ハクスラARPG『アウトライダーズ』は2021年内に開発・販売コスト回収できず。開発元により売上苦戦が明らかに

 

アクションRPG『OUTRIDERS(アウトライダーズ)』の2021年内の売上は、その開発などのコストを回収するに至らなかったようだ。開発元のPeople Can Flyが、現地時間4月21日に公開した決算報告資料にて明かした。海外メディアTweakTownが伝えている。


『OUTRIDERS』は、『Bulletstorm』や『Gears of War: Judgement』などを手がけたことで知られるPeople Can Flyが、スクウェア・エニックスと提携して手がけたアクションRPGだ。本作は2021年4月1日、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売。Xbox Game Pass向けにも提供された。

本作はローンチ後、サーバートラブルや不具合などの問題に直面し対応に追われる一幕もあった。しかしながら、販売元のスクウェア・エニックスは発売後1か月間で350万人以上のプレイヤーを獲得したと報告。昨年6月における同社決算説明会では、スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長の松田洋祐氏が「ポジティブサプライズ(業績に好影響を与える予想外の材料)」であるとして、本作の好感触を語っていた。


しかし、昨年8月6日のPeople Can Flyによる投資家向け報告では、本作の売上が損益分岐点を超えていない可能性が示唆された。というのも、同開発元が、スクウェア・エニックスから本作にまつわるロイヤリティの支払いがないと明らかにしたのだ。Pople Can FlyのCEOであるSebastian Wojciechowski氏は、スクウェア・エニックスから実際の売上本数については知らされていないとしつつも、本作の売上が損益分岐点を超えていない可能性について言及。2021年内には最初のロイヤリティを受け取れるとの見通しを語っていた(関連記事)。システムとしては、スクウェア・エニックスが開発費や宣伝費を負担。損益分岐点を超えてから、はじめてPeople Can Flyがロイヤリティを受け取れる契約だったのだろう。

そして、本作の売上は見通しよりも苦戦していたようだ。People Can Flyによる先日の決算報告資料によれば、同開発元は2021年12月31日時点でロイヤリティの支払いを受けなかったという。また同開発元はロイヤリティが支払われなかった理由について「これは『OUTRIDERS』の売上が、スクウェア・エニックスが本作の開発・宣伝・発売などにかけたコストを回収するに至っていないため」であるとコメント。つまり、少なくとも2021年内の『OUTRIDERS』の売上が開発費や宣伝費を下回ったことが、今回の報告によってより明白になった恰好だ。

また、People Can Flyは『OUTRIDERS』関連の既存および将来にわたる知的所有権をスクウェア・エニックスに譲渡し、著作者人格権を放棄したと明らかにしている。両社間の契約内容は不透明なものの、People Can Flyと『OUTRIDERS』の関わり合い方も、徐々に変化していくのかもしれない。


People Can Flyは現在、スクウェア・エニックスとタッグで『Project Gemini』なるタイトルを開発中。同作については、今回の決算報告資料でも2024年末にはリリース予定とされており、引き続き開発が続けられるようだ。また、『OUTRIDERS』は今年7月1日に大型拡張『OUTRIDERS WORLDSLAYER』をリリース予定。2022年こそは、同シリーズは黒字化できるのだろうか。