中国でゲーム発売ライセンスが「9か月ぶり」に発行される。“国が許さないとゲームを発売できない”かの国の事情 

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中国国家新闻出版署は4月11日、新たに45の国内ゲームタイトルに対して、販売のライセンスを発行した。ライセンス発行は昨年の7月以来であり、長らく停止されていたライセンス発行が再開されたかたちだ。 

中国ではゲームの発売に対して厳しい規制が課せられている。具体的には、有料ゲームを提供する事業者は、中国政府から発行されるゲームライセンスの承認が必要となる。政府からライセンス発行を受けない限り、ゲームを発売することはできないのだ。同ライセンスの発行は、2021年上半期を通じて毎月おこなわれてきていた。ところが昨年7月より、中国では新規のゲームライセンス発行が停止。そのため、数多くの企業が新たにゲームを販売できない状況が続いていたのだ。今回のライセンス発行は、実に9か月ぶりとなる。各ゲーム企業にとって、待望の発行再開となったわけだ。 
 

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新たにライセンス発行を受けたのは、中国国内の45タイトル。XDの大乱闘ゲーム『フラッシュパーティー(派对之星)』や、百度のローグライク『进击的兔子』、37 Interactive Entertainmentの『梦想大航海』などが、新たにライセンスを取得している。45タイトルのうち、 5タイトルがPC向け。1タイトルがNintendo Switch向けで、残りがモバイル向けタイトルとなっている。そのうちの多くが、プレイヤーの消費金額が少ないカジュアルゲームだという。 

今回のライセンス発行のリストは、4月11日の告知に先だって、デベロッパーへ内々に配布されていたと、匿名希望の関係筋が伝えている。海外メディアBloombergがコメントを求めたところ、NetEaseはコメントを拒否。テンセントからの返答はなかったという。また代理店の代表者らは、勤務時間外につきコメントを返せなかったとのこと。 

ゲームの販売ライセンス発行再開にともない、株価の値動きにも影響があったようだ。米国市場において、Bilibiliの株価が7.2%値上がり。DouYu International Holdingsの株価が2.4%の値上がり。またNetEaseの株価については一時8.8%の上げ幅を見せたものの、最終的には2.1%の値上がりに落ち着いている。 
 

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北京におけるIT系企業への取り締まりは、eコマースからフィンテック、オンライン教育事業にまで及ぶ。その動きは昨年8月にはオンラインゲーム業界にまで波及。規制当局は、未成年者のゲームプレイ時間への厳しい規制を設定し、中毒防止を目的とした必要条項を課した。くわえて8月には、中国の新華社通信系列の国営紙である経済参考報がゲーム業界を「精神的アヘン」として言及。テンセントやNetEaseの株価が急激に下落するといった一幕も見られた(関連記事)。 

各社に対し、ゲームライセンス発行停止はすでに大きな影響を与えている。テンセントについていえば、2021年12月期の国内ゲーム事業収入の上げ幅は1%にとどまり、国際ビジネスにおける34%の上げ幅には遠く及ばなかった。テンセントの全体としての売上成長率は、2004年以来もっとも低くなっている。 こうした状況もあり、ライセンス発行再開は大手企業からも待望されていたといえるだろう。 

ゲームリサーチ企業Niko PartnersのDaniel Ahmad氏らは、今回の発表に際しコメント。ゲームライセンス発行再開は中国のビデオゲーム市場にとってよい兆候であり、2022年下半期には予想より多くのタイトルがローンチされる可能性があることを示唆するとしている。Ahmad氏らは、500本~700本程度のゲームが2022年に承認されるだろうとの見立てを伝えている。しかしながら、ゲームライセンス発行や停止は、つねに唐突におこなわれてきたため、そうした見立てもあくまで“希望的観測”にすぎないだろう。 
 

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中国国家新闻出版署によるライセンス発行作品のリストはこちらから閲覧可能。波乱のなか揺れ動く同国のゲーム業界は、今後どこへ向かっていくのだろうか。