Discord上で「反ワクチン」主張含んだ誤情報発信を取り締まりへ。“健康にまつわる誤情報・誤解を招く情報”に対する規制


Discordは2月25日、同プラットフォームにおけるコミュニティガイドラインを更新した。3月28日より発効される。そのなかでは、健康上の誤情報や誤解を招く情報を取り締まる条文が追加される。なかでも、反ワクチン的な主張や情報も取り締まり対象に含まれているそうだ。 

今回の更新で追加された条項は下記の通り。 
 

 
虚偽の情報や誤解を招くような情報(誤情報と呼ばれることもあります)を共有してはいけません。虚偽であったり誤解を招いたりして、物理的または社会的な損害を招く重大なリスクをもたらす可能性があるコンテンツを、Discord上で共有してはいけません。私たちは、その拡散が物理的なインフラストラクチャへの損害、他の人への侵害、市民行動参加への障害、または公衆衛生の危険につながると合理的に判断する場合、コンテンツを削除することがあります。 
 

 
本アップデートについて、Discordの公式ブログにて補足の説明がある。本項目は、新型コロナウイルスの情勢を鑑みて設定された条文とのこと。Discordは、コロナ禍の影響下にあって、オンライン上の健康情報の正確性はこれまでにないほど重要になっていると説明。今回の条文の設定により、パンデミック中やその後において、危険な医療関連の誤謬を防ぐことを目的としているという。 

そのためDiscordは利用者に対し、有害となりうる誤情報や誤解を招く健康上の情報を投稿すること、促進すること、コミュニティを作ることを禁止するとしている。具体的な該当項目は下記の通り。 
 

 
・反ワクチン的なコンテンツ 

・医療的に支持されていない、病気に対する危険な治療法 

・病気に対して情報をねじ曲げるコンテンツ 

・公衆衛生の緊急性を阻害するあらゆるコンテンツ 
 

 
Discordの判断基準としては、「医療コミュニティによる最新の合意とは明らかに矛盾する情報」に対して「誤情報、誤解を招く」と判断するとのこと。また、絶対ではないにしろ潜在的に有害でありうる情報としては、「伝染病への曝露リスクを高めること」、「公衆衛生システムに過度の負担をかけること」、「陰謀論的な健康被害を訴えてパニックや社会不安を煽ること」などが挙げられている。ほか、Discordはユーザーに対して、過度に誇張した言葉で世論を動かそうとしたり、広く否定されている健康上の主張、根拠のない噂、または陰謀論的な言説を繰り返すコンテンツを投稿したりすることについても禁止している。 

Discordが実際に、ユーザーにアクションをとる際の基準も示している。具体的には、下記の項目に対して誤った、誤解を招くコンテンツを投稿・促進・組織する場合、制裁の対象になるという。 
 

 
・ワクチンの安全性、副作用、有効性について 

・ワクチンの原材料、開発、承認について 

・病気に対する、証明されていない代替治療法(有害な自己治療を促進する主張や、ワクチン拒絶・代替などを主張する言説を含む) 

・病気の存在や流行について 

・病気の伝染や症状について 

・保健指導、勧告、または命令(予防措置に関する虚偽の主張、公衆衛生上の緊急事態の解決を妨げる可能性のある行動を含む) 

・医療サービスが利用できることや、医療サービスを受ける資格について 

・悪意のある勢力による、健康への謀略を示唆する内容(社会不安を引き起こしたり、重要インフラの破壊を促したりするような内容を含む) 
 

 
さまざまな項目を列挙しているDiscordだが、必ずしも極論や議論を招く意見を取りしまる意図はないとしている。たとえば個人的な健康上の体験を共有することや、事実に基づいて有害でない意見・コメントを共有すること、医学や研究に関する誠実な議論、健康上の誤情報を非難・論破することを意図したコンテンツ、明らかに意図的に誤ったまたは誤解を招く健康被害を揶揄した風刺やユーモアなどは、許容の範囲内であるとのこと。 

Discordは、以上の規約に違反した場合、4つの要素から違反の重さを判断するという。まず、そのコンテンツから生じうる有害性の重大さ。次に、投稿者が誤情報・誤解を招く情報を周囲に信じさせようとしていた意図の大きさ。そして、投稿者が誤情報を他者に信じさせ、欺こうとしていた意図の大きさ。さらに、投稿者やグループが規約違反を繰り返していた頻度である。Discordは、これらの規約違反に対し、数々の措置を施行するという。アカウント・サーバー・モデレーションチームに対する警告や、有害なコンテンツの削除、そしてアカウントやサーバーの恒久的な停止などが、措置の例として挙げられている。 

今回の規約変更に際し、もっとも注目したいポイントは「反ワクチン的な主張」が規制の対象となっている点だろう。新型コロナウイルスのワクチンについては、広く接種することが推奨されている一方、自身の選択としてあえて接種しないことを選択する人々も存在する。しかしワクチンを摂取しないことと、根拠のない情報を流布することは別の話である。Discordを誤った情報を流す発信元にしないという、運営としての意図が垣間見える。 
 

 
新たなDiscord コミュニティガイドラインは、3月28日より発効される。