『S.T.A.L.K.E.R. 2』がサブタイトル変更へ。「チェルノブイリ」表記をウクライナ語準拠に

 

GSC Game Worldは3月14日、Steamにおける『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chernobyl』の題名を『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』と変更した。「Chernobyl」のEがOとなり「Chornobyl」と綴られるようになったのだ。背景には、ロシアによるウクライナ侵攻と、同スタジオの政治姿勢があると見られる。

『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は、チェルノブイリおよびその周辺を舞台とするサバイバル・ホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの最新作だ。本作は発売延期しながらも、今年2022年12月8日の発売を目指して開発中だった。しかしながら、開発元GSC Game Worldは3月3日、開発の一時停止を伝えている。同スタジオはウクライナのキエフが拠点。すなわち、スタジオ自体が現在、ロシアによるウクライナ侵攻の戦火の真っ只中にあるためだ(関連記事)。

GSC Game Worldは、ロシアによる侵攻開始直後から、ウクライナを支持しロシアを批判する姿勢を明らかにしている。ウクライナ向けの寄付についても、本作公式Twitterアカウントなどで広く呼びかけている状況だ。また、ゲーム企業を含め、世界各国の組織がロシアの侵攻停止と平和を求めるなかで、同社の声明はやや毛色が違う。同社はウクライナが戦争に勝利することを信じ、寄付先についても人道支援団体ではなく、ウクライナ軍への支援窓口を紹介している。つまり、ロシアに対し強い反発姿勢を示しているわけだ。
 

 
今回の『S.T.A.L.K.E.R. 2』タイトル変更には、明確に声明が出されているわけではないものの、そうした反ロシア姿勢が影響しているのだろう。というのも、今回新たに冠された「Chornobyl」の綴りは、ウクライナ語での表記なのである。ロシア語とウクライナ語は類似性をもつ一方で、それぞれが別に発展した独立した言語だ。異なる点は当然ながら多々あり、地名の表記もそのひとつ。今までの「Chernobyl(チェルノブイリ)」の表記は、ロシア語の「Чернобыль」をラテン文字表記に対応させたものだ。そして新たに変更された「Chornobyl」は、ウクライナ語の「Чорнобиль」のラテン文字表記となる。つまり、タイトルからロシア語の綴りを排し、ウクライナ語に準拠させる変更なわけだ。

なお、本作公式サイトなどでは、まだ「Chernobyl」表記が見られる。こうした表記も、今後変更されていくのかもしれない。今回はSteamストアページにおける修正だが、今後Epic GamesストアやXbox Series X|S版における修正もおこなわれる可能性がありそうだ。開発者含む現地の人々が平時の生活を取り戻し、『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』がユーザーの手に届く日が来るように祈りたい。