメント工場として存在しているそうだ。

本作での新たなゲームモードとしては、ひとつは「Knockout」がある。6対6の対戦にGunfightモードの要素を取り入れた内容となり、相手チームを全員倒すか、制限時間終了時にパッケージ(バッグ)を保有していたプレイヤーがいるチームが勝利だ。倒れた仲間は蘇生可能。もうひとつ「Prisoner Rescue」というモードも紹介された。敵陣に突入し囚われている仲間のキャラクターを救出する側と、それを待ち受け阻止する側に分かれてプレイする。このほか、協力プレイモードであるスペシャルオプスも、本作には引き続き収録される。


「COD 2.0」

今回の発表では、技術的な進化とゲームプレイの革新が強調された。ビジュアル面の強化も見どころだ。技術的な進化については、NPCのAIにも見ることができるという。たとえば、周囲の環境に合わせて実際の兵士らしい動きをしたり、ボディランゲージを駆使しながら組織的な行動をしたり、あるいは自己防衛的な挙動をしたりなど、リアルで生き生きとした表現を実現。もちろん味方兵士だけでなく、敵や一般市民にもこのAIが活かされ、各ゲームモードに導入されるそうだ。

開発元Infinity Wardは、こうした新たな技術などによって『Call of Duty』シリーズは新たな時代を迎えることになるとし、「COD 2.0」と表現した。また、これに関連してバトルロイヤルゲーム『Call of Duty: Warzone』の次回作についても言及。「Warzone 2.0」と呼ばれている新作は、『Call of Duty: Modern Warfare II』と同じゲームエンジンで開発され、新技術や機能、世界観を共有するとのこと。チート対策システム「RICOCHET Anti-Cheat」も両作に導入される。

『Call of Duty: Modern Warfare II』は、PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに10月28日発売予定だ。なおPC版はBattle.netだけでなく、久々にSteamでも配信される。本作については、今後オープンベータテストが実施予定。誰でも無料で参加でき、予約購入者には先行アクセス権が与えられる。